短編④
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「あれ、嘘」
お昼ご飯を食べ終わって、
自分の部屋に戻った時、それがないことに気がついた。
慌てて部屋の隅々を探す、けど。
「・・・・・・・・・・・ない」
どうしよう。
どうしよう、どうしよう!
誰かに見られたらヤバイ。
でも今日食堂・・・・には持って行ってないし。
ええええ、何処で落としたんだろ!?
広すぎるモビーで見つけるなんて困難過ぎるのに!
慌てて廊下に出たら、ちょうどエースが部屋に入るとこで。
ばっちり目が合った。
「何かあったのか?」
「え。・・・・・・別に、何も」
言える訳がない、エースにだけは。
我ながら上手く誤魔化せたと思ったんだけど、
「アコって嘘下手だよな」
あっさりと見破られてしまった。
「う・・・・・・・」
「で、俺には言えねェことか」
「そ・・・・・・そういう訳じゃ」
ないけど。
怪しい笑顔で近づいてくるエースに思わず小声でどもる。
エースは余裕で私を部屋に押し込み、
「ベッドで聞いたら答えてくれじゃねェかと俺は思うんだけどな、アコ?」
私の手を掴み、
見つめてくる。
・・・・・・・もう、無理。
「言う!言うから!」
・・・・・・・・出来れば言いたくないんだけど。
仕方ない。
「探し物、してて」
「探し物?」
「ペンダント」
短く答えた私にエースは首を捻る。
「俺がやったやつはしてるじゃねェか」
「これはネックレスね。じゃなくて、ペンダント」
「ンなの持ってたか?」
「・・・・・・・・・最近買ったの」
「・・・・・・・・・・・・・・・・へェ」
ぴく、とエースの眉が上がった。
「な、何」
「誰に買ってもらったんだ?」
「や、だから自分で買ったんだってば」
「いつ」
「・・・・・・・この間」
「そんな大事か、そのペンダント」
「すっごく大事」
こくこくと頷いたら、エースの片手が私のしているネックレスに伸びた。
あっちの世界で、エースがくれた、もの。
「これよりも、かよ」
「・・・・・・・・・両方大事だもん」
「何でそんな大事なんだよ」
「ミリアと一緒に出かけた時に買ったの」
「・・・・・・ミリアとお揃いとか?」
「・・・・・・・・・違う、けど」
まずい。
これは非常にまずい。
「どんなのだよ、そのペンダントって」
「・・・・・・シルバー素材で、トップに細かい細工が施されてるやつ」
「あァ、それなら甲板で見たぜ」
「っ!!ありがとエース!!」
甲板だなんて冗談じゃない!
他の人に見られたら恥ずかし過ぎる!!
私は急い部屋を出て甲板に向かった。
「えーと、えーっと・・・・・・」
きょろきょろ首を動かして探してみるけど、
それらしきものは見つからず。
・・・・・・・・・・あれ。
もしかして誰かに既に拾われた?
「あの、このへんにペンダントとか落ちてませんでした?」
「いや、見てないけど」
近くにいた人に声をかけてみたけど、
返事はノー。
・・・・・・・・・・・・あれえ?
おかしいな、と探しながら部屋に戻ったら。
「・・・・・・・・・・ペンダントってこれか、アコ?」
エースが私の部屋で、
まさに探してたペンダントを手に持って待ってた。
「・・・・・・っ!!そそそそれ!それ!」
何でエースが!?
「ふーん、これがそんなに大事なもんかねェ」
いや、そんなことは今はこの際どうでもいい。
「返してエース!!見ないで!」
一刻も早くエースの手から取り返さないと!!
「・・・・・・・俺に見られちゃマズイことでもあるのか?」
「そッ!・・・・・そんなこと・・・・ないけど・・・!」
「ならいいだろ、もうちょっと見ても。見つけたの俺なんだしよ」
「だだだだっだだだだ駄目ぇぇぇ!!」
「・・・・・・・・・・・怪しいよなァ、アコ」
「ちがっ!だってホラ、あの、エースって馬鹿力だから!壊されたらヤだし!!」
「壊しゃしねェよ」
慌てる私を面白ろがるようにエースは笑う。
まずい、まず過ぎる!
この状況は・・・・・!!
「かっ・・・・返して、お願い」
「・・・・・・・・・・んじゃ、ほら」
エースはペンダントを持った腕を上に上げて、
どんと言い放った。
「取り返してみろよ、アコ」
「な・・・・・!」
エースと私の身長差は結構ある。
取れる訳ないじゃん・・・!!
でも今は!そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!
何としてでも取り返さないと!
じっとエースの手の中にあるペンダントを見つめる。
・・・・・・・・ジャンプすれば取れないことはない。きっと。
よし。
「ふんっ!!」
腕を伸ばして飛んだ瞬間、あっというまにエースに掴まれた。
「ぎゃっ、・・・・・・・・ん、っ」
そして何が起きたのかも理解しないうちに塞がれた唇。
しっかりと腰で支えられたエースの片腕のおかげで床に落ちることはなかったけど。
そのままゆっくりと舌が入り込んできて、
・・・・・・・・っもう、信じられない。
「・・・・・っエース!!」
唇が離れてすぐに叫んでみたけど、
やっぱりエースは笑うだけ。
「アコ、顔真っ赤。可愛いぜ?」
「馬鹿!」
「で、これな」
「あ・・・・・・!」
まじまじとペンダントを見つめたエースは、
とうとうそれに気づいてしまったらしい。
絶望の悲鳴を聞いていたはずのエースが持っていたペンダントから、
カチッ、パカ。
と音がした。
「・・・・・・・・・・・・アコ、これ」
目を丸くして驚いた様子を見せたあと、
エースは私にそれを見せた。
「・・・・・・だから言ったじゃん。見ないでって」
ロケットペンダント。
中の写真は勿論エース。
「・・・・・・可愛いことすんじゃねェか」
ひひ、と嬉しそうに笑ったエースはそのまま、
「え、ちょっと」
私をベッドに押し倒した。
「礼もベッドでしねェとな」
「・・・・・・・・・・いやそれエースがヤりたいだけじゃ」
「・・・・・・・アコ。うるさい唇は塞ぐぜ?」
「・・・・・・・・・・・ごほっ」
その後、
『俺もアコの写真入れてェ』
とか言い出したエースを宥めるのが大変でした。