短編④
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しぃぃぃん、とした部屋が嬉しい反面少し寂しい。
ベッドの中で横になりながら耳を澄ませる。
いつも賑やかな船内だけど、
今はお昼時ってこともあって静か。
皆ご飯食べてるのかなあ。
いいなあ、今日お昼何だろう。
・・・・・・こんな、風邪なんかにならなければ。
私だって厨房で皆と一緒にお仕事してるはずだったのに。
「けほっ、けほっ、ごほっ!!」
・・・・あー咳たまに出るし。
微熱あるし。
喉痛いし目眩するし。
こんなんで厨房なんか立たせてもらえる訳ない。
・・・・・・悔しいなあ。
水でももらいに行くか、と立ち上がった時。
コンコン、と軽いノック音。
「はい?」
ドアを開けたらエースが立ってた。
「エース?」
「具合どうだアコ?」
「まあまあ、かな」
「顔色悪いぜ?まだ寝てろよ」
「今お水もらいに行こうかと・・・・あ、それ」
「昼飯。もらってきた」
にぃ、と笑うエースの手にはお粥と飲み物、そして。
「・・・・そっちは?」
「俺の昼飯」
「ここで食べるの?」
エースの分の大量のお皿。
「駄目か?」
「移るよ?風邪」
「別に平気だって」
「・・・・・もう」
いくらエースだって病人の部屋に長いこといれば移る可能性あるのに。
・・・・とはいえ、エースが来てくれて嬉しかったのは事実。
ちょっと寂しかったから。
「食欲は?」
「少しなら」
「ほら、サッチ特製のお粥」
「ありがと。・・・・けほっ、ごほっ」
「・・・・代われるもんなら代わってやりてェよ。大丈夫か?」
エースは自分の食事に手もつけずに私を真剣に心配してくれてる。
嬉しい。
「その気持ちだけで十分、有難う。・・・・頂きます」
「頂きます」
熱々のお粥を口に入れれば、さすがサッチさん特製、美味しい以外に感想がない。
・・・・・でも。
「今日のお昼ハンバーグかぁ・・・美味しいんだよねえサッチさんのハンバーグ」
エースの食べてるハンバーグもとっても美味しそうで悔しい。
「食うか?」
「え・・・・・た、食べる・・・・」
エースは食べかけのハンバーグを一口大に切って、
私の口の前に差し出した。
「ん」
「・・・・ん」
はああ肉汁美味しい!!
ソースもさすが・・・・サッチさんだぁ。
「俺もそっち、食わせてくれよ」
「え、お粥?」
「いいだろ?交換」
「・・・・いい、けど」
エースは口を大きく開けて御粥を待つ。
そこに私がお粥を一掬いして、放り込んだ。
「ん、あちっ」
「あ、熱かった?大丈夫?」
「問題ねェ。美味ェな、これも」
・・・・エースの笑顔にほっとした。
移しちゃいけないのに、ずっと側に居て欲しいとさえ思ってしまった。
欲しかった水分もとれて、食事も終えて。
・・・・エースがいつも通りにここで寝てしまって。
また静かな部屋なんだけど。
・・・・・エースの寝顔がここにあるだけで、不思議と気持ちが違う。
寂しくない。
・・・・・何か私も眠くなってきたなあ。
・・・・・・・あったかい。
「は」
寝てた。
・・・・・・あれ、私座ったまま寝ちゃったはずなのに。
いつの間にかベッドに・・・・・って。
「ひゃっ!?」
思わず大きな声が出て慌てて口元を押さえた。
・・・・何故か、隣にエースが寝ている。
何故。
いやここは起こさなければ!
いくらエースといえども風邪が移っちゃう。
・・・・・・いやでも。
・・・・・・こんなに気持ち良さそうに寝てるのに。
起こすの・・・・・?
「・・・・・エース」
掠れた声で呼びかけてみる。
反応はない。
「・・・・・・・・・・・エース」
ぴくりと手が動いた。
・・・・お?
エースの手が私の額に伸びた。
「・・・・熱ィ」
「・・・微熱、あるから」
・・・・起きた?
エースはゆっくりと目を開けて。
「なァ」
「・・・・何?」
「もうちっとこのまま・・・・・・な?」
にひっ、なんて子供のように甘えて笑ってくるエースに熱が上がっていく。
・・・・・駄目なのに。
「でも・・・・風邪、が・・・・・けほっ」
「絶対移らねェ」
・・・・どん。
自信満々。
「・・・・ほんとに?」
「つーか」
「・・・・つーか?」
「具合悪いアコ1人にしたくねェし」
「・・・・・・・・・・・・でっでもこれはさすがに近すぎじゃ、」
「いいだろ好きなんだから」
「・・・・・・・何が?」
「俺が。アコを」
「・・・・・・・・・・え?」
「邪魔だって言われても離れねェ」
よろしく、と言って彼はまた目を閉じた。
すぐに寝息が聞こえて。
・・・・・・・・・・・・・ま、いっか。
私ももう1度寝よう。
次に起きたら良くなってる気がするし。
(結局風邪は3日後まで治らなかったけど、エースに風邪が移ることはなかった)
・・・・私も好き、っていつ言ったらいい?