短編④
夢小説設定
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平日。
夕飯の支度前の1時間。
テーブルにお気に入りのお菓子とお茶をセットして。
テレビとビデオの電源を入れれば準備完了。
ビデオのリモコンの再生ボタンを押すと、
始まる。
「カッコイイ・・・・!!」
超カッコイイ!!
画面に出て来たニューヨークの町を背に立つ男性。
「ほんっとカッコイイ・・・・・・・」
もうこの言葉しか出て来ない。
「誰がかっこいいって?」
うっとりと呟いた独り言に質問が投げかけられて、
「ひゃあああ!!?」
思わず大絶叫。
「しゃっ・・・・シャンクス・・・・・」
声の主はこの時間には帰って来るはずのなかった私の旦那様。
「声をかけても返事がないと思えば・・・」
「なっ何でこの時間に・・・・!」
「最近残業が続いてたからな。ベンが気ぃ利かしてくれたんだ」
「お・・・・おかえりなさい。ごめんね?」
じっとテレビを睨みつけるシャンクスに慌てて取り繕ってみるけど。
「海外ドラマか・・・・2人居るがどっちがアコのお気に入りだ?」
「・・・・・・・・・・・こっち」
シャンクスは誤魔化されてくれないようで。
仕方なくテレビに出ている俳優さんを指す。
「こっち?若い方じゃなくて?」
「じゃなくて。こっちの人、FBIのジャケット着てる方」
テレビには若くてイケメンな捜査官と、少し年の、40代後半か50代くらいのFBIジャケットを着た人。
「・・・・・・・ほう」
「だってね、この人頭も良いし強いし声もいいし、何よりすっごい愛妻家なの」
「俺だって負けてないだろ?」
「そうだけど・・・・でもこの人は奥さん以外に興味がないの。奥さん以外の女の人は苦手」
変なとこで負けず嫌いを発揮してるシャンクすに熱意をこめて説明する。
でもシャンクスは納得せず、
「俺だってアコ以外の女には興味ない」
「っでも基本的に女の人好きでしょシャンクスは」
「・・・・・・・・確かに女嫌いじゃねえがな」
「FBIなんだよ?すっごくカッコイイの」
FBIのジャケットを羽織った後姿がもうすごく良い。
と言えば、シャンクスは変わらず難しい顔をしたまま。
「・・・・・・・・・FBIか。やってやれないことはなさそうだな」
そう呟く。
「は?」
「FBIになるには何が必要だったか、調べておこう」
「シャンクス?ちょっと待って?」
「俺はどれをとっても負けないつもりだがな。ただの社長よりFBIの方がいいか」
「いや、あの、え?」
嘘でしょ?
目が本気なんですけど。
「アコを他の男にとられない為なら何でもするさ」
その雰囲気が異様に怖くて、思わず腕を掴んだ。
「私が好きなのはシャンクスだけだってば!・・・・・・ただ、その」
「ただ?」
「・・・・・・・・・・・少し、寂しかったから」
これはあんまり言いたくなかったけど。
仕方なく口にすればシャンクスが驚いたように目を見開いた。
「・・・・・・アコ」
「だってシャンクスあんまり家に居ないし・・・でも忙しいのわかってるから言えないし」
寂しい、なんて言ったらきっと負担になる。
だからずっと閉じ込めてた。
「私基本的にミステリ好きだし、この人・・・シャンクスに似てる気がして」
ちら、と見るけど何も言わないシャンクスに慌てて、
「勿論シャンクスの方が好きだしカッコイイって思ってるよ!?」
「FBIじゃなくても、か?」
「これはドラマだから!FBIってめちゃくちゃ危険なんだよ!?」
ドラマだから安心して見られるし、
カッコイイと思える余裕もある。
でも実際シャンクスがFBIになったら。
もうどうにかなっちゃいそう。
「俺のせいだな」
「ちがっ」
寂しそうに笑ったシャンクスに口を開けば、続きを言わせないように塞がれた。
「・・・・・・・・・んっ」
「・・・・・・・アコに寂しい思いをさせていたのは知っていた。甘えてた俺が悪かった」
唇がそっと離れて、
それからぎゅ、と優しく抱きしめられた。
「俺はアコだけを愛してる」
「・・・・・・・・私も、シャンクスだけを愛してる、って言ったら信じてくれる?」
「信じさせてくれるか?」
と、何処か挑戦的な笑みを浮かべたシャンクスに一瞬だけ迷って、
ちゅ、と口の横にキスをした。
「的が外れたみたいだな、アコ」
「だってシャンクス背高いんだもん」
「そうか、ならこうしよう」
言いながらシャンクスは私と同じ高さまでしゃがんだ。
「・・・・・・・・・シャンクスが1番かっこいい。1番、好きで愛してる」
魔法の言葉を唱えて。
今度は間違いなく唇を重ね合わせた。
「今日は久しぶりに外に食いに行くか?」
「ううん、家で2人でゆっくり食べたい」
「そうだな、そうするか」
「ドラマも見たいし」
「・・・・・・・・・・結局見るのか」
「一緒に見よう?」
「アコには勝てねェなァ」