短編④
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今でも覚えてる。
触れた指のあったかさ、
ごつい感覚。
優しい目。
1人じゃないんだと、教えてくれた手。
「ぎゃあああああ!!!!」
ヤソップさんに呼ばれて行った瞬間カエルが飛び込んできて悲鳴をあげた。
「ぎゃははは!!」
大笑いする皆に、
よくよく見てみると。
「・・・・・・・・・・・おもちゃ」
本物のカエルじゃない。
玩具。
「アコはよくひっかかってくれるよな!可愛いなァ!」
本物じゃなかったことにほっとしながら、
同時にこみあげる悔しさ。
「・・・・・・・ヤソップさんの馬鹿ー!!」
こんなことでしか反撃出来ない自分が情けないと思いながらも、
思い切り叫んで部屋を出た。
でもすぐに人にぶつかったと思ったら、
「何だまたヤソップにからかわれたのか?アコ」
ぶつかった相手・・・今度はお頭に笑われた。
・・・・・・・・・・・・もう最悪。
お頭には何も答えずにそのまま自分の部屋に行く為廊下を走った。
「あ、おいアコ!」
「・・・・・・・・・っ」
何か泣きそう。
ていうか泣く。絶対泣く。
「おーいアコ」
そんな私におかまいなしにのんきな声で私を呼びながらお頭は私の後ろをついてくる。
「ついてこないで下さいっ」
「嫌だ」
「・・・・・・・・・・お頭の馬鹿」
にこにこと笑顔で私のお願いを却下して、
悪態をついた私に腕を出す。
「まぁそう言うな。泣きたいなら俺の胸で泣け」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・今行ったら絶対お酒の匂いする気がする」
「まだ飲んでねェから大丈夫だ。ほら、来い」
お頭の言葉に少し迷って、
それでもしっかりとお頭の手をとった。
その瞬間に思い切り抱き寄せられた。
「アコのこと可愛いって言ったやつは後で全員殴っとくから安心しろ」
・・・・・・・・・・それなんか違う!
「・・・・うー」
「よしよし。もう大丈夫だ」
とりあえず泣くだけ泣かしてもらった。
安心するお頭の腕の中。
思えばいつも、私が泣く時はお頭が居てくれてる。
「・・・・・・・何か私が泣く時っていつもお頭が居てくれる気がします」
「そりゃあ約束したからな」
「え?」
「覚えてないか?アコがうちに来たばっかの頃、約束しただろ」
「・・・・・・・・・・・・・そうでした、っけ」
小さく言葉にすれば、
そっと身体が離された。
「1人になっちゃった、って泣いてたアコに」
「・・・・・ぁ」
そして絡んだ、
小指と小指。
「決して1人で泣かせねェって約束を」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・覚えて、ません」
そんな恥ずかしい自分。
「ま、いいさ」
「でも私はもう大丈夫です」
もう1人じゃないって実感出来るから。
「気にするな、今はただ俺がしたいだけだ」
「・・・・・・・・・・・有り難う御座います」
嬉しさに微笑んで、
「じゃあ、私は部屋に」
戻りますね、とお頭に背を向けようとして。
「あ、ちょっと待てアコ」
呼び止められた。
「あ、はい」
「色々考えたんだがな」
「・・・・・・・・・・・・はい」
「俺はこのままでもいいと思ってた」
「・・・・・・・・・・・・はあ」
何かよくわからない話。
「でもベンに怒られちまってよ。アコもその方が喜ぶっつーんで」
「・・・・・・・・・・・・・私?」
私に関係ある話?
と思ったら、突然。
「結婚するか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は、い?」
耳を疑った。
け、っこん?
「今度は覚えてろよ、アコ」
「え、え?」
訳のわからないまま再びとられた手。
あの時と同じように、絡められた私の小指と、
お頭の小指。
「約束だ。アコを幸せにする」
「・・・・・・・・・ゆびきり、げんまん」
「ああ、絶対に守る」
またぽろりと零れた涙に、
お頭が優しく抱きしめてくれた。
『私1人になっちゃった』
『1人じゃねえだろう?俺達が居る』
『皆、居なくなっちゃった・・・っ』
『泣きたいなら泣け。俺がいつも側に居てやる』
『・・・・・・・・ほんとに?』
『ああ、本当だ』
『絶対?』
『絶対。ほら、約束だ』
『ゆびきり、げんまん?』
『絶対、守ってやるよ』