短編④
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1人暮らしの大変さが最近ようやくわかってきた。
両親の仕事の都合で引っ越しの話しを持ち掛けられたけど、
せっかく希望の大学に入れたのだからと懇願して1人暮らしを始めて数か月。
あるお休みの日、突然電話がかかってきた。
声の主は女性で、
『もしもし?私、メリーさん。今から貴方の家に行くわね』
と言って通話が切れた。
・・・・・・嘘でしょ。
大変なことになった、と外に出た。
そしたら近所に住む、シャンクスとばったり。
「顔が青いな・・・・医者でも行くのか?」
「いっ今電話が!!」
私が1人暮らしを許可されたのはこのシャンクスの力によるものが大きかったりする。
しっかりしてるシャンクス君がいてくれるなら、と。
何かあったらすぐにシャンクスを頼るという条件で(合鍵も渡した)。
確かに優しいし頼れるお兄さんだけど。
・・・・何考えてるかわかんないとこあるんだよね。
「電話?」
「メリーさんが今から来るって!!」
「・・・・・・ほー」
「大変なことになった!!」
「側に居てほしいなら居てやるぞ?」
「ホント!?じゃあうちの片付けお願い!!」
「・・・・・・・片付け?」
「嫌なら買い出しの手伝いお願い、荷物持ち」
有難いお申し出にお願いしたんだけどシャンクスの顔は曇るばかり。
何故。
「だってうちすっごい散らかってるしお茶もお菓子もないんだもん!!」
「・・・・・・・アコ」
「だいたい突然今から行きますとか非常識じゃない!?」
「そのメリーというのはお知り合いか?」
「え・・・・・・・・・いや」
考えてみれば聞いたことのない名前だ。
「知り合いでもないもんのためにそこまでしてやる必要が?」
言われてみればそうかもしれない。
い、いやでも!!
「うちの電話番号知ってて、来るって連絡があったんだから・・・お茶とお菓子くらいは!」
「だっはっは!!1つ忠告しておこう」
「・・・・何を?」
シャンクスはひとしきり笑ったあと、
「恐らくメリーさんは来ねェ」
「え・・・・・でも来るって」
「知らないか?そういう悪戯だ」
「悪戯?」
「今から行く、という連絡のあと、今最寄りの駅に居る、とか電話が来るだろうな」
「普通に親切ね」
「・・・ゆくゆくは、今貴方の後ろに居る、とい言われるんだそうだ」
「不法侵入!?」
チャイムくらい押しましょう!?
「そういうホラー話しだ」
「・・・・ホラー、話し」
「まあ、そういうわけでただのいたずらだな。もし本当に来たのならその時アコは連れて行かれる」
「・・・・何処に?」
「さぁなあ。だがこの世に帰って来れねェのは確かだろう」
「不法侵入の上に誘拐・・・・・・かぁ」
メリーさんは悪女だったのね。
「悪戯に心当たりは?」
「全然ない」
良かった、慌てて買い出しに行く必要も片付ける必要もなくなって。
半分ほっとしていたら、
「そうか・・・・ならまた電話が来るかもしれねェな」
とシャンクスが言った。
「そしたらその時は私怒る」
「怒る?」
「来てもお茶もお菓子もないし散らかってて足の踏み場ないからねって」
非常識であることをちゃんと伝えなきゃ、と言い切ったらシャンクスはまた、
「だっはははは!!!そうか!そりゃ頼もしいなァ!」
弾けたように笑いだした。
・・・まだ子ども扱い。
そして、
「ところで聞き捨てならないことを聞いた」
「え、なに?」
「部屋が足の踏み場もないほど散らかっている、って言ったな」
「あ」
言ってはいけないことを言ってしまった。
「部屋を見させてもらおう」
「い・・・・・・いえ・・・・・いいです・・・・」
「茶も菓子もいらねェ。保護者として見ておかないとな」
「お構いなく!!」
「アコ。仮にあれが悪戯でなかったらどうする?」
「・・・・ど、どうって。メリーさんがいらっしゃるだけじゃない?」
「そしたら連れて行かれることになるな」
「悪戯だと思うよ!?」
「悪戯だとして、だ。危険はないと言い切れるか?」
「それは・・・・!!」
「アコを守るのは俺の務めだ」
「・・・・わかったよう」
渋々シャンクスと家に戻ったら、電話が鳴ってた。
「・・・・もしもし」
『もしもし、私メリーさん』
「自分でさんづけするのもどうかと思・・・じゃなかった、あの、メリーさん?」
『今、◯●駅にいるの』
と、メリーさんは私の家の最寄り駅の名前を口にした。
「あ、それなら南口の八百屋の裏通った方がわかりやす・・・・じゃなくて!突然だからお茶もお菓子もないし散らかってますようち!」
ぷつっ。
・・・・通話はそこで切れた。
「・・・・メリーさん駅に居るって」
「そうか。んじゃまずはさっさと片付けちまうか」
「えっと、まずはお茶菓子の準備」
「俺は酒の方がいいんだが」
「もてなすのはシャンクスじゃないから」
シャンクスなら片付けだってしなくてもいいしお茶もお菓子も出さない。
でもシャンクスは親に私のこと頼まれてるから仕方ないかあ。
部屋の片づけを始めながら、
「電話、また来るかな?」
何となくシャンクスに聞いてみる。
「悪戯なら目的はアコを恐怖に陥れることだろうが・・・今の電話の様子でそれは無理だと悟ったはずだ」
「ということは?」
「悪戯ならもう来ないだろうな。だが悪戯じゃねェなら」
「・・・・また来る?」
「そういうことだ」
「・・・・やっぱお茶菓子買っておけば良かった」
「悪戯なら犯人は相手を間違えたな。これで怖がるようなアコじゃない」
「怖いよ。見知らぬ人のおもてなしなんて」
「心配するな。・・・アコに手出しはさせねェさ、誰であろうと」
・・・シャンクスって、ホントに頼りになる人だなあ。
「・・・・これからも、側に居てね」
「ああ、当然だ」
と、また電話が鳴った。
「もしもしっ」
『もしもし、私メリーさん。今貴方の家の前に居るの』
「ご無事の到着何よりで御座いますっ」
シャンクスに視線を送ったらシャンクスがドアを開けに行ってくれた。
私は、私に出来ることは・・・・!!
「とっておきのお紅茶で御座いますいらっしゃいませ!!」
母さんの好きな紅茶を淹れて玄関まで行って驚いた。
「あら気が利くじゃない、アコ。でもほんとに散らかってるのねえ、甘い物もないの?」
「・・・・・食べかけのチョコならある・・・・って!!母さん!?」
「様子見にきたのよ。メリーさんが」
「・・・・・何でメリーさん」
「脅かそうと思って。でもあんたったら全然怖がらないからつまらないわ。って思ってたけど」
「・・・・けど?」
「シャンクス君が側に居たからなのね?」
「・・・・・あ、あながち間違ってはない」
と頷いたら、
「ならこれから2人で暮らせばいいんじゃない?」
「は!?」
とんでもないことになった。
「ね、シャンクス君」
「はい、必ず部屋を綺麗にさせます」
何か違う!!
「シャンクスっ!!」
「・・・必ず、幸せにする」
「・・・・・・・・・っ」
よろしくお願いします、と頭を下げた。
・・・・・これからも大変な、
2人暮らし。