短編④
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「普段すっごく意地悪な先輩なんだけどね、すっごく優しくしてくれたの」
「・・・・・で?」
同期がやけに嬉しそうに話してくるから何かと思って箸を止めて聞いてたけど。
「ときめいちゃった・・・・」
・・・・面白い話ではなさそうだ。
「何で?」
「何で、って・・・ときめくじゃない?普段意地悪な先輩の不意の優しさ!」
「ときめかないけど。だって普段意地悪なんでしょ」
「そうだけど・・・・」
「普段から優しい人の方が好き」
「そりゃああんたには素敵な恋人が居るからぁ」
「・・・まあね」
「あんなハイスペック彼氏がいて不満?」
「まさか。不満なんて御座いませんとも」
・・・・まあ、彼女が言う普段意地悪な先輩は私も正直好きじゃない。
「シャンクス君は普段から優しいもんね」
「普段から優しくない人を好きになる理由がわからないんだけど」
「特別感があるじゃない?」
「ただの気まぐれでも?」
「気まぐれでも!あー私告白してみよっかなー」
・・・なんて舞い上がる彼女の気持ちが、私にはちっともわからない。
「俺にはわかる気もする」
「・・・嘘?」
夜の食事の時にハイスペック彼氏・・・もといシャンクスに昼の話しをしてみた。
シャンクスには彼女の気持ちがわかるそうだ。
「俗に言うツンデレだろう?」
「・・・・ツンデレ」
なるほど。
「何でデレだけじゃ駄目なの?」
「ツンがあってこそデレが発揮する、っつーことだな」
「・・・・シャンクスもツンデレが好き?」
「惚れた女限定で興味はあるな」
「・・・何それ」
「例えば、だ。普段雑用を絶対にしない部長がコピーをして来たらどう思う?」
「珍しいと思う」
「部長への評価が上がらないか?」
「普段からやらないからそれはない」
「だっはっは、手厳しいなァ」
「そう?」
「この分なら他の男に取られる心配はなさそうだ」
「・・・・まあ少なくともツンデレには心惹かれることはないかな」
「俺より優しい男が居たら?」
「優しさだけでシャンクスのこと好きになった訳じゃない」
ハイスペックだから、という訳でもない。
・・・難しいけど。
「嬉しいことを言ってくれる。今日は泊まって行かないか?」
「んー・・・・・・そうだね、たまには」
「今日は特別だな」
「特別?」
「普段あまり泊まってくれないが、今日は泊まってくれるんだろう?格別に嬉しい」
「・・・そんなものかあ」
・・・・意地悪とお泊りは少し違う気もするけど。
シャンクスの部屋で、
「特別な酒、どうだアコ?」
「ありがと。・・・今日は特別が多いね」
ちょと高いお酒を頂く。
「特別な日だからな、2人きりで夜を過ごせる」
「・・・素敵」
特別に、とシャンクスお手製のおつまみで。
「さっきの話しだが」
「うん」
「男は惚れた女にあえて意地悪くすることがある」
「・・・それって子供じゃない?」
「男は幾つになってもガキさ」
「・・・シャンクスも?」
「勿論だ。いつでも目に見えるところにお前を置いておきたいと思ってる」
なんて余裕の笑みで言うシャンクス。
「でもシャンクスって私に意地悪したことないよね?」
「ないな。傷つけるのは俺の本意じゃない」
「私も同じ」
「怒った顔も可愛いから見たいという気持ちはある、が・・・・・」
言いながらシャンクスがじっと見つめて来る。
「・・・・怒った顔は可愛くないでしょ」
「可愛い。今の照れた顔も」
「私はシャンクスの怒った顔は嫌い」
「・・・ぐさっと来たな」
「笑ってて欲しい」
だって好きだから。
好きな人を傷つけたり怒らせたいなんて思ったことない。
「・・・俺も、同じだ」
言いながら優しいキス。
「・・・・ん」
・・・・やっぱり私には、好きなコに意地悪する人の気持ちはわからないなあ。
そんな人を好きになる人の気持ちも。
・・・・・ていうか、あの2人絶対両想いなのに。
なのに。
「なあ、某有名テーマパークのチケットが2枚あるんだけど」
仕事中意地悪な先輩が声をかけてきた。
この人私にはあんまりして来ないけどたまに意地悪されるからなあ。
要注意。
「具体的な指示をお願いします」
「俺、行きたいんだよねーここ」
・・・・勝手に行け。
「わかりました。いつですか?」
「まじ?来週の日曜日」
「了解です」
悪いけど、意地悪には意地悪で返させてもらう。
数日後、夕飯を一緒に食べた時のシャンクスの様子が変で。
「・・・・どうしたの?」
問い詰めてみれば、
「・・・・来週の日曜日予定あるか?」
言いづらそうにぽつりと答えた。
「ないけど」
「本当に?」
「本当に」
「ならデートに誘っても?」
「勿論。何処か行きたいとこあるの?」
「某有名テーマパーク。行くんじゃないのか?例の男と」
「行かないよ?」
シャンクスの言葉にすべてを理解した。
何故か何処か不安そうな顔の理由も。
「行かないのか?しかし・・・・」
「行くのは同期のコ」
「・・・・そうは言ってなかったと思ったが」
「私も言ってないからね」
簡単に言えば、私が行くとは明言してないので。
同期のあのコにあげた。文句は言わせない。
だって後ろにあのコがいるの知ってて私を誘ったみたいだし。
だから、
「目には目を。歯には歯をってやつ」
「そういうことか・・・・・すまん」
しょんぼり項垂れるシャンクスに胸が痛んだ。
もっと早く説明しておけば良かった。
「・・・・やっぱり好きな人には笑ってて欲しいよね」
傷つけるのも、不安にさせるのも嫌。
「俺は・・・約束しよう。お前を不安にさせたり傷つけたりしない」
「ん、大丈夫」
信じてるから。
小指と小指を絡めて。
約束。
・・・・・まあでもあの2人はお似合いで。
月曜日、手を繋いで出社してきたとか。