短編④
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
星を見に行かないか、と誘われた。
好きな人に。
会社の先輩で、カッコ良くて優しくて。
入社した時は憧れで。
徐々に好きに変わっていった。
・・・・・シャンクス先輩。
星にはあまり興味はなかったけど、好きな人に誘われたという事実と、
その日は予定もなかったので2つ返事で承諾した。
冬が終わりかけの、夜。
それでもまだ寒いかもしれないと着るものの心配をしたりして。
何人来るんだろう。
何処に行くんだろう。
先輩は星が好きなのかな。
綺麗に見えるといいなあ。
なんて色々考えながら、あまり気合を入れ過ぎない恰好で待ち合わせ時間、
夜21時。
待ち合わせ場所に行ったら。
「あれ?」
「どうかしたか?」
「・・・・・シャンクス先輩?」
「ん?」
・・・・シャンクス先輩1人しか居なかった。
もう待ち合わせ時間なのに。
「皆遅いですね?」
「皆?」
「あと何人くらい来るんですか?」
「・・・・・・そうか」
「・・・・へ?」
シャンクス先輩が苦笑したので何のことかと首を傾げた。
「すまん、言ってなかったな。今日は2人きりだ」
「え」
「嫌だったか?」
「いえいえいえいえ!!滅相もない!!」
まさかの先輩と2人きりだった!?
しかも!!
「じゃ、乗ってくれ」
・・・・・・・・先輩の車。
「・・・・・えーと、どちらに」
「山のてっぺんだ」
「てっぺん!!!」
「その方が星が良く見える」
「そうなんですね・・・・!!」
先輩すごいなあ、よっぽど星が好きなんだろうなあ。
先輩の情熱に感動しながら車にお邪魔した。
「今日は天気もいいし綺麗に見えそうだ」
「素敵ですねー」
・・・・・何で先輩は私を誘ったんだろう。
私別に星に興味はないのに。
あ、むしろそれで?
星に興味がない私に興味を持って欲しくて?
先輩からなら蘊蓄を聞かせられるのも悪くない。
聞かされてもたぶん何がすごいとかよくはわからないけど。
「飯は?」
「あ、まだです」
皆で食べるのかと思って食べて来なかった。
「ちょうどいい。おススメの店があるんだ、このあと行ってみないか?」
「わぁ、是非!!」
先輩と星を見に行って食事とかすごすぎる。
ありがたやありがたや。
「知ってるか?今日は運が良ければ流星群が見れるそうだ」
「流星群・・・・願い事何にしようかなあ・・・・」
「興味あるな」
「え、私の願い事にですか?」
「ああ、聞かせてくれないか?」
何だろう・・・・シャンクス先輩との両想い。
なんてだいそれたことは無理だから。
「・・・・んー肩こりが治りますように?」
「はははっ、デスクワークは肩が凝るからな」
「そうなんですよ。・・・先輩の願いごとって何ですか?」
「そうだな・・・・・この後美味い飯が食えたらいいと思ってる」
「・・・・美味しいとこなんですよね?」
「味は間違いねェ」
・・・・・なのに何でそんな願い事?
「見れるといいですね、流星群」
「・・・・そうだなァ」
先輩はぽつりと呟いたけど、
あまり流星群にご執心には思えない。
「・・・・先輩?」
「少し揺れる、気を付けてくれ」
「あ、はい」
忠告と同時に先輩の片手が私の肩に添えられた。
ひええええ!!
「・・・今から行くところは、星もいいが夜景も綺麗に見えるんだ」
「よく行かれるんですか?」
「いや、今日で2回目だ」
2回目かあ。
1回目は誰と来たんだろう。
やっぱ女の人かなあ。
ぼーっと考えていたら、
「眠いか?」
「え?」
「眠かったら寝てていい。もう少しかかりそうだ」
・・・・優しいなあ、先輩は。
「大丈夫です!起きてます!」
せっかく先輩と2人きりなのだから!
「無理はしなくていい、仕事でも無理させっぱなしだしな・・・・疲れてないか?」
「いやいや先輩の方がいっつもバリバリ働いてるじゃないですか!」
「ははっ、そうか?」
「はい!めっちゃ輝いてます!!」
「・・・星みたいに、か?」
「星以上です!」
「そんなこと言われたのは初めてだな・・・有難う」
それからよしよし、と頭を撫でられた。
・・・・やっぱ寝れば良かった。
恥ずかしい。
しばらくは他愛のない話しをして、
数分。
「着いたぞアコ」
頂上に着いたらしい。
車から降りてすぐに開けた場所があって。
「・・・・・・こんなに、綺麗に」
見える物なのか、星って。
空を見上げて驚いた。
「下の方はどうしても灯りが多いからな」
見下ろせばそこに広がるのはこれまた美しい夜景。
「癒されるぅ・・・・・・・・」
「寒くはないか?」
「はい、大丈夫です!」
プラネタリウムと勘違いするほど星がたくさん見える空。
「あの1番明るい星は何ですか?」
「・・・・金星じゃねェかと思うが」
・・・・・あれ。
なんか先輩困ってる?
蘊蓄は!?自慢は!?
「そんなことより」
そんなことより!?
「2人きりだな」
さっきからですけど!?
「そ・・・・そうですね・・・・?」
「ずっとこの時を待ってた」
そっと肩に添えられた手が私の身体を抱き寄せた。
「えっ流星群見れました!?」
先輩待望の流星群!?
慌てて空を探すけどわからなかった。
「いや・・・・・・ははっ、ホントに面白いな」
「わ・・・私ですか?」
「いつも予想ななめ上を来る・・・可愛いな」
「・・・・・それ褒めてます?」
「褒めてるつもりだ」
ククッ、と楽しそうにシャンクス先輩が笑うから、
私もまあいいかと納得した瞬間。
ふわりと抱きしめられた。
「先輩!?星は!?星見れませんよ!?」
「見たいか?」
「ていうか先輩星好きなんですよね!?」
「いや、興味はないな」
ないの!?
「2人きりになりたかっただけだ」
「私に何か・・・・?」
「ああ、言いたいことは1つだ」
「はい!」
「好きだアコ」
「す・・・・・・・・・・・?」
「一世一代の告白なんだ。星空に託してみるのも悪くないかと」
「えええええ!?」
「返事次第で飯が美味くなるか不味くなるかが決まる」
そんなプレッシャーな!!
・・・・って勿論返事は決まってるんだけど。
「聞かせてくれ・・・どんな返事でもここに置いて行ったりはしねェから」
その時先輩の逞しい身体越しに、
「光った!!」
「・・・・光った?」
「ななな、流れ星!流星群です先輩!!」
「お、いいな」
「願い事願い事!!」
「・・・・・良い返事が聞けるように頼む」
ここで頭が真っ白な私が口走ったのは、
「シャンクス先輩と両想いになれますように!!」
・・・・自分でも予想してなかった。
予想ナナメ上びとです、はい。
この後めっちゃ笑顔のシャンクス先輩と美味しいご飯を食べました。
まる。