短編①
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右手にお肉を持ったまま、あどけない表情で目を閉じている男が居る。
どんないい夢を見ているのか、その顔は幸せそうだ。
「・・・・・・・・・・その顔も今日までよ」
私は沸々と湧き上がる怒りを抑えながら、
横に座るその男を見た。
がし、と確かに男の左腕を掴んだ。
その瞬間私は勝利を確信した。
けれど、
「っ!?」
掴んだ腕が強い力で引き寄せられた。
「積極的だなァ、アコ。そういうの嫌いじゃないぜ?」
「ひっ火拳のエースッ!!」
にやりと笑った憎たらしいその姿。
しまった、狸寝入りだったかと気づいた時には既に遅かった。
ちゅ、と額で音がして。
あ、と思った時見えたのは彼曰く『誇り』が刻まれた後姿。
・・・・・・・・・・・・・・むかつく!
火拳のエースを追っている私が、
もっとも有力な情報を掴んだのは昨日。
最近火拳のエースが出入りしてる店がある、と。
その情報通り店にやってきた火拳。
火拳は食事の最中に寝るということも知っていたから、今度こそ!と思ったのに。
「で、また駄目だった訳だ」
「不覚だった!狸寝入りだったなんて!」
「しかもデコちゅーまでされた、と」
「ああああ!悔しいっ!」
歩きながら仲間に愚痴をこぼせば、
「でも最初は口にだったんだろ」
聞きたくない答えが返ってきて思わず耳を塞いだ。
「やめて!思い出したくないっ!」
「でもそれがきっかけで火拳追ってるんだろお前」
「そうだけど・・・・だって乙女の唇奪うなんて最低じゃない!絶対この手で捕まえてやるんだから!」
「・・・・・まあ火拳を捕まえることには文句ないけど、ハタから見りゃお前アレはただの「あー!火拳発見!」」
目の前を歩く人の中に、火拳のエースを見つけた。
しかもこともあろうに、私と目が合って、不適な笑みを浮かべた。
挑戦的、に。
「私!行ってくる!」
「おー行って来い。・・・・つーかどう見てもありゃ火拳のアプローチ、だよなあ」
後ろで仲間が何か言ってたけど、今の私には火拳しか見えてなかった。
「火拳のエースぅー!!止まりなさーい!」
見失わないように必死に追いかける。
この人混みに紛れ込まれたら、
「え、」
さっきと同じ感覚。
ふと手元を確認すると、先程と同じように掴まれていた。
同じ、手に。
「んなっ」
「こんな人混みの中でやり合う気か?」
「う」
「仮にも海軍だろ?着いて来いよ」
目の前を歩く火拳の台詞に思わず言葉を失った。
・・・・・・確かに、こんなとこで下手に刺激するべきじゃなかったかもしれない。
引かれた腕は、強かったけど痛くはなかった。
・・・・・・あれ、何かドキドキしてる。
「ま、この辺まで来りゃ大丈夫だろ」
連れて来られた場所は、崖っぷち。
人の姿はない。
「ってここ崖!何、自殺でもするつもり?」
「んなことする訳ねェだろ?つーか俺はこんなんじゃ死なねェし」
「そっそうよね・・・・・!」
白ひげ海賊団2番隊隊長でもある彼がこんな崖で死ぬ訳ないか。
「で?俺をどうするつもりだ、アコ?」
火拳のエースはあくまでも余裕綽々。
「勿論、捕まえます!」
海楼石入りの手錠を手に、私は崖側に立っている火拳を睨みつける。
「ああ、来いよ」
これまでの経験からして、普通にかかって行っても勝ち目はない。
交わされるだけ。
なら、
「私ずっと思ってたんだけど」
1歩。
「・・・・・何だよ」
また1歩、近づく。
「食べながら寝るの良くないと思う」
「・・・・・・・・ほっとけ」
火拳が呆れたような笑みを浮かべた瞬間、
私は火拳に向かって勢い良く手錠を突き出した。
名づけて、ボケに突っこんだところを狙う作戦!
けれど、
「わ!?」
あっさり私を避けた火拳。
私は自分の作戦に確信を持っていた為、予想外の出来事に頭が追いつかなかった。
そう、忘れてた。
ここが・・・・・崖だってことを。
落ちたら、死ぬ。
空中に浮かんで、あとはもう落ちるだけだ。
ああ、私死ぬんだ。そう覚悟を決めた瞬間。
「うお!?・・・・・あっぶねェなお前!」
また腕を、掴まれた。
「・・・・・ひ、けん?」
「海軍で何教わってんだ!?」
「・・・・・ええ!?」
か・・・・・海賊に、火拳のエースに怒られた。
しかも、すごく真剣な顔。
「ったく、俺が手ェ伸ばさなかったらどうなってたかわかってんのか?」
「・・・・・・・・・すみません」
って何謝ってんの私。
あ、でも助けてくれたんだから当然か。
「今日はここまで。ちゃんと修行してからまた来いよな」
・・・・・考えてみれば、さっきも一般人を巻き込まないように考えてくれたし、
ご飯美味しそうに食べるし、
寝顔可愛かったし・・・・?
私を、助けてくれた。
何でだろう、火拳に掴まれた箇所が異様に熱い。
「っ次は絶対捕まえる!」
もしかしてもしかしなくても私、
「ああ、楽しみにしてるぜ」
「ぜーったい捕まえてみせる!好きだから!」
私、火拳のエースのことが。
いつの間にか好きになってたんだ。
思い切りそう叫べば、
火拳のエースはニィ、と唇を引き上げて。
「そっか。じゃあ次は俺も遠慮しない」
「む」
「次はアコを掻っ攫う」
「・・・・・・・む?」
「ってことでよろしくな!」
にし、と言う爽やかな笑顔を残して。
火拳のエースは去っていった。
・・・・・・・・やだ、カッコいい。
私は海軍で、
相手は海賊なのに。
そう思うなんてやっぱり私は、
彼に恋をしたということで。
でも、
いくら好きになったからって。
そう簡単に掻っ攫われてなんかやんないんだから。
そう心に固く誓いつつ、
今日何度も掴まれた腕のぬくもりは、
忘れられそうにない。
どんないい夢を見ているのか、その顔は幸せそうだ。
「・・・・・・・・・・その顔も今日までよ」
私は沸々と湧き上がる怒りを抑えながら、
横に座るその男を見た。
がし、と確かに男の左腕を掴んだ。
その瞬間私は勝利を確信した。
けれど、
「っ!?」
掴んだ腕が強い力で引き寄せられた。
「積極的だなァ、アコ。そういうの嫌いじゃないぜ?」
「ひっ火拳のエースッ!!」
にやりと笑った憎たらしいその姿。
しまった、狸寝入りだったかと気づいた時には既に遅かった。
ちゅ、と額で音がして。
あ、と思った時見えたのは彼曰く『誇り』が刻まれた後姿。
・・・・・・・・・・・・・・むかつく!
火拳のエースを追っている私が、
もっとも有力な情報を掴んだのは昨日。
最近火拳のエースが出入りしてる店がある、と。
その情報通り店にやってきた火拳。
火拳は食事の最中に寝るということも知っていたから、今度こそ!と思ったのに。
「で、また駄目だった訳だ」
「不覚だった!狸寝入りだったなんて!」
「しかもデコちゅーまでされた、と」
「ああああ!悔しいっ!」
歩きながら仲間に愚痴をこぼせば、
「でも最初は口にだったんだろ」
聞きたくない答えが返ってきて思わず耳を塞いだ。
「やめて!思い出したくないっ!」
「でもそれがきっかけで火拳追ってるんだろお前」
「そうだけど・・・・だって乙女の唇奪うなんて最低じゃない!絶対この手で捕まえてやるんだから!」
「・・・・・まあ火拳を捕まえることには文句ないけど、ハタから見りゃお前アレはただの「あー!火拳発見!」」
目の前を歩く人の中に、火拳のエースを見つけた。
しかもこともあろうに、私と目が合って、不適な笑みを浮かべた。
挑戦的、に。
「私!行ってくる!」
「おー行って来い。・・・・つーかどう見てもありゃ火拳のアプローチ、だよなあ」
後ろで仲間が何か言ってたけど、今の私には火拳しか見えてなかった。
「火拳のエースぅー!!止まりなさーい!」
見失わないように必死に追いかける。
この人混みに紛れ込まれたら、
「え、」
さっきと同じ感覚。
ふと手元を確認すると、先程と同じように掴まれていた。
同じ、手に。
「んなっ」
「こんな人混みの中でやり合う気か?」
「う」
「仮にも海軍だろ?着いて来いよ」
目の前を歩く火拳の台詞に思わず言葉を失った。
・・・・・・確かに、こんなとこで下手に刺激するべきじゃなかったかもしれない。
引かれた腕は、強かったけど痛くはなかった。
・・・・・・あれ、何かドキドキしてる。
「ま、この辺まで来りゃ大丈夫だろ」
連れて来られた場所は、崖っぷち。
人の姿はない。
「ってここ崖!何、自殺でもするつもり?」
「んなことする訳ねェだろ?つーか俺はこんなんじゃ死なねェし」
「そっそうよね・・・・・!」
白ひげ海賊団2番隊隊長でもある彼がこんな崖で死ぬ訳ないか。
「で?俺をどうするつもりだ、アコ?」
火拳のエースはあくまでも余裕綽々。
「勿論、捕まえます!」
海楼石入りの手錠を手に、私は崖側に立っている火拳を睨みつける。
「ああ、来いよ」
これまでの経験からして、普通にかかって行っても勝ち目はない。
交わされるだけ。
なら、
「私ずっと思ってたんだけど」
1歩。
「・・・・・何だよ」
また1歩、近づく。
「食べながら寝るの良くないと思う」
「・・・・・・・・ほっとけ」
火拳が呆れたような笑みを浮かべた瞬間、
私は火拳に向かって勢い良く手錠を突き出した。
名づけて、ボケに突っこんだところを狙う作戦!
けれど、
「わ!?」
あっさり私を避けた火拳。
私は自分の作戦に確信を持っていた為、予想外の出来事に頭が追いつかなかった。
そう、忘れてた。
ここが・・・・・崖だってことを。
落ちたら、死ぬ。
空中に浮かんで、あとはもう落ちるだけだ。
ああ、私死ぬんだ。そう覚悟を決めた瞬間。
「うお!?・・・・・あっぶねェなお前!」
また腕を、掴まれた。
「・・・・・ひ、けん?」
「海軍で何教わってんだ!?」
「・・・・・ええ!?」
か・・・・・海賊に、火拳のエースに怒られた。
しかも、すごく真剣な顔。
「ったく、俺が手ェ伸ばさなかったらどうなってたかわかってんのか?」
「・・・・・・・・・すみません」
って何謝ってんの私。
あ、でも助けてくれたんだから当然か。
「今日はここまで。ちゃんと修行してからまた来いよな」
・・・・・考えてみれば、さっきも一般人を巻き込まないように考えてくれたし、
ご飯美味しそうに食べるし、
寝顔可愛かったし・・・・?
私を、助けてくれた。
何でだろう、火拳に掴まれた箇所が異様に熱い。
「っ次は絶対捕まえる!」
もしかしてもしかしなくても私、
「ああ、楽しみにしてるぜ」
「ぜーったい捕まえてみせる!好きだから!」
私、火拳のエースのことが。
いつの間にか好きになってたんだ。
思い切りそう叫べば、
火拳のエースはニィ、と唇を引き上げて。
「そっか。じゃあ次は俺も遠慮しない」
「む」
「次はアコを掻っ攫う」
「・・・・・・・む?」
「ってことでよろしくな!」
にし、と言う爽やかな笑顔を残して。
火拳のエースは去っていった。
・・・・・・・・やだ、カッコいい。
私は海軍で、
相手は海賊なのに。
そう思うなんてやっぱり私は、
彼に恋をしたということで。
でも、
いくら好きになったからって。
そう簡単に掻っ攫われてなんかやんないんだから。
そう心に固く誓いつつ、
今日何度も掴まれた腕のぬくもりは、
忘れられそうにない。