短編④
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頭がぼーっとしてる。
身体がだるい。
でも熱はないし、咳も出ないし。
食欲もある。
・・・お腹、すいた。
きっとちょっと疲れが溜まってるだけだ。
少し休めば良くなる。
そう自分に言い聞かせてベッドから起き上がった。
「あ」
くらりと目眩がした、気がいた。
大丈夫気のせい。
・・・・大丈夫、動ける。
「おはよう、御座います」
「お、起きて来たなアコ」
何やら人だかりが出来ていて、何事?と覗いてみる。
ヤソップさんは大爆笑してるし。
「・・・・・何ですかあれ」
「お頭が裸踊り」
人だかりの中心にた、お頭もとい私の恋人。
「・・・・・・・・・あ」
もう駄目かもしれない。
気のせいじゃなく目眩がして、
私は意識が段々と薄れていくのを感じた。
「・・・・・・・・・・・・・・ん」
次に目が覚めた時、見慣れた天井が視界に入って、すぐにお腹が鳴った。
「大丈夫か?」
「へ?」
想像していなかったお頭の声にすべてを思い出した。
「俺の踊りを見て気絶したって?」
「あー・・・・・はい」
「ヤソップから聞いた。悪かったなァ、つい」
苦笑するお頭の顔に頭がズキッと痛んだ。
言わないと、お頭のせいじゃないって。
・・・・元々具合が悪かったんだから。
「いえ・・・・」
「まだ顔色が悪いな。船医呼んでくるか?」
「・・・だいじょぶ、です」
「大丈夫な奴の顔色じゃねェ、何か欲しいモンはあるか?」
「お腹は・・・・すきました」
「食欲があるなら心配なさそうだが・・・飯食ったら船医んとこ行った方がいい」
「だいじょぶですよ・・・・」
「お前はすぐそう言うからな。そんなに俺が頼りないか?」
「そういう訳じゃ・・・・」
お頭は強いし優しいし我が儘もたいていのことは聞いてくれるし。
頼りになるに決まってる。
むしろなり過ぎるのが問題と言っても過言ではない。
私をべったべたに甘やかしてくれる最高の恋人。
だからこそ。
・・・・甘やかされてるだけじゃいけないんだと、常に心に置いている。
「ならこういう時くらい甘えてくれてもいいだろう?」
「・・・甘えてますよ、十分」
「・・・・まったく可愛いなァ俺の恋人は」
ゆっくりと優しく私の頭を撫でてくれるお頭の顔も優しい。
「・・・・お腹すいてるんですけど」
「ああ、今何か持って来よう」
「でも・・・・眠くもあるんです」
「添い寝が必要ならいつでも言ってくれ」
「・・・・何もしません?」
「保証はしない」
「・・・・・もう」
心配してくれてるんだろうけど、お頭らしい。
「それで、いつからだ?」
「え?」
「昨日の夜は問題なかったはずだが」
「・・・・・お頭?」
「今朝からか?具合が悪かったのは」
・・・お頭、全部わかってたの?
この人は、本当に・・・・・。
「今朝起きた時から、です」
「悪かったな、側にいてやれなくて」
「今側に居て下さってるだけで十分です」
お頭は私の額にちゅ、と口付けて、
「熱はないな」
「・・・・はい。でもあんまり近づくと移っちゃいますよ?」
「ああ、それもいいな」
「はい?」
「移してもらえりゃ俺がやっつけられる。何の菌でも任せとけ」
「あははっ、有難う御座います・・・・」
「まあとにかく船医に1度見てもらったほうがいいな」
「・・・そう、ですね」
でも何だか胸騒ぎがして。
船医さんに診てもらうのは不安。
・・・でもこんな優しいお頭の気持ちを無碍に出来ないし。
「お頭、ご飯・・・持ってきてもらえますか?その間に私船医さんのとこに行って来ます」
「1人で大丈夫か?」
「はい」
「そうか・・・じゃあ行って来る」
「お願いします」
お頭にご飯をお願いして、約束通り私は船医さんのところへ。
そこで私は、衝撃の言葉を聞いた。
「飯持ってきたが・・・食えそうか?」
「・・・・・・・シャンクス」
「・・・・・・アコ?どうした?」
「・・・ご飯、有難う御座います」
思わず口から出てしまった名前に慌てて口に手を当てた。
「何を言われた?」
「あ・・・忘れて、下さい」
「久しぶりに名前を呼んでくれたと喜んだんだが・・・俺を信じてはくれねェか?」
・・・・シャンクス。
心の不安が、私にそう呼ばせた。
信じてない訳じゃない。
でも彼を苦しめたくないから、さっき船医さんに言われたことを告げられずにいる。
「大好き、です」
大好きだからこそ。
「言えない程難しい病なのか?」
「・・・・病、というか」
「それなら移せばすむな」
「え、あの」
お頭は何を思ったのか、私をベッドに押し倒して無理やり口づけた。
「あのおかし、っん・・・・おかしら、」
「・・・・辛いだろうが我慢してくれ」
「や、あの・・・・移せないんです」
「・・・・駄目、か」
「大丈夫です・・・・産んだら楽になれるはずなので」
「そうか、産んだらいいのか。・・・・・・・・・・・・・産んだら?」
・・・・もう、いいか。
言っても。
「・・・・妊娠、だそうです。私」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・妊娠?・・・・子供?」
「あ、あの・・・・ごめんなさい・・・・自由なシャンクスを束縛する気は・・・・っ」
がばり、と突然抱きしめられた。
「シャンクス!?」
「束縛?愛する妻と子がいることが俺の束縛になる訳ねェだろう?」
「つ、ま!?」
「もうお頭とは呼ばせられねェぞ、アコ」
「・・・・もっかい意識失ってもいい、ですか?」
「俺の側でならいくらでも」
愛する旦那様、
愛する我が子。
私は幸せものです。