短編④
夢小説設定
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は、と目を開けてほっと安堵の息を吐いた。
・・・・・久しぶりに見た夢。
海の中で、溺れる夢。
ここに来たばかりの頃は波の音のせいか連日見てた。
悪夢。
でも慣れてからは見ることもなくなったんだけどな。
・・・・・ああ、怖かった。
夢だったのはいいけど、
またすぐに寝たら続きを見てしまいそうだなあ。
何だか目も冴えちゃった。
・・・・かと言ってすることもないしなあ。
怖い夢見て寝れないから一緒に寝て下さい、なんてお頭の部屋に行ける年齢でもないし。
お頭ももう寝てる時間だし起こしちゃ悪いし。
・・・・でも喉は乾いたからお茶でも飲んで来ようかな。
部屋を出てキッチンに行くと、
「あれ」
「・・・・・お?」
寝てると思ってたお頭が1人でお酒を飲んでいた。
「起きてたんですか、お頭」
「寝れなくてな。寝酒だ」
「珍しいですね」
「いや、そうでもない。たまにある」
「・・・・知らなかった」
「珍しいのはアコもだろう?」
「あ・・・・私は、まあ、嫌な夢見ちゃって」
「なるほど、怖い夢か」
「・・・・わざわざ言い換えなくても」
「一緒に寝てやろう」
「お気持ちだけもらっておきますね」
「そう遠慮するな」
「遠慮しまーす」
軽く受け流してお水を飲みほした。
「はあ・・・・・・」
「夢の内容当ててみよう」
「・・・どうぞ?」
「俺達が死ぬ夢だ」
確かにそれは怖いなあ、と思わず苦笑して首を横に振った。
「残念、違います」
「はずれたか。それ以外に怖い夢、となると」
「嫌な夢です」
「・・・ヒントをくれ」
「えーっと、息苦しい」
「溺れる夢か」
私のヒントでお頭は見事正解。
「・・・・です」
「心配することはないさ、お前が溺れたら俺達が必ず助ける」
「そもそも海に落ちないように気を付けたいですね」
「だっはっは、それもそうだな!」
お頭の笑った顔を見てたら何かほっとした。
・・・・うん、いい夢見れるかもしれない。
「じゃあお頭、私はまた寝ますね」
「なんだ、寝るのか?」
「え、はい」
「一緒にどうだ?」
まさかのお酒を勧められた。
うーん。
まあどうせ目冴えちゃったし。
このまま1人でベッドに戻るくらいなら。
「・・・・じゃあ、少しだけ」
「おう、飲んでけ、たっぷりと」
「お頭は程々にしたほうがいいですよ」
「飲まないと寝れねェ」
「・・・・何で寝れないんでしょうね」
「・・・・さぁなァ」
「・・・何か悩み事ですか?」
「寝れないのが悩み事だな」
あ、何かはぐらかされた気がする。
「・・・そう、ですか」
「寝れない時は酒に限る」
「身体に良くないですよ、もう」
お頭の顔は赤い。
いつから飲んでるんだろう。
「わかっちゃいるんだが・・・・」
「そんなんじゃ寝れても悪夢見ますよ絶対」
「そうかもしれねェ」
「なら、」
「夢でくらい笑顔見せてくれてもいいのになァ」
「・・・・・はい?」
ぽつりと呟いたお頭は寂しそうで。
何のことだろう・・・誰の、ことだろう。
「こっちの話しだ、気にするな」
「気にします・・・・誰のことですか」
「いや・・・・ほんとに何でもねェんだ」
その顔でよく言う。
「話したら楽になれるかもしれないですよ?」
「いや、話したら完全に終わる」
「終わる?」
「夢が現実になるような気がしてな・・・・怖くなっちまう」
「・・・・お頭が怖い夢?」
現実になる?
「ああ、だからこのままでいいさ」
「良くないですね。このままじゃホントにお酒で身体ぼろぼろですよ」
「これくらいで駄目になるような身体じゃないつもりだ」
「でも・・・・」
頑なに話そうとしないお頭の手が伸びて来て、
私の頭をぽんぽん、と子供の用に撫でた。
「心配してくれるだけで十分だ、有難うなアコ」
「・・・・・・それで私が納得すると?」
「・・・・駄目か?」
「駄目です。・・・・このまま寝たら私またきっと溺れる夢を見ると思います」
「・・・・そうか、じゃあ言ってみるか」
「是非!!」
お頭はゆっくりと口を開いた。
「夢の中で俺が・・・好きだと告げると、悲しそうな顔をするんだ」
「・・・・・・・誰が、です?」
「アコが」
「・・・・・私?」
「現実では笑顔で頷いてくれるか?」
「お・・・・・・・溺れてる時でなければ・・・・」
って私は何を言っているんだ。
「だっはっは!溺れてる時に告白はしねェさ!」
「ですよね!」
私も好きです、お頭。
きっと笑顔で伝えます。
「よし、一緒に寝るか」
「それは別の話しです」