短編④
夢小説設定
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「・・・・・やっぱ、いいなあ」
目の前にあるそのマークをじっと見つめる。
「何がいいんだい」
見えるのはマルコさんの胸に刻まれた、誇り。
「刺青、私も入れようかなあと」
「駄目に決まってんだろい」
思ったことをそのまま口にすれば速攻で否定の言葉が返って来た。
・・・・まあ、そう言われるだろうなあとは思ったけど。
「でも、私だって白ひげ海賊団の一員です」
「・・・・何処にどんなマーク彫るつもりだい?」
「胸元にちっちゃく、マルコさんと同じマークを」
胸元なら露出しない限りわかんないし、ちっちゃくならいいかなと思ったんだけど。
マルコさんは顔を赤くさせて、
「絶対ェ駄目だよい!!」
・・・・・なんて怒鳴る。
むぅ。
「マルコさんはしてるのにー」
「そんなことしなくてもお前は大事な仲間だ、それで十分だろい」
「・・・・・・・納得出来ません。何で駄目なんですか」
マルコさんとお揃い、したいのに。
負けじと言い返せばマルコさんは今度こそ耳まで真っ赤にさせた。
「・・・・何でも、だい」
でも理由はやっぱり言ってくれそうにない。
「私、簡単な気持ちでここに居る訳じゃないです」
「んなこたぁわかってんだよい」
「・・・・簡単な気持ちで、こんなこと言ってるんじゃありません」
「アコ・・・わかってるからんな顔すんな」
「納得のいく理由を下さい、でなきゃ私勝手にやりますから」
理由を言ってくれないマルコさんに苛立ってそう言うと、マルコさんは顔を強張らせた。
「・・・・・・・アコならやりそうだねい」
「・・・・・・・やりますよ」
「なら、」
「え、」
突然マルコさんに強く腕を捕まれた。
「捕まえておくに限るねい」
そしてそのまま、やっぱり強い力で引き寄せられた先は、
「・・・・・・・・・・・あの」
「離すつもりはねえよい」
マルコさんの誇りがちらりと見えた。
ぐ、っと押し付けられた厚い胸板に、
誇りに、
「私こんなんで騙されませんけど」
・・・・・・・騙されそう。
すると、はあ、とマルコさんの呆れたようなため息が耳元で聞こえた。
「もう少し待てよい」
「・・・・もう少し、ですか?」
「1ヶ月だ。待てるな?」
「・・・・はい」
何で1ヶ月?とか、
何を待てばいいんだろう、とか。
疑問は消えないまま私は1ヶ月を待った。
「マルコさーん来ましたよー」
厨房で残ってお皿洗いをしていたら、サッチさんからマルコさんの伝言を伝えてくれた。
『部屋で待ってるから来い』と。
「・・・・アコ、これで満足しろよい」
部屋に入っていきなり手渡された紙袋。
「これ?・・・・・・・って」
カサ、と静かな部屋に音をたてて開けてみると、そこに入っていたのはペンダント。
それもただのペンダントではなく、
「マルコさんの刺青と同じ、ですね」
マルコさんの胸に刻まれた誇りと同じデザインのペンダント。
「これで刺青なんかしなくていいだろい?」
「・・・・・・・いいんですか?もらっちゃって」
すごく嬉しい。
「その為に作らせたんだよい」
「大事にします!有難う御座います!・・・でも何でそんな頑なに刺青は却下するんですか?」
「・・・誰が好きな女の身体に傷をつけさせるんだ」
何処か照れたように顔を赤くした、マルコさん。
・・・・・・何この可愛いオッサン!
「嬉しいです、大事にします。ペンダントも、マルコさんの気持ちも」
私を大切にしてくれる、マルコさんの気持ちがただ嬉しい。
手にしたペンダントをぎゅ、っと握り締めた。