短編④
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「マルコさんの嘘つき」
「嘘はついてねェよい」
「・・・・・・っ、それは!」
そうかもしれないけど!!
「男と出かけると一言でも言ったかい?」
反論出来ない。
でもでも、
「でも女の人と出かけるとも言わなかったですよね」
「言う必要を感じなかったからよい」
「私は・・・・・それは嫌ですと、お伝えしておきます!!失礼しました!!」
思いっきりドアをバン!と閉めて。
逃げるように自分の部屋に戻った。
・・・・・・はああああ、と深いため息が出る。
仕方ない。
わかってた、マルコさんがこういう人だって。
それでも好きになった私の負け。
・・・・それでも、恋人になれて幸せ。
前からマルコさんのことが好きで。
でも叶わぬ恋と諦めてたのに。
まさかまさかマルコさんの方から告白してくれて。
恋人になったのが1ヵ月前。
でもなかなかうまくいかない。
島に着くから一緒に行きませんかとお誘いしたら、
先約があるからと断られた。
そして昨日、美人のナースさんと一緒に船に戻って来たのを見た私。
・・・戻ってきただけまだいいの?
とか、
あんまり束縛めいたこと言うべきじゃないかなあとか。
散々悩んで結局言ってしまったけど。
「アコ、一緒にお茶しない?」
「あ・・・・」
美味しそうなケーキを持ってきてくれたナースさん。
ショコラさん。
「あらなあに?またマルコ隊長と喧嘩?」
「喧嘩・・・・・ですらない気がしますが」
「今度はなあに?」
「マルコさんが昨日私との誘いを断ってナースさんとお出かけしてました」
「荷物持ちじゃない?」
「・・・・百歩譲って先に約束してたとして。荷物持ちだったとして。それはいいんです。怒ってません」
「あら」
「それを私に言ってくれなかったことが嫌なんです」
「必要だと思わないんじゃない?」
「それ。言ってました、本人が」
「そういう人だもの」
・・・・・・あっさりとしたショコラさんのお返事に複雑な気持ち。
わかっちゃいるけど。
わかっちゃいたけど!!!
「・・・・ですよねえ」
「そういうことはちゃんと伝えておかないと駄目よ」
「さっき伝えて来ました」
「で、なんて?」
「返事も聞かずに逃げて来ました」
「・・・・・逃げる必要ある?」
「だってマルコさん絶対呆れると思うし・・・・!!」
いつかぎゃふんと言わせてみたい。
「アコ。恋愛って言うのは逃げちゃ駄目。向きわないと駄目よ」
相手とも自分とも。
・・・・ショコラさんの言葉を受けて少し反省した。
「・・・・ですよね」
「行ってらっしゃい。ケーキは残しておいてあげるから」
「有難う御座いますうううう!!!」
私もショコラさんみたいに大人にならないと。
思いながらマルコさんの部屋へてくてく戻る。
・・・まだ、いるかな。
コンコン、と控えめにドアをノック。
「開いてるよい」
「ふ・・・・不肖アコ、戻って参りました・・・・!!」
「・・・どうしたんだい?」
思わぬ優しい声に心から安堵した。
「冷静に、お話しがしたくて」
「聞くよい」
「えっと・・・・・・・・」
反省して来たはいいけど何を話せばいいの!?
何も考えないで来たよ私!!
と、とりあえず今言えること!!
「私マルコさんのことが好きなんです。大好きなんです」
「ああ、ありがとよい」
「っだから、マルコさんが私のこと好きって言ってくれて嬉しかったんです」
それが例え告白の時だけだったとしても。
「・・・好きだから、好きだと伝えただけだい」
「私それが嬉しくて、幸せで。でもそれで終わっちゃダメだなってたった今反省しまして」
この恋は始まったばかりだから。
「だからマルコさんにもっと私のこと知って欲しいですし、私もマルコさんのこともっと知りたいです」
「例えばどんなことだい?」
「例えば・・・他の女の人と2人でいること。嘘をつかれること。隠し事はまあ、仕方ないとして」
「あとは?」
「あとはえーっと・・・・その都度言います」
「気を付けるよい」
「あ、あとは・・・・マルコさんも。何か私にあったら言って欲しいです」
「アコに、ねい」
「はい!!」
「俺から言えることがあるとするなら・・・・」
マルコさんは唇に手を当て少しだけ考えるようにして。
「もっと甘えて欲しいところだよい」
「・・・・・・・へ?」
正直何を言われるかとドキドキしてたんだけど。
「じゅ、十分甘えてますよ・・・・?」
「足りねェ。すぐ逃げられるしよい」
「それは・・・・あの・・・・はい、恋愛初心者と言うことでご容赦下さい・・・・」
すぐ逃げてる自覚はあります、はい。
「俺はもっとアコを甘やかしてェ」
「うあ・・・・はい、頑張ります!」
気合を入れて返事をしたら、
「ははっ、頑張ってくれよい」
・・・マルコさんが、笑った。
可愛らしく!!
好きいいいいいい!!!!
「は、はい!」
「逃げるなよい、アコ」
そっと近づいたマルコさんにぎゅうと抱きしめられた。
幸せ。
と思ったら、
ぺろり。
頬を舐めあげられた。
「ひゃい!?」
「さっきから言おうと思ってたんだが」
「・・・・・は、い」
真剣なマルコさんの瞳にもう心臓は爆発寸前。
で。
「生クリーム、ついてるよい」
「は」
・・・・・・・・恥ずかしいいいいいい!!!
「やっぱ逃げてもいいですか?」
「逃がさねェよい」
「・・・・ぎゃふん」
あ、私が言っちゃった。