短編④
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「危ねェ、大丈夫か?」
「あ・・・・ありがと」
あまりにも暇だったので美味しそうなお魚でもいないかしら、と海をのぞき込んでいたところ、
うっかりそのまま落ちそうになった。
エースが身体を引き戻してくれて助かったんだけど。
「気を付けろよ、アコは危なっかしいからなァ」
「あはは、ほんと。海に落ちたらエース助けてくれないもんね」
「助けるぜ?」
「え。いやいや、エース海駄目じゃん」
「駄目だけど・・・・アコが落ちたら何が何でも助けるに決まってンだろ?」
「・・・・そっか。ありがとね」
「何かあったらすぐ呼べよ!」
「うん」
爽やかに笑ってエースは去って行った。
・・・・・・・・・・・・ああ、危ないところだった。
危うくエースのことを好きになってしまうところだった。
今エースが私を助けてくれたのも、
爽やかな笑顔も。
他意はない。
わかってる、大丈夫。
・・・私はエースを、好きになったりはしない。
エースが優しいのは皆にだから。
エースが好きなのは皆だから。
・・・私だけじゃ、ないから。
好きになるだけ辛いだけだから。
私はエースを好きにならない。
そう決めてる。
好きになりそうになった時から。
「んめェ!!アコの作る飯は美味ェな」
「やだなあエース大袈裟」
「でもアレだぜ、俺アコが居ない時わかる」
「え・・・・・・どういうこと?」
「アコが料理に関わってねェ時は味が違う」
・・・・・嘘。
「例えば一昨日の夕飯」
「私休んでた!!」
「だろ?」
「あと今朝は味噌汁だったよな、作ったの」
「なん、で」
「わかるって。美味いから」
うわあ、やだやだやだ。
エースすごすぎる!!
怖すぎる!!
「いつもありがとな!」
「・・・・・こちらこそ」
いつも美味しいって言ってくれて。
いつも笑顔で完食してくれて。
有難う。
・・・・・・はあ、好き。
・・・・・・・いやいやいやいや!!!
好きじゃない!!
いや好きだけども!!
これは!!恋じゃない!!
「今度は俺の為だけに何か作ってくれよ。・・・・な?」
「・・・・・・・・・・任せて」
ずるい!!卑怯だ!!
何そのカッコイイの!!
「もう好きって認めちゃえばいいじゃん」
「無理です」
「何で。好きなら好きでいいじゃん」
サッチさんは軽い。軽すぎる。
「だって絶対叶わない恋ですもん好きになるだけ無駄なんです!!」
「・・・・そう?」
「だってエースはモビーの皆が好きだし、色恋沙汰なんて絶対興味ないしむしろ面倒だって絶対思ってる」
不毛な恋。
だから絶対に好きにはならないと決めた。
「てかさ、アコちゃんさ」
「・・・・なんですか」
「もう好きになってんじゃん?」
「そ・・・・!!!そんなことは!!」
ないはずで!!!
「だってエースのこと毎日考えてんだろ?」
「う・・・・・はい」
「で、考えると苦しくない?」
「く・・・・苦しいです」
「それもう恋じゃん?」
「・・・・・・・・・・・・・うそん」
・・・・・・・・・・・恋、なの?
私、実は手遅れだったらしい。
ショックを受けた私を見兼ねてサッチさんが夕飯は休んでいい、と言ってくれた。
そうかあ私エースのこと好きになっちゃったのかあ。
改めて認めてしまったら、
「あ」
・・・・・エースと目が合っただけで心臓が飛び跳ねて、思わず目を逸らしてしまった。
ああああっ案の定エース怪訝な顔してるし!!
そりゃそうだ!!
あああ近づいてくる!!
「おいアコ」
「ぎゃあああごめんなさいいいい!!」
「具合でも悪ィのか?」
「・・・・・・・・へ?」
絶対怒ってる!!と思ったのに。
エースは私の顔を心配そうにのぞきこんで。
「顔赤いし。今日厨房にいねェし」
「ちょ・・・・・ちょっとだけ」
「大丈夫か?ナースんとこ行くか?」
・・・・エースの優しさに胸が痛む。
「大丈夫。・・・・ごめんね」
ごめんねエース。
「何でアコが謝るんだよ?」
好きになっちゃって、ごめんなさい。
そして。
「でね、エースもごめんって言ってほしいの。それでもそのままでいてほしい」
「・・・・意味、わかんねェ」
「私エースのこと好き。ごめんね」
「・・・・・・・・・それで、俺はアコにごめんて言わないといけねェのかよ」
「だ・・・・だからごめんて」
エースが怒ったのがわかった。
それでも言わずにおれなかった。
「俺も好きだって言ったら駄目なのか?」
「・・・・・・は?」
予想外の言葉に頭が真っ白になった。
え、エース今なんて?
「なァアコ」
いやいやきっとみんなに対する好きと一緒だ今のは。
「違うのエース、私の好きは皆への好きとは違うの」
「わァってるよ」
「え」
エースはそう言うと私の額に唇をくっつけた。
「こういうことだろ?」
「・・・・・・どゆこと?」
「抱きしめたりキスしたり・・・もっと先のことしてェって思うのはアコだけだ。間違ってるか?」
「・・・・正解」
「なのにごめんて言わなきゃいけねェのかよ」
「え・・・・・・エースのことは絶対好きになっちゃいけないもんだと」
「俺の気持ちは俺が決める。・・・好きになれよ、アコ」
・・・・・いや、もう好きなんですけど。