短編④
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
私には素敵な恋人が居る。
2個上で会社の先輩で、
優しくて上司からも信頼のあるすごい人。
私には勿体ないくらいの人だ。
「終わったぁー!!」
「お疲れ。夜遅くまですまん」
「いいえ、全然。シャンクスも残業?」
「アコに仕事頼んでおいて俺1人で帰る訳ないだろう?送ってく」
「ありがとー」
帰りが一緒になった時は絶対、
ならなくてもシャンクスが待っててくれて良く車で送ってくれる。
夏の暑い時や、
冬の寒い日なんかは朝も車で迎えに来てくれたりする。
まあそんなんだから、
会社公認・・・・ではある。
「シャンクスこの後時間ない?」
「どうかしたか?」
「・・・実はお願いがあって。部屋の電球がね・・・?」
「切れたのか。新しい電球は?」
「買ってある。・・・変えてくれる?」
「任せとけ。椅子に乗って落ちたりしたら大変だからな」
・・・・こんな調子で私を甘やかしてくれるシャンクス。
最初はたまたま家に来た時に気づいたシャンクスが声をかけてくれて、
その時はまだ新しいのも買ってなかったから一緒に買いに行って、そのままシャンクスがやってくれた。
シャンクスに家に来てもらって、
「そこの電球・・・・これ、新しいのなんだけど」
「ここだな?・・・・・・・よし、出来た」
またシャンクスの手際の良いこと。
感心しちゃう。
「有難う・・・!時間まだ平気だったらお茶飲んで行って」
「それより俺はアコが欲しいんだがな」
「あ・・・・」
椅子を降りたシャンクスにすぐさま抱きしめられた。
ぎゅうっと優しく腕に力が入る。
「柔らかいな、アコは。最高の抱き心地だ」
「・・・・それ言外に太ったねって言ってる?」
「まさか。アコはもっと太ってもいいくらいだ」
「シャンクスいっつもそう言って私に食べさせるんだもん、ウエストがそろそろ心配」
何処ぞの名店のケーキだの、
おまんじゅうだの。
仕事の時の差し入れを筆頭に、
デートの時にプレゼントしてくれたりする。
「喜ぶ顔が見てェのさ」
「嬉しいけど・・・私甘えすぎてる気がする」
「もっと甘えてくれていいんだぞアコ」
「うん、ありがと」
ぎゅっと私もシャンクスの背中に腕を回して力をこめる。
そんなこととがあった日の夜だった。
体重計に乗った私は愕然とした。
体重・・・・増えてる・・・・!
そりゃそうだ・・・。
冗談どころの話しじゃなく、最近シャンクスに甘えすぎてた。
食べ物だけの話しじゃない。
私・・・・シャンクスと付き合うまでは1人で出来てたこと、してたことも。
今はシャンクスにやってもらってるし。
すぐシャンクスを頼るようになった。
私・・・こんなに弱かったっけ。
これじゃ駄目だ。
明日からやれることは自分でやらないと!
将来シャンクスを支える為にも。
よし!
朝、シャンクスからメールがあった。
『おはよう。近くを通るから乗って行かないか?』
でも残念。
今日から私は変わる。
『ごめんね、もう電車の中なの』
『随分早いな?』
『頑張ります!』
仕事だって、
「あ、ここやっときました。これお茶ですヤソップさん」
「おー助かる」
「あ、シャンクス先輩。今日私遅くなるかもしれないから先に帰ってて下さい」
「・・・・アコ?」
「夜メールしますね」
今までは敬語じゃなくていいってシャンクスに甘えてたけど、
仕事中はやっぱりけじめつけないと!
「何だお前ら別れたのか?」
驚くヤソップさんと怪訝な顔のシャンクス。
「別れてないですよ。けじめです!」
「・・・・そうか、まぁ頑張れ」
「はい!」
もう甘える自分を卒業!
だから、
「アコ、こことここ間違えてるようだが」
「はっすみません!すぐ直します!」
「いや、俺がやっておこう」
「大丈夫です、私やりますから」
「何か手伝うこと、ないか?」
「お気遣いなく」
「・・・あんまり無理するなよ、何かあったら俺に言ってくれ」
「うん、ありが・・・・じゃなくて有難う御座います」
今まではミスをシャンクスにフォローしてもらってたけど、
自分のミスは自分でフォロー。
もっともシャンクスは優しいから他の社員のミスもフォローするんだけど(だからえこひいきとかは言われなかった)。
「・・・アコに敬語を使われるのは寂しいな」
シャンクスが寂しそうに笑うけど、
「会社出たらただの恋人に戻りますから。ね?」
笑いかけたら安心したようにシャンクスも笑ってくれた。
その後いつも通り、
「アコ、今日は柏堂のシュークリームだ」
差し入れも。
うわあシュークリーム美味しいんだよね・・・!
・・・・でも!
今日の私は一味違う・・・!
「家で頂きますね」
「今食べないのか?」
「仕事中ですし」
「・・・そうか」
家で少しずつ食べよう。
体重の為にも・・・!
でもちゃんとデートの時には、
「シャンクスっ次この店行ってもいい?」
敬語もやめるし。
なるべく甘えないようにはするけど、今まで通り普通の恋人。
「欲しいものがあったら遠慮なく言うんだぞ」
「大丈夫だよ、自分で買うから」
給料ももらってるしね。
これで弱い自分が卒業出来る。
そう思ってた。
「え・・・・う、そ」
それに気づいたのは夜21時。
仕事が終わって家の前。
・・・・・・鍵がない。
待って、ほんと待って。
鞄の隅から隅まで探るけど見つからない。
「嘘ぉ・・・」
何処かに落とした!?
会社・・・は駄目だ、誰も居ない。
これじゃ家入れない。
どうしよう、どうしよう。
いやいや落ち着け私。
シャンクスに電話して泊めてもら・・・・わない。
もう甘えないって決めたんだ。
こんな時は鍵110番。
・・・・高くつくよね。
ネットカフェに泊まる・・・危険がない訳じゃないし、しかも今日金曜日。
・・・・土日どうすんの。
最悪だ。
・・・・・頼れる人が居るなら、今は頼るべきだ。
私は携帯を取り出して、
シャンクスに電話をかけた。
3回程のコール音の後、優しいシャンクスの声がした。
『アコ?』
「しゃ・・・シャンクスぅ・・・!」
『どうした?何かあったのか?』
「ごめ・・・っん、私」
シャンクスの声を聞いたら涙が溢れて止まらなくなった。
馬鹿みたいだ、こんなことで泣くなんて。
そんなのわかってる。
・・・・でも、止まらない。
『今何処にいる?』
「家・・・・の前」
『すぐ行く』
シャンクスはそう言って通話を切った。
ツーツーツーという無機質な音が耳にずっと響いて、寂しくなった。
前はこんなに弱くなかったのに。
家の前で呆然と待つこと数分。
「アコ!」
シャンクスが来てくれた。
私はシャンクスのもとに駆け寄って、勢いのまま抱き着いた。
「・・・・鍵なくして家入れないぃぃ!!」
「鍵?・・・・心配するな、うちに泊まればいい」
「ごめぇぇん・・・・!!」
「謝ることなんかねェさ、うちに行こう」
「うぅ・・・うぐぅ」
だってきっと今鼻水ついちゃったこととか、
シャンクスはきっと帰って一息ついたばっかりだったんだろうとか。
・・・本当に私は駄目だ。
シャンクスにエスコートされて車に乗って、
少し落ち着いた。
「・・・落ち着いたか?」
「・・・うん、ごめん」
「・・・アコがいきなり謝るんで、俺は別れ話かと思った」
「はぁ!?やだ無理!!」
シャンクスの意外な言葉に驚いた。
「・・・・なら、いいんだ」
「だって好きだもんシャンクスのこと」
私今までちゃんとシャンクスに好きだって伝えてたつもりだったんだけどな。
不思議に思いながら言ったら、
「最近俺を頼らないようにしてただろう?だから今日は嬉しいよ」
・・・・とシャンクスが言った。
「え、あれ、言ってなかった?」
「・・・何のことだ?」
「最近甘えすぎてたし太っちゃったし今後シャンクスを支えられるように甘えないようにしようと」
・・・してたの。
「・・・聞いてないな」
「・・・・・・・・・・・ごめん」
すっかり言ったつもりになってた。
「俺はアコに甘えて欲しいんだ。太ったってんならダイエットに協力もするさ」
「ほんっと・・・・・ごめん、私やっぱ駄目人間だぁ・・・・」
「頑張ろうとするアコが駄目な訳ないだろう?・・・うちに着いたら覚悟しとけよ」
「え?」
「嫌って程甘えさせえてやるから」
真っ直ぐ前を見据えたままシャンクスが力強く言ったので。
「うん。甘えたい」
やっぱり、
シャンクスには甘えたい。
それがきっと、
大好きの証。
(でもやっぱり出来ることはするけどね!)