短編④
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私は至って普通の女子高生だ。
あえて言うなら学年で1番地味と言ってもいい。
髪は黒。当然だ。
化粧もしてない。
当たり前でしょうまだ高校生よ。
このお歳の肌に化粧なんかしてみなさい、将来怖いわよとお年頃の姉に脅されているからだ。
面倒なのもある。
成績は普通。良くも悪くもない。
運動は・・・・よろしくない。
容姿だって決して可愛い部類には入らないが、
ものすごく悪いという訳でもないと思ってる。
スタイルもこれに同じ。ファッションセンスにいたってはふぁっしょん?何それ美味しいのってレベル。
さて皆さまここで問題です。
この、普通代表の私が。
何故、
「なァアコ」
「・・・・はぁ」
学年1人気のあるポートガス君に迫られているのでしょう。
脅迫じゃありません。いじめでもありません。
「何処の大学行くんだよ?俺アコと同じ大学行きてェ」
「まだ決めてないから・・・・」
「じゃあ決まったら教えてくれるか?」
「あ、うん。決まったら」
「んでこのあと暇か?」
「予定はないけど」
「じゃあ一緒に飯行かねェ?」
「お・・・・・・・・・お金が」
「俺が出す」
「それは悪いからいい」
「気にすんなって」
「気にする。何でもないのに奢られるのは嫌だ」
「・・・・言ってんだろ?俺がお前のこと、好きだからだって」
顔良し、性格良しスタイル良し。
頭は・・・・まあそこそこ。
運動神経も休日に見かけた時のファッションセンスも抜群。
そんな彼に告白されたのは何故でしょう。
「好きって・・・・どのあたりが?」
これは前にも聞いてみたんだけど、
「全部」
・・・毎回この答え。
「じゃ、じゃあいつから・・・・?」
「気が付いたら好きになってた」
アバウト!!
正直彼のことは私もよくわかっていない。
なのでまずはお友達から、という返事をした。
訳だけども。
彼の攻撃は激しい。
「えっと、じゃあ軽食でいいなら」
付き合うよ。
おずおずとそう答えたら彼は顔を輝かせた。
「っしゃ!!ありがとな」
「こ、こちらこそ・・・・」
譲歩して頂き有難う。
・・・・何でこんな素敵な人が、私のことを好きなのか、不思議で仕方がない。
「頂きます」
ぺこりと深くお辞儀をして挨拶。
食べる前には必ずやる。
途中で寝ちゃったりもするけど、
食べ終わったあとは必ずご馳走様でした、と言ってやっぱり頭を下げる。
礼儀正しい。
そういうところはとても好きだと彼に以前伝えたら、恥ずかしそうに笑っただけだったけど。
その笑みがとても可愛いと思った。
目の前のハンバーグを美味しそうに食べる姿も可愛らしい。
私はお金がないのでデザートのチョコレートアイスだけにした。
「いただきますっ・・・・・はあ、美味しい」
甘いものは正義。
「今キスしたらチョコレート味だな」
「しないけどね」
「・・・・冷てェな」
「アイスだからね」
「ははっ、全然うまくねェ!」
「美味しいよーアイスはね!」
こんな雑談を交わす私たちは、周りからどう見られてるんだろう。
恋人には見えないだろうなあ。
・・・・ポートガス君を、知れば知る程わからなくなる。
何故私なのか。
・・・返事をしてないだけで、もう彼のことを好きになってしまったせいで。
考えてしまう。
「ポートガス君」
「エースでいいって」
「・・・・エース」
「ん?」
「エースってモテるよね」
「別にモテねェけど」
「え、嘘」
さらりと返って来た答えに驚いた。
「嘘じゃねェって。俺別に顔がいい訳でもないし、頭も良くないだろ?」
「そう・・・・・・・なの?え、でも今回のテスト」
「普通・・・より少し悪いくらいか?今回サボに教えてもらえなかったからな」
「あ、あのめっちゃすごいお友達」
サボ君と言えば友達がフられたぁぁ、と何人から聞いたかわからないくらいの正真正銘のモテ男。
「・・・・確かにサボはすげェけど」
「そっかぁ・・・エースはサボ君に教えてもらってるのか・・・・いいなあ」
サボ君に教えてもらえば私も少しは成績あがるかな?
「・・・・まあ、助かってる。服とかも選んでもらってるし」
なるほど、エース君のすごさはサボ君からきてるのか。
・・・って言ったら失礼かな。
でも言ってないのにエースは何処か不機嫌そうだ。
「羨ましい・・・・」
「・・・・やっぱサボのがいいか」
「え?」
「付き合うなら俺よりサボのがいいよな・・・・?」
寂しそうにそんなことを呟くものだから、驚いた。
「え、全然思わない」
むしろ嫌だ。
サボ君と付き合うことになったら何であんな女が、って言われるんだ絶対。
でもそれはエースも一緒。
「思わない?」
「だって釣り合わないもん。・・・・でもそれはエースも一緒だって思う」
「俺も一緒?・・・釣り合わねェってことか?」
「私がね。可愛くないし・・・自分に自信、ないし」
「可愛い。アコはすげェ可愛い。好きだ」
「へ。・・・・あ、ありがとう」
「自信がねェって言うなら毎日言う」
エースは真面目な顔で何回も可愛い、好きだ、と繰り返した。
「少なくとも俺にとってアコは1番可愛くて・・・・好きで、たまらねェんだよ」
・・・・ここまで言われて返事をしなかったら女が廃る。
というか地味で普通なだけじゃなくて最低な女になってしまう。
「わ・・・・私、今度精一杯お洒落して可愛くしてくるから、その時には・・・私も好き、って言わせて」
精一杯の告白、だったのに。
「やだ」
「やだ!?」
まさかの即答で拒否。
「今聞きたい」
「・・・・・・・今?」
「今。すっげェ可愛いから」
・・・・彼が可愛いと言ってくれるなら。
「・・・・・・・私も好き、って言っていいですか?」
「好きだアコ・・・・っ!!」
後日友達にエースがカッコイイと言ったら、
普通でしょ?と言われた。
・・・・これが恋は盲目、ってやつのかもしれないなと思った。