短編④
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別に変なものを食べた訳じゃない。
頭がおかしいと言われてもいい。
もういっそ変態と言われても構わない。
・・・・・・・・・・・・私は今、
無性に、
マルコさんに抱きしめられたい。
「マルコさぁぁん」
とりあえずマルコさんを探さないとどうにもい出来ない訳で。
「あ、ハルタ君マルコさん見なかった?」
「マルコ?あっちでエースに説教してたよ」
「・・・・・有難う」
廊下ですれ違ったハルタ君に聞いてみれば有力な情報ゲット。
それにしてもマルコさんいつも大変だなあ。
つい一昨日もエースに何か言ってた気がするし。
しみじみ思いながら言われた通りの場所に行けばエースが寝てた。
「・・・・・・・・・エース?」
控えめに話しかけると、
「・・・・あ?アコ?」
眠そうに半目を開けたエース。
「マルコさん、ここに居なかった?」
「ああ、さっきまで居たけど。何かサッチに用があるって厨房に行ったぜ」
「ありがと。ちなみに何で怒られてたの?」
「ドア燃やした」
てへ、と言わんばかりのエースの答えにそりゃ怒られるわと納得。
それからエースに改めてお礼を言って厨房へ向かった。
厨房にはサッチさんが居た、んだけど。
あれ、マルコさんの姿が見えない。
「あれ、アコちゃん?どうした?」
「サッチさん、マルコさん見ませんでした?」
「マルコなら航海士に話があるって」
「有難う御座います!」
話を聞いて、私はすぐに厨房を出た。
けれど航海士さんに会いに行けば、マルコは甲板に行ったぜ、と言われた。
「・・・・・何で?」
何でこんなに会えないの?
いくらモビーが広いって言ったって。
頑張って追いついてみせる、と走っていけばやっぱり甲板にマルコさんの姿はない。
仕方なく甲板に居たイゾウさんに、
「マルコさん知りませんか?」
と聞けば、
「オヤジのとこに行くって言ってたぜ」
と返って来た。
・・・・・・・いい加減泣きそう。
「・・・・有難う御座います」
がっくりと肩を落としてとぼとぼと父さんの部屋へ。
コンコン、と軽くノックして、
「父さん?アコです」
一言告げて恐る恐る中に入る。
「グラララ・・・!マルコが来たと思ったら次はアコか。どうした」
・・・・・・・・・・・・案の定、マルコさんの姿は見当たらない。
「マルコさん、何処に行ったかわかる?」
「今出て行ったばっかりだが何処に行ったかは知らねェな」
「・・・・・・・・有難う父さん」
部屋を出てから、はあ、と深いため息。
もう諦める。
仕方なくそう決めて自分の部屋に戻る、と。
「え」
私の部屋に、
何故か捜し求めていたマルコさんの姿があった。
「ああ、ちょうど良かったよい」
「マルコ、さん?」
「戻ってこねえから帰っちまうとこだった」
マルコさんはそう言って優しく笑った。
「アコが俺を探してるって色んな奴らに言われたんだよい」
「あ・・・・はい」
「何か用だったかい?」
用、と言われても。
目的はマルコさんに抱きしめてもらうことだった。
・・・・・・・でも、今は。
何か、
「あの、えっと。怒らないで下さいね?」
「・・・・何かしたのかい」
「これからするんです」
「は?」
ぐ、っと眉間に皺を寄せて、怪訝な顔をするマルコさんの胸に私は勢い良く飛び込んだ。
「・・・・・アコ?」
ぎゅう、っと抱きついた。
もう離れないように。
もう、離さないように。
「ほんとは、マルコさんに抱きしめてもらいたいなって思ってたんです、けど」
「・・・・けど?」
「今は何か、抱きしめたいなって、思って」
そう言えば、背中に回された腕。
「たまにゃ悪くねえけど、よい」
鼻をくすぐるマルコさんの匂い。
目の前に見える刻まれたマルコさんの誇り。
「俺はこっちの方が、いいよい」
「・・・・私も、やっぱり抱きしめられたいです」
ぎゅうっとされると落ち着く。
抱きしめて、
抱きしめられて。
「だってマルコさん、追いかけても追いつかないんですもん」
「そりゃ悪かったねい。でも約束だ、俺は必ず帰ってくる」
「ここに?」
「他に何処があるんだい」
「嬉しいです。でも、やですよ。追いかけます」
待ってるだけなんて嫌。
「・・・言うと思ったよい」
「でもって今度は絶対追いつきますから。そしたら」
「・・・・・・そしたら?」
「抱きしめて、下さいね」
「当たり前だろい?」
そして顔をあげて、
どちらからともなく、
唇を重ねた。
追いかけて、
抱きしめて。