短編④
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「マルコさん、好きです」
「聞き飽きたよい」
「私は言い飽きてません」
呆れたような(実際呆れてるんだろうけど)マルコさんに苦笑しながら、それでも私は言う。
マルコさんが好きです、と。
「いい加減諦めろい」
「じゃあ、諦めさせて下さい」
「俺はお前を妹としか見られねえよい」
「・・・・・もう聞き飽きました」
好きです、と伝えたあの時から。
『お前は妹だ』と。
それだけがマルコさんの返事だった。
私もそれで諦めれば良かったんだけど、諦めなかった。
「俺は特定の女を作る気はねェんだよい。めんどくせェ」
「それは・・・・・色んな女で遊びたいんだよ、ってことですか?」
「そうとってくれて構わないよい」
「まあ、海賊ですしね。そんなもんでしょう」
「・・・・・・・・おい、アコ」
「じゃあその遊びの中の1人でいいです」
一時でもいい、愛してくれるなら。
「そもそも、何で俺なんだい」
もっといい奴がいるだろい?とマルコさんは睨んでくる。
怖くないけど。
「皆いい人達ですよ。大好きです」
「なら、」
「でもマルコさんは違うんです」
「何が違う」
口で説明しろって言われると難しいんだけどな。
・・・・・・・・恋心なんて尚更。
「・・・・・・・・・・マルコさんを見かけると、心臓が一瞬止まります」
そして多分、時間も止まったように感じる。
「それから、目が合うと逃げたいような、飛び込みたいような気持ちになって」
自分でもおかしいなあ、って思って。
「話をするだけで嬉しくて幸せで」
このまま時間が止まればいいのにって、本気で思う。
「・・・・・・それから、背が向けられると寂しくて」
行かないで、って声をかけたくなる。
それをぐっと堪えて。
「ナースさん達と話してる姿を見るとモヤモヤして、苦しくて。・・・・・胸が、締め付けられてっ」
でもそれは全部、
「全部、マルコさんだけなんですよっ!他の人じゃならないんです!駄目なんです!」
だから。
泣いちゃ駄目、きっとそんな女はマルコさんは面倒に思う。
だから駄目、そう思うのと反対に溢れてくる涙。
「・・・・・・・・・・・アコ」
「だああああ!もう!わかってますよ!駄目なことくらい!諦めなきゃいけない、ってこともっ」
泣きながら叫ぶ私の声は、ちゃんと言葉になっているだろうか。
「アコ、落ち着けよい」
「誰のせいでこうなったと思ってんですか!」
言いながらマルコさんは悪くないと私は知ってる。
私が勝手にこうなってるだけ。
でも、でも、でも。
「・・・・・・悪かったよい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はへ」
続けようと思った言葉は出てこなくて、
代わりに何とも情けない声が出た。
その理由は、
ぎゅううっ、と。
マルコさんに抱きしめられたから。
「まる、」
「妹なんて嘘だい」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
耳元で囁かれた言葉。
「妹として見られないから困ってんだよい」
「何ですかそれ。愛人希望ですか」
「・・・・・・あのな」
「・・・・・さっきは愛人1号でもいいって言ったけど、やっぱ嫌です」
それくらいは夢見てもいいよね、海賊だもん。
「それに女の人とっかえひっかえの方がめんどくさいですよ絶対。本気になっちゃたのーとか」
だからマルコさんっ、と涙目で見上げれば、返ってきたのは盛大なため息。
「ほんっとにお前は・・・・・」
「・・・・・・・・何ですか」
ああもういよいよ駄目だこれはと流石の私も諦めた時。
「俺もアコが好きなんだよい」
「え」
「1人の女として、な」
「ええええええええええ!?」
何だか素敵な台詞も微妙な語尾のせいで変な感じだよ!?
どういうこと!?
「いいいいいい今何と!?」
「・・・・・・・・言わせんじゃねえよい。好きだっつってんだ」
好きだ、と確かに聞いた。
マルコさんの口から。
「じゃあ・・・・・・何で、今まで」
私の思いに応えてくれなかったのか。
その、応えは。
「年の差がありあすぎるだろい?・・・いつかお前はもっと若ェのを好きになるんじゃねえかと」
「はあああ!?」
これが目の前に居るのがマルコさんでなかったら、
よーしお前歯ぁ食いしばれ。
と言ったところですが。
「マルコさん酷いです!この気持ちは絶対変わらないのに!父さんに誓えるのにー!!」
「悪かった、よい」
「マルコさんなんてもう知りませんッ」
「っおい、アコ?」
マルコさんに背を向けて、
「でもずっと大好きですからー!!」
言いながら、逃げた。
それから、
逃げる私を追いかけるようになったマルコさん。
今までと反対の状況に笑いながら、
幸せにします、とマルコさんに伝えるまで。
あと数日。