短編④
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「好きって言って」
「好きだ」
「軽い!!」
エースと恋人になって半年。
本当ならまだまだラブラブ期間。
・・・・・・・・・・・のはず、なのに。
何故。
最近エースからの愛を感じない。
食べてる時と弟君の話しをする時のエースは幸せそうなのに。
「もう私のこと好きじゃないの?」
「・・・・そんなにほいほい好きだのなんだのって言う必要あるか?」
エースは怪訝な顔。
というか機嫌がみるみる悪くなっていく。
「・・・・もういい」
「・・・・もう駄目かも」
と仲の良いナースさんに愚痴ってみる。
「まだ半年でしょ?倦怠期でもあるまいに」
「だーってー・・・・!!!」
「そもそもアコはエース隊長に好きって伝えてるの?」
「伝えてますよ」
「どうやって?本人ここにいると思って言ってみて」
「好き」
「・・・・・同じじゃない?エース隊長と。軽いわ」
ナースさんの呆れた視線。
「あ・・・愛してる!!」
「慌ててとりあえず言ってみました感満載ね」
「ええええええ!?」
私は今でもエースのことすごく好きなのに!?
「それでエース隊長はどんな反応なの?」
「・・・・・・おーって」
「・・・・・なるほどね」
「何ですかなるほどって!?」
「エース隊長にとってアコは空気みたいなものなのよ」
「・・・・つまり?」
「居て当たり前の存在ってこと」
「・・・・いて、当たり前」
「それを嬉しいと思うか、有難みをもってほしいと思うかはアコ次第よね」
正直を言えば、半分は嬉しい。
・・・・でももう半分は、少し寂しい。
っていうのが本音。
今日の分の後片付けと明日の下ごしらえを終えて、
寝てるエースの隣に座った。
私はこれから夕飯。
・・・・・気持ちよさそうに寝てるなあ。
何の夢見てるんだろう、
私の夢を見ることはあるのかな。
「ん。起きた」
「はい、おはようエース」
「明日の朝飯何・・・・?」
・・・・私よりご飯が先。
「明日の朝までのお楽しみ」
「ん。お疲れ」
「・・・ありがと」
寝起きのへらりとした笑みが私に向けられた。
・・・可愛い。
この笑顔は、私だけ。
って思いたい。
「なァ、アコ」
「・・・・ん?」
「俺、不安にさせてるか?」
「え」
「俺と一緒じゃつまんねェ・・・・?」
「何で・・・・?」
「最近妙なこと言って来るし」
エースは真顔でそう聞いて来た。
・・・・何故かそれが、私にはとても悲しかった。
駄目?
愛を確かめたいって思うのは。
・・・気持ちのこもった好き、を聞きたいのは。
エースにとっては面倒、かなあ。
「・・・・ごめんね」
「アコ?」
「もう言わない」
そう言い切って私はお皿を置いて、立ち上がった。
「おい」
「ご馳走様でした」
「アコ」
食器を片付けて、
1人部屋に向かった。
・・・・・そうだよね、私面倒だったよね。
ため息吐きながらドアを開けて、
締める寸前でぴたりとドアが止まった。
「な、え」
「させるか」
「・・・・何してんのエース」
「何怒ってんだよアコ」
エースの馬鹿力。
ドアが壊れそうなので、壊れる前に中に入れてあげた。
ぱたん、とドアが閉まった瞬間エースに強く抱きしめられた。
「怒ってない、よ」
「嘘つくなよ。怒ってンだろ」
「・・・・そう見える?」
「怒ってるようにしか見えねェ」
「エースに嫌われるような自分に怒ってるの」
「・・・・・は?」
「我ながら面倒な女だったなって」
ここで可愛くごめんね、と言えないあたりも相当面倒。
・・・・そうだよ、エースはさっき心配してくれたのに。
こんな私を間違いなく愛してくれてるのに。
空気みたいな存在?
いて当たり前?
違うわ。
・・・・当たり前なんかじゃ、ない。
「ばーか。面倒な訳あるか」
ちゅ、と頬に唇が落とされた。
「・・・・馬鹿って言われた」
「ははっ、そこで拗ねんのかよ。可愛い」
「・・・可愛い?ほんと?」
「アコは可愛い。俺が保障する」
「でも面倒じゃない?」
「面倒・・・・つーか」
「つーか?」
「俺、女とかあんま知らねェし・・・・どう付き合ったらいいかわかんねェから、不安」
「不安?」
エースが・・・・不安?
「あんま好きとか恥ずかしくて言えねェし」
「・・・いや、恥じらいなかったよね」
「いつも恥ずかしい思いしながら言ってんだぞ!?」
「そうなの!?」
いつもしれっと言ってるようにしか見えなかったんですけど!?
・・・・・でもそっか、そうだよね。
私もすっごい気持ちこめて好きっていっても軽いってナースさんに言われたし。
・・・・そんなもの?
「だからよ・・・俺じゃアコは駄目なのかって・・・いつも不安になってんだよ」
し・・・・・知らなかった!!
「私だって・・・・不安に、なってた」
「・・・・俺じゃ駄目ってことか?」
「いや、私じゃ駄目なのかなって」
「あれか?それが好きって言ってに繋がるのか?」
「・・・・・・つながるのです」
頷いた私にエースは何かを考えるように視線をあちこちに動かして、
最終的に私の目をじっと見つめた。
「好きだ、アコ」
簡単に口にしてるように見えた、けど。
・・・・・目が、とても真剣で。
「・・・・私も好き」
・・・・自然と口に出てた、私も。
それから、不安になることも。
好きって言って、って言うことも。
エースが側に居てくれて当たり前だと思うこともなくなりました。
(不安になったら腹割って話すのが1番)