短編④
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「ふぅ」
熱くてたっぷりのお湯に癒されて、
濡れた髪にタオルを当てた時だった。
「アコ、エース隊長が呼んでたわよ」
入れ違いに入ってきたナースさんに言われて、
「え、エースが?」
「真剣な顔してたから、告白じゃないの?」
「あははっまさか!」
笑いながら答えたけど、真剣な顔、っていうのが気になってタオル片手に慌ててエースの部屋に向かった。
告白、なんてことはないだろうけど。
真剣な顔。
何かあったんだろうか。
・・・・・・・・・・・心配。
コンコン、と軽くノックして、
「エースー入るよー」
返事を聞く前にドアを開けるとエースは腕を組み、明らかに落ち着かない様子で部屋の中をうろうろしていた。
「・・・・・・・・・・・エース?」
「・・・・・・・うぉ!?アコ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・ナースさんからエースが呼んでたよって聞いて来たんだけど」
エースは私が来たことにすら気づいていなかったらしく、私を見て驚いた様子を見せた。
「お、おう」
「・・・・・・・何か用だった?」
一向に進まない話に少し迷って用件を尋ねる。
「いや・・・・・あのな、」
「うん」
「・・・・・・・・・・つーかアコッ!おまっ風呂上りか!?」
「え?そーだけど?」
何を今更。
エースは今度は私のお風呂上りに気づいて驚いてるらしい。
「まだ髪濡れてんじゃねェか・・・・ちゃんと拭けよ」
「大丈夫大丈夫。すぐ乾くから」
「大丈夫じゃねェよ、風邪引くだろ」
「えーでも」
私はエースの話を聞きたくて仕方ないんだけど。
「でもじゃねェよ、ほらこっち来い」
「わぷっ」
有無を言わせぬエースに引き寄せられて、
タオルも奪われたと思ったら再び頭にタオルがかぶさった。
「おりゃ!」
「ぎゃー!!」
そのまま頭の上のタオルごと髪が乱暴に揺れた。
「ちゃんと乾かせ!」
「やめてエース!禿げるっ!ハゲは嫌ー!!」
「おーハゲろハゲろ!」
「いーやー!!女の子に何てこと言うの!!」
「うっせェ!」
ぎゃーぎゃー言いながらもくすぐったい感じ。
「もうほんっとエースはお兄ちゃんだよねっ」
くすくす笑いながらそう言えば、
タオルを動かすエースの手がぴたりと止まった。
「あれ、エース?」
「・・・・・・・・・・つーかさ」
「ん?」
「お前、風呂上りに男の部屋になんか来んなよ」
「・・・・・・え?」
ばさりと床に落ちたタオル。
目の前に見えたエースの顔は真剣、というか怒ってるようにも見える。
「・・・・・・・・・アコ」
そして苦しそうにそう呟くと、
「あ・・・・っ」
私の身体を強く抱きしめた。
「いい匂い」
「や、えーすっ」
「石鹸・・・・シャンプーの匂いか?」
「そ、そりゃお風呂上りだから」
くんくんと私の首に鼻を寄せて匂いをかぐ仕草をするエースに恥ずかしさを感じた。
「風呂上りに男の部屋なんて襲ってくれ、って言ってるようなもんだぜ?」
「だっだってエースが真剣な顔で私のこと呼んでたって言うから!」
「・・・・・・・心配してくれたんだ?」
「そりゃするでしょ・・・・」
暴れだした心臓を抑えて普通の会話を試みる。
でもエースは、
「なァアコ」
「な、に?」
「俺のことどう思ってる?」
「・・・・・・・・・・どう、って」
「俺はアコが好きだ」
そんな私の努力を粉々に砕いた。
「すっ・・・・・好き、って」
「出来ればこのままベッドに押し倒して襲いたいくらい愛してる」
・・・・・・・・・・・・ものすごい告白だねそれ。
ぽと、と私の肩に落ちた雫。
ああ、髪まだ乾いてなかったんだ。
「・・・・・・・有り難うエース」
「それが返事か?」
「返事はさ」
髪が乾いたら言うよ。
私も好きよ、って。