短編④
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「幽霊?」
「そ。出るんだって」
「・・・・・・そんでアコが押し付けられたって訳か」
「訳です」
ナースさん達の間で話題になっていることがある。
ナースさん達が使ってるとある部屋で、幽霊が出るとか。
ということで怖くてその部屋を使えないので、
何とかしてくれと頼まれ・・・・もとい押し付けられたのが私。
で、私もさすがに1人では、とエースを巻き込んだ。
「別に怖くねェだろ?」
「・・・・・や、怖いよ。少しは」
「そっか?出るだけなんだろ?」
「う・・・・ん、確かに何かされたとかって報告はない」
「とりあえず俺は寝てりゃいいんだろ?」
「私に何かあったら助けて」
「どうやって?」
「燃やすとか」
「幽霊に効くのか?」
「・・・・わかんないけど」
エースも幽霊相手じゃ歯が立たない、か。
と残念な気持ちでため息を吐いたら、
エースの耳がぴくりと動いた。
「ようはアコに指1本たりとも触らせなきゃいいんだろ?」
「・・・・そうだけど」
「上等じゃねェか、守ってやるよ、相手が何だろうと」
・・・・エースって単純。
いや、有難い。
エースと一緒はちょっとドキドキ。
でも出来れば心霊現象は起こらないで欲しいなあ。
「んで、具体的にどんなことが起きるんだ?」
「えーっと、ポルターガイスト」
「ぽる・・・・・なんだって?」
「要は物が動く」
「俺達に当たらなきゃ問題なくねェ?」
「いや、勝手に動かしてもらったら困るでしょ。もとある場所に戻してくれたらいいけど」
「・・・・そういう問題か?」
「・・・・そっか。そういう問題でもないか」
エースに言われて考えてみたけど、そうだよね。
「だろ?」
「見られたくないものとかだってあるもんね」
「だよなァ」
「あとは寝てる時に声がする」
「同居人の寝言じゃねェの?」
「1人の時もするんだって。せっかく寝てるの起こさないで欲しいよね」
「そんな怖がることでもない気がするな」
「怖いよ。・・・あと迷惑」
まったく怖がってないエースは頼もしいんだけど。
「幽霊か・・・捕まえたらルフィに自慢できっかな」
・・・・・なんだこの思考。
何か嬉しそうなんだけど。
思考が男の子って感じ、可愛い。
・・・・・じゃなかった。
今日私と2人きりなんだけど。
全然意識してくれないんだなあ。
何でエースを選んだと思ってるんだ。
・・・・誰でも良かった訳じゃ、ないんだけどな。
「・・・・ね、エース」
「ん?」
「怖いから一緒に寝て」
「いいぜ」
躊躇なし!!
・・・・女として見られてないんだなあ私。
エースは即答して、私のベッドにいそいそと潜り込んで来た。
密着した身体にドキドキしてるのは私だけ、か。
「・・・・ありがと」
「消すか?」
「へ!?」
「電気」
「あ、そ・・・・そだね」
電気が消えて。
静かになって。
でも身体に感じる熱い体温。
エースのぬくもり。
・・・・やばいこれは幽霊どころじゃなくない?
「・・・・ねえエース?」
「何か感じたか?」
「・・・ないけど。質問。もし私が幽霊に憑りつかれたらどうする?」
「んー・・・・・そうだなァ・・・・」
ドキドキを誤魔化す為に何気なく聞いたことだったんだけど、
「キスする」
「き・・・・・・・・・・っ、何で!?」
「何となく」
「何となくって・・・・・・」
「キスしたら出て行きそうじゃねェ?」
単純か!!
少しでも期待した私が馬鹿だった。
でもそういうところ好きだぞすごく!!
「・・・・・じゃあ憑りついたら、よろしく」
「おう。任せとけ」
顔が見えないのが残念なくらいカッコイイ声音。
思わずきゅ、とエースの腕を握った。
「・・・エースは、何とも思わないんだね」
「・・・・怖くねェよ、別に」
幽霊、じゃないんだけどな。
何か幽霊にさえヤキモチ妬けてきた。
と同時にそんな自分が馬鹿らしくも思えて。
・・・・もう、寝よう。
「ん。じゃ、おやすみエース」
「・・・・おーおやすみ」
挨拶を交わして数分。
意識が薄れてきた。
・・・・うん、このままもう寝れる。
何事もなく。
襲って来る睡魔に身を任せて寝てしまおう。
そう思った瞬間。
頬に熱い体温を感じた。
・・・・幽霊?
え、幽霊って体温なくない?
え、てかエース・・・・は?
エースも寝たのかな。
もぞ、と隣で動いた。
「・・・・ゆ・・・れい、でた?」
「いや・・・・・全然」
「そか・・・・・」
幽霊が出たら私もちょっと見てみたかったけど、出てないなら寝よ。
「幽霊なんかにゃ渡さねェよ」
エースの意味不明な言葉を最後に私の意識は完全に途切れた。
翌朝。
起きたら何故か部屋が綺麗に整頓されていて、
「エースがやったの・・・・・?」
「・・・・・いや、寝てた」
・・・・2人で呆然。
数日後私はエースに、
あの日の夜実はキスした、と謝罪と告白を受け。
あの部屋で寝泊まりした男女は両想いになれるというジンクスがしばらくモビーの間で続いたとか。