短編④
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「シャンクスが浮気?」
「や、浮気っていうか女の人と仲良さそうに歩いてたのを見ただけなんだけど」
同棲中の恋人であるシャンクスが見知らぬ女性と歩いていたと同僚が教えてくれた。
シャンクスとは社内恋愛。
皆も周知の仲。
「ああ、そっか。ありがとね」
「・・・気にならないの?」
「なるけど」
「・・・・そんな風には見えないけど」
「まあ女性と歩いてただけでは、ねえ」
浮気とは言い切れないし。
それを言ったら私だって仕事の都合で男性と2人で歩くこともある。
「すーっごく仲良さそうだったって言っても?」
「恨まれるよりはいいんじゃない?」
「・・・・あんたって心広いわねえ」
「そうかなあ」
・・・・シャンクスには負けると思う。
「シャンクスが女の人と歩いてるの見たって」
「女と?・・・・ああ、取引先と飯行った時だろうな」
「何食べたの?」
「蕎麦」
「美味しかった?」
「まあまあだな」
「何だ、美味しかったら私も行こうと思ってたのに」
「美味かったら問答無用で連れてくさ」
シャンクスが作ってくれた美味しい夕飯を食べながら何気なく今日のことを聞いてみた。
やっぱり仕事関係の人だったのか。
「ん、よろしく」
「妬いたか?」
シャンクスがにまにまと嬉しそうに聞いて来た。
「そんなことでいちいち妬いてたらシャンクスと付き合ってられません」
「ははっ、頼もしいなアコ」
すーっごく仲良さそうにしてたんだって?
とは言わなかった。
私が直接見た訳じゃないし。
感じ方は人それぞれだし。
それに。
「妬いて欲しかった?」
「まさか。大事な恋人を不安にさせたくねェからな」
・・・・それに、こんな素敵な恋人を疑うなんて、私には出来ない。
例え今日みたいなことが私の耳に入るのが、
決して少なくないことだとしても。
「不安になら毎日なってる」
「・・・・そう、なのか?」
シャンクスが酷く驚いたような、傷ついたような顔をしたので苦笑した。
「シャンクスの作るご飯が美味し過ぎて日に日に太ってるんじゃないかって」
「そっちの心配なら無用だ」
私の言葉にほっと安堵の顔を見せたシャンクス。
「体重計に乗るの怖いんですけど」
「問題ねェ、俺が把握してる」
「どうやって!?」
「アコを抱きしめた時の感覚でわかる」
「うっわ、怖い」
「それに和食は太りにくい」
・・・夕飯は割とシャンクスが作ってくれる。
そしてこれがまた美味しいんだよね。
「確かに。カボチャの煮物すっごく美味しい」
「酒にも合うだろ?」
「ほんと。・・・・・いつも、ありがと」
・・・・何でも出来て、カッコ良くて。
私を大切にしてくれる大事な恋人。
私も大切にしないと。
「せんぱーい、ここわかんないッス」
「何処?」
「ここッス」
私もシャンクスに負けないようにしっかりやらないと。
「ここはこう・・・・・で、これは前に渡した資料あったでしょ?」
「ああ、はい。どーもッス。ところで先輩飯食いました?」
「お昼?まだこれから」
「じゃあ一緒にどうっすか?相談したいこともあって・・・・」
仲間とのコミュニケーションも大事だし。
「じゃあ行こっか」
この日はお昼を彼と一緒に食べた。
キリのいいところで仕事を終えて帰ろうと思ったらシャンクスが居て、
「シャンクスも仕事終わり?」
「ああ、一緒に帰らないかと思ってな」
「じゃあついでに買い物してっていい?今日の夕飯私作るから」
「疲れてないか?」
「疲れてるのはシャンクスも一緒でしょ。大丈夫、いつもの適当料理だから」
シャンクスの味には負けるけど。
「そうか、じゃあ頼む」
・・・・・頼む、と言って笑ったシャンクスに何か違和感を感じた。
何だろ、何か。
「シャンクス元気ない?」
「いや・・・そんなことはない」
「・・・・そう?」
何もない、と言いながら買い物の時もシャンクスはお酒に目もくれず、ずっと大人しかった。
「はい、肉じゃが出来たよ」
とテーブルに料理とお酒を持って行っても反応がない。
「・・・・・シャンクス」
「・・・・ん、ああ。すまん、有難う」
「・・・・・どうしたの?」
「何もないんだ、心配ない」
「それが私に通用すると思う?」
「いや、しかし」
「しかしもかかしもありません。悩んでることがあるなら言って」
強い口調でそうまくしたてると、シャンクスが寂しそうに笑って口を開いた。
「・・・嫌われたくないんだ、アコに」
「・・・私に?」
「ああ」
「絶対嫌わない。だから言って」
もしシャンクスが浮気してたとしても。
「・・・・本当か?」
「本当に。約束する」
私の言葉にシャンクスが口にしたのは、
「今日昼に男と飯を食ってるアコを見かけた」
「ああ、うん。後輩君と食べた」
「・・・・・その姿に、嫉妬した」
項垂れたシャンクスの小さい声。
「え・・・・・・・・・・・」
「・・・・失望したか?」
・・・・シャンクスが、嫉妬?
「・・・シャンクスでも嫉妬、するんだ」
「・・・・すまん」
「じゃあ私も・・・・・いい?」
「・・・・どういうことだ?」
「私もヤキモチ妬いてもいい?」
「妬いてくれるのか?」
「むしろ今までずっと妬いてましたね」
言わなかっただけで、ホントはずっと。
「心の狭い男だと失望されるかと・・・・・」
「いやそれこっちの台詞」
それから2人で顔を見合わせて、
笑って。
抱き締めて。
キスをした。
「ちなみに後輩君とご飯行ったのは彼女ちゃんと喧嘩したことの相談でしたのでご心配なく」
「大丈夫だ、次はない」
「・・・・・どゆこと?」
「さあな」