短編④
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「どうしようコレ・・・・・」
部屋で1人で、目の前にある小瓶を見つめて呟いた。
・・・・・というか。
捨てれば良かった。
『良かったら君が使って』
そう言った男の人の言葉。
・・・・・と、真っ先に浮かんだエースの顔。
いやいや。
私は!!こんなの絶対使わない!!
海に捨てよう。
心に決めて部屋を出た瞬間。
「どっか行くのかアコ?」
まさかのエースとバッタリ。
「え・・・・・エース・・・・・」
「何持ってんだ?飲みモン?」
「あ、いや、これは・・・・・」
これは絶対エースに飲ませる訳にはいかないもので。
そんな私の焦りと正反対にエースは嬉しそうな笑みを浮かべて、
「一口くれ」
「え」
「頂きます」
「あ」
私の手から瓶を奪い取り、ごくり。
「あああああああ・・・・・・!!!」
「何だコレ。水か?」
エースは瓶から口を離して変な顔。
・・・・で、私を見た。
見ちゃ駄目ぇぇぇ!!!!
言えないけど!!
エース!!!それは!!今貴方が飲んだのは!!
惚れ薬ですぅぅぅ!!!!
何故私が惚れ薬などを持っているのかというと。
作ったのではない。作れない。
サッチさんからもらったものでもない。
見知らぬ男性からもらったものだ。
始まりは昨日。
船が島に着いた。
1人でふらりと買い出しに出た私は、
街中でナンパをされた。
「君可愛いなあ。初めて見る顔だね」
「・・・・初めて来ましたので」
私もまあ根が真面目なもんで相手しちゃったりして。
「観光?俺案内するよ」
「いえ、ただの買い出しです」
「買い出し?旅の人?」
「海賊ですー」
普通これを言えば笑うか怖がるかのどっちかなんだけど、
「へえ、そうなんだ!安くていい店教えるよ、良かったら」
「・・・・・まじで」
ということで買い出しに付き合ってもらって、
美味しいお店を教えてもらってご飯を食べて。
その時、
「ねえこれ飲んで」
「え、嫌です」
渡された瓶。
「料理人の君の感想を聞きたいんだよ」
・・・・と言われ一口飲んでしまった。
「・・・・美味しくない水」
「実はこれ惚れ薬でした!」
てれってててー。
とか言われて思わず顔を顰めた。
「飲んですぐに見た人を好きになっちゃうやつ。どうどう?」
「こんな不味いもん飲ませる人好きになれない」
「あれ・・・・・」
というか私好きな人居るし。
「そもそもこんなんで惚れさせたところで効果切れたら終わりじゃない・・・・?」
「それもそうかぁ・・・・残念。じゃあこれは君にあげるよ。効果ある人には効果ある、実証済みだからさ」
良かったら君が使って。
・・・・・と無理やり渡されて持って帰ってしまったもの、で。
「・・・・・・エース大丈夫?なんともない?」
「別に何ともねェけど・・・・」
エースは怪訝な顔で私を見る。
良かった・・・・エースにも効果がなかったみたいだ。
「何だ、これ。調味料か?」
「・・・・惚れ薬」
何ともなかったみたいなので正解を言ってみたら、
「はァ?」
・・・・まあ、こうだよね。普通。
「えーと・・・・実は・・・・」
と、昨日の出来事を簡単にエースに説明。
「・・・・・・んで、誰に使うつもりだったんだ?」
エースは何故か真顔になった。
「捨てるつもりだったに決まってるじゃん」
「・・・・捨てんの?」
「あげないよ!?」
何だかエースが名残惜しそうに惚れ薬を見てるから慌てて取り返そうとしたけど、
ひょい、と交わされた。
「ちょっ、エースは誰に使うつもりなの!?」
「さーて、どうすっかなァ・・・・」
「薬で好きな人手に入れて嬉しい!?」
エースは私の必死の抵抗にぴたりと動きを止めた。
「嬉し・・・・・・くは、ねェな」
「でしょ!?」
「・・・つーか、飲んだんだったな」
「え、私?」
「ん」
「飲んだ・・・・・よ?」
「効かなかったんだよな」
「まあ私は好きな人が居るから、かな」
「・・・・好きな奴いると効かないのか」
「たぶん」
「だから俺も効かなかったのかもしれねェな」
「誰!?」
惚れ薬を使おうとしたあたり好きな人がいることは予想出来たけど、エースの口から実際聞くと少し辛い。
・・・・私が好きな人は、エースだから。
「俺だけ言うってのはずるいよな」
「・・・・・う、まあ・・・そうだけど」
「聞かせろよアコの好きなやつ」
「ええええええ・・・・・・!?」
「そしたら俺も言う」
「ええええっと・・・・・それは・・・・」
「じゃあどうやって惚れ薬を飲ませる?」
エースは楽しそうに聞いて来る。
こ・・・・こんな形で告白なんて!!
「・・・・作った食べ物に混ぜて、試食って形で食べてもらう」
「まあ、そうだよな。それがアコにとっちゃ1番自然か」
「・・・・エースなら?」
「俺なら・・・・そうだなァ、料理してる最中に喉乾いただろって差し入れる飲み物に混ぜる」
「・・・・料理するんだその人」
「ああ、するな」
「たまにする人?どんな人?」
「毎日してるぜ。うちの自慢の料理人だし」
「サッチさん!?」
「・・・あのな、何でサッチに惚れ薬盛らなきゃいけねェんだよ」
「あ、そっか」
自慢の料理人と言われてつい。
「もうわかっただろ?俺の好きな奴」
「・・・・・・・・・え、あ」
・・・・・・・・でもだって、うちの料理人で女って。
私しか、居なくて。
「・・・・私、ブートジョロキアペペロンチーノ作って食べさせる」
「・・・それ、俺の好物」
「・・・・だから」
私が好きなのは、エースだから。
どうやらお互いに惚れ薬を使う必要はなさそうです。