短編④
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「愛してる、俺の女になってくれる気はねェか?」
そう言ってくれたお頭に頷いて。
恋人同士になれたと喜んだ次の日。
船は島に着いて。
お頭は自分の部屋に見知らぬ女を連れ込んだ。
「・・・・いいのかアコ?」
ヤソップさんが気まずさそうに聞いて来る。
「良くはないですけど」
今は一緒にヤソップさんとお皿洗い。
「お頭に言わないのか、何も」
「言ったところで反論されそうで」
「・・・・なんて?」
「俺は海賊だぞ、とか。良くて1番はお前だからいいだろう的な」
「・・・・言うか?お頭が」
「だって女連れ込むってことはそういうことじゃないですか」
正直私もショックではある。
お頭がそんな人だったなんて思わなかった。
・・・・思って、なかった。
でも実際に私に愛してると言ったお頭は1日で他の女を連れ込んでる訳で。
「乗りこまないのか?」
「何処に?」
「・・・お頭の部屋」
「何の為に?」
「私の男に手ェ出すんじゃないわよっ!!みたいな?修羅場ってやつ?」
・・・・ヤソップさん、心配してくれてるのかと思いきや。
絶対楽しんでるだけだなこれ。
「手出してるのお頭でしょ?そりゃ四皇に誘われたら断れませんて。女性に罪はありませんよ」
「・・・・逆に怖いんだけどそれ」
怒ってないのか?とヤソップさんが聞いて来る。
「・・・・怒ってる、というか」
「というか?」
「戸惑ってる、が正解ですかね」
「・・・・あー・・・・まあ、そうなるか」
「昨日の告白は夢だったのかしら、とか」
「そう思うわなあ」
「夢じゃなかったとしたらお頭は何で今日、今この時私の隣に居ないのかしら、とか」
考えるは考える。
答えは出ないけど。
「浮気は許すタイプか?」
「私だけを見ていて欲しいとは思わないけど」
「・・・・けど?」
「やるならうまくやって欲しいですね。それが出来ないならいりません」
「嫌だって言った方がいいんじゃねェの?お頭に」
「んー・・・・・」
「このまま黙ってるのか?ずっと」
「・・・・・それは、嫌ですけど」
「けど、ばっかだな」
「・・・・ですね」
私だって・・・・たぶん私が1番どうしたらいいかわからないんだもの。
お皿洗いも終わって自由になったので、
仕方なく1人で街にでも出てみようかと思っていたら(まあ1人で外出禁止令出てるんだけど)、
お頭の姿を見かけた。
「・・・・あ、れ」
1人だ、お頭。
「ん?」
思わず声が出た私と目が合った。
「何処か行くのかアコ?」
「あ、えっと・・・・街に出てみようかと」
「俺も行く」
「え」
「・・・他の誰かと行く予定でもあるのか?」
・・・・・何だ、この堂々とした態度は。
やっぱりさっきの女の人のこと何とも思ってないの?
私がまったく何も思ってないとでも?
それとも私なら全部許してくれるとでも思ってるのかしら・・・?
ちくりとでも何か一言、と思ってたのに。
・・・・なんか、拍子抜け。
「・・・・いえ、別に」
「まさか1人で出掛ける気だったのか?」
「はあ、まあ」
「1人で外出は?」
「・・・禁止」
「まったく油断も隙もないな、アコは」
それこっちの台詞なんですけど。
・・・さっきの、浮気じゃなかったのかな。
浮気して堂々としてられるような人を私は好きになったんじゃない。
だからきっとさっきのは浮気じゃない。
昔からの知り合いとか、
何か専門知識を持ってる人とかで。
・・・・相談してただけ、なのかも。
駄目だな私。
勝手に勘違いして浮気疑って。
好きなんだから、信じないと。
でもって私も知識色々仕入れてお頭の役に立てるようにしないと!
「ごめんなさい。・・・・デート、してくれますか?」
反省。
「喜んで、だ」
「行きたいところあるんです、欲しいものが」
「ほー・・・・・?」
「んー・・・・・もうちょっと待ってて下さいね、お頭」
「シャンクスでいい。今は恋人同士のデートなんだろう?」
「あはは、そうですね」
「敬語も禁止」
「はーい。あ、ここも見たい」
お頭にお願いして来てもらったのは、大きめの本屋さん。
「随分勉強熱心だな。・・・急にどうしたんだ?」
「前から勉強するべきだなとは思ってたから」
海についての基本的知識、天候や食材に関すること。
のお勉強の為の本を色々物色。
「勉強する必要があるか?頼もしい仲間がいるってのに」
「頼もしいからって頼ってばっかりという訳にはいかないでしょ?それに・・・・」
お頭から私も頼られたい。
「それに?」
「・・・・内緒で」
そう言って笑ったらいきなり、
「ぎゃ!?」
逞しい片腕に抱きしめられた。
「・・・・まさかとは思うが、1人立ちしようとしてるってことはないな?」
「ないです」
「本当だな?」
「・・・・しても、いいの?」
「駄目だ。許さない」
「・・・・私だって、シャンクスが女の人と2人で居るのは許したくないかなあ」
ぽつりと本音を呟けば、
「そんなことあったか?」
とお頭はきょとん。
「今日!!まさに今日!!」
「今日?・・・・・ああ、さっきまでいた女か」
「その方です!何処のどなたか存じませんし興味もありませんけど気分がいいものじゃないですから」
勢いに任せて全部言ってしまった。
「ああ・・・・そうか・・・・妬いて、くれたのか」
「・・・・いや、妬いてっていうか。喧嘩売られた気分でしたけど」
「浮気だと?」
「浮気だろうが浮気じゃなかろうが悔しいので私もお頭に頼られるくらいの知識持ってやろうと思って」
「それでこの本か。・・・嬉しいな」
「喜んでる場合ですか!?私ちょっと怒ってるんですけど!?」
「すまん、だがそれが嬉しい・・・・と言ったら余計怒らせちまうか」
「・・・・いや、もういいです。怒って、ないです」
「今日連れて来たのは昔お世話になった人でな・・・御年75歳だ」
「な・・・・・なじゅう、ご」
には見えなかった!!
「近くに来るなら挨拶くらいしろ、とうるさくてな」
「・・・・あんな若々しくて元気に年を重ねたい・・・・私も」
「だっはっは、そうしてくれ。俺の隣で」
「・・・・はい」
「その為には無理せず不満は溜めないで吐き出してくれていい」
・・・・・この人は、なんて。
なんて素敵な人だろう。
信じて良かった。
「・・・・シャンクス、だいすき」
「愛してる、アコ」
ずっとね。
私貴方の隣で背伸びして生きていくわ。