短編④
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私はなんて不幸なんだろう。
・・・・・何が悲しくて、
こんな場面に立ち会ってるんだろう。
「エース君、ずっと好きでした!付き合って下さい・・・・・っ!」
とっても可愛い女の子が。
とっても可愛くエースに告白してた。
・・・・私もエースのこと好きだったのにな。
こんな可愛い子に好きって言われたらエースだって承諾するに決まってる。
「悪ィ・・・・俺好きなやついるんだ」
・・・・・・・・・え。
え。
ええええええええええ!?
まさかのエースの衝撃発言に驚きを隠せない。
「そっか・・・・ごめんね」
好きな人と幸せになれますように、と女の子は肩を落として去って行った。
・・・・・・嘘。
エースとは結構仲良かったけどそんなの1度も聞いたことないし感じもしなかったのに!!
・・・・・・・・・いや今はそんなこと考えてる場合じゃない。
こんなとこ見たってエースにバレる訳にはいかない。
こんな場面こっそり見てるなんて最低な女じゃないか!!
逃げよう。
・・・・・慌てて逃げて来たけどもう授業どころじゃない。
高校でエースと出会って、頑張ってエースと同じ大学に入って1年。
いまだに告白出来ずにいる私が悪いのか。
結局何も頭に入らないまま帰宅しようと大学を出たら、
「アコ、今帰りか?」
「え・・・・・・エース」
「今日バイトもねェんだろ?どっか寄ってかねェ?」
気まずいことこの上ないね!!
・・・・でもここでそんな素振り見せたら見てたことがバレちゃうし。
ここは1つ私の自慢の演技力で!!
「あ、今日駅前のゲーセンに私の好きな景品入ったから行きたい」
「おー行こうぜ!取ってやるよ」
「トナカイのぬいぐるみじゃねェの?」
「今日はペンギンが欲しいの。毒舌ペンギン」
「・・・・何のやつ?」
「某動画サイトで見れるアニメのキャラクター。ブラック企業で働くペンギン」
「初めて聞いた」
「私もこの間ナミに聞いて初めて見たらハマちゃって」
「・・・・ふーん」
「取れそう?」
エースはこういうのが結構得意。
私も好きだけど本当に欲しいのはエースに頼むことにしてる。
その方がお得で早いし確実だから。
「んー・・・・・・」
「難しい?」
「・・・・・アコ、さ」
「ん?」
「・・・・もしこれが取れたら」
「・・・・うん」
エースがペンギンを真剣な目で見つめながら、
「・・・・何でもねェ」
・・・・何か思い詰めてる。
「・・・難しそうなら無理しなくても」
「いや、取れる。大丈夫だ」
「・・・・そう?」
エースはそのままお金を入れてボタンを押して。
・・・アームがペンギンを掴んだ。
「あ」
そしてそのまま、
ゴール。
「わあああ!!すごいっ!何回見てもやっぱ天才的だよねーエースの腕!!有難う!!」
「ん」
わあああペンギン嬉しい!!
「はあああ可愛いいいい・・・・!!」
「面白いのか?これ」
「面白いよ。エースも見てみて?」
「・・・・一緒に見ようぜ」
「一緒に?」
一緒に、の言葉にドキッとした。
いやいや他意はないよ。友達として、だよ。
「うち来て一緒に・・・見ねェ?」
エースの家に!?
ままま待ってせっかく気にしないようにしてたのに!!
「え・・・・っと」
「嫌か?」
嫌じゃないけどむしろ行きたいけどそんなこと言われたら勘違いしちゃうじゃないの!
「・・・・急にお邪魔して、いいの?」
「お、おう。全然問題ねェ!」
「えと・・・・じゃあお邪魔しよっかな」
「ああ、じゃあ行こうぜ」
・・・・もうこの際だ、私も玉砕しよう。
エースの好きなコ誰って聞いて。
何でだよって聞かれたら私がエースのこと好きだからだよって答えて。
・・・・それで終わる。
「お邪魔します・・・・」
「おーあがれよ。自分の家だと思ってくつろいでいってくれ」
初めて通されたエースの家。
結構綺麗。
「タイトル打ち込んでもらっていいか?」
「あ、うん」
えっと・・・・・エースの部屋のパソコンにタイトルを打ち込んで、
検索かけて。
「おすすめはこれ」
「うし。・・・・ここ、座れよ」
「ん」
用意された椅子はエースと距離が近くて。
ドキドキ。
「・・・・へェ、面白ェなこれ」
「でしょ?」
「知らなかったな・・・・」
「ナミに感謝だよね」
「じゃなくて」
「・・・・じゃなくて?」
「アコがこれ好きだってことだよ」
「え、そうだっけ」
「・・・・今好きなキャラクターはペンギンだろ。これ」
「うん」
「・・・・じゃあ好きな奴、誰」
「へ」
「アコのことで知らないことがあるのが嫌なんだよ。つーか・・・・」
「・・・・つーか?」
「・・・・・許さねェ」
「はい?」
エースが少し怒ったような顔で私を見た。
「好きだ、アコ」
「え、え、ええええええええ!?」
エースの好きな人って私!?まさかの!?
「なァ・・・・・・・教えろよ、アコのこと」
「・・・・・・・・エースが、好き」
ああ私はなんて幸せなんでしょう。
「ちなみにごめん今日エースが告白されるとこ見ちゃった」
何だか罪悪感で申し訳なくなって全部吐いた。
「・・・・マジかよ」
「・・・・あの子は何で駄目だったの?可愛かったのに」
「あんま話したことねェから」
・・・・・ああ、どおりで私の知らないコな訳だ。
・・・・私もエースのことで知らないことがあるのは嫌なんだなあ。