短編④
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「そうだ海に飛び込もう」
「・・・・・・どしたのよアコちゃん」
絶望に打ちひしがれて海に向かって呟いた私にサッチさんが声をかけてきた。
私は昨日やらかしてしまったのだ。
「私もう駄目ですサッチさん・・・・・」
「だからどしたの」
「昨日宴だったじゃないですか」
「張り切って料理したからね俺達」
「そんで昨日は私も参加してお酒飲んでたじゃないですか」
「そーね」
「酔っぱらってたじゃないですか」
「そーね」
「それで私・・・・・・私・・・・・・っ」
「・・・・・何?」
「エースに告白しちゃったんですぅぅぅ!!!」
ああああ!!!消えてしまいたい!!!
「・・・・・あ、そ。で?」
「で?じゃないです!!大事件です!!」
「何が?何処が?」
「告白!!したんです!!」
「返事もらえばいいじゃん」
「もらえませんよ!!私酔ってたんですよ!?」
「じゃあもう1回告白すれば?」
「そういう問題でもないんです!!!てかそんなこと出来ないから悩んでるんですぅぅ!!」
果たしてエースは昨日の告白を酔っぱらいの戯言と捉えるか、
それとも奇跡的に本気の告白と捉えるか。
どっちにしても私の危機なのは間違いない。
・・・・・いや、好きなんだけど。
酔ってした告白がきっかけて付き合えてもフクザツだし、
もう1回告白したところで信じてもらえるかっていうのもあるし。
「・・・・そんな悩むこと?」
「うわああん!!サッチさん女心全然わからない女タラシだったんですね!役立たず!」
「ひどくね!?・・・・てかそん時エースは何て言ってたのよ」
「おーサンキュな、って」
「軽っ」
「・・・・と思うじゃないですか」
「・・・・何」
「って言って逃げられました」
「・・・・うわ」
うわ、だよ。
「・・・・・・・・・・・うわ」
サッチさんに説得されて海に飛び込むのはやめたものの、
下ごしらえの為にキッチンへ行こうとした廊下の角でエースの姿を捕らえて思わず声が出た。
・・・・大丈夫バレてない。
後ろ姿だもん。
・・・・・カッコいいなあ背中。
誰かと話してる背中。
見惚れていたら、くるりとエースが振り返った。
その一瞬で心臓が爆発したかと思った。
慌てて隠れたけど・・・・・・大丈夫だよね?
「なァアコ」
「はい!?」
大丈夫じゃなかった!
エースしっかり私を認識してた!!
「今日の飯何?」
「か・・・・・カレー、かな」
たぶん。
「そっか、楽しみにしてるな」
「う、うん」
「で、何してたんだ?」
ぎくり。
「・・・・な、何してたんだろ」
「ははっ、何だそれ」
「・・・・ねえ、ほんと」
ホントに何してたんだかわかんなくなった。
阿呆だわ私。
「あ、下ごしらえ行くんだった」
「怪我すんなよ?」
「大丈夫、ありがと」
じゃあね、と苦笑しながらエースに手を振って行こうとした瞬間。
「アコ。今日、待ってる」
「え・・・・・・・・・?」
いつになく真剣な表情のエースが居てドキッとした。
「待ってるから・・・・一緒に飯食おうぜ」
「あ・・・・・・うん、ありがと」
これ以上見ていられなくて逃げるようにキッチンに走った。
今の顔は卑怯です!!!
熱い顔のまま下ごしらえを終えて小休憩。
本格的な料理に入って、
皆が夕飯を食べに来初めて。
いつもなら割と最初の方に来るエースの姿がないことにさっきの言葉を思い出してドキドキしながらお仕事。
ひと段落つく頃にエースが見えて、更にドキドキ。
大丈夫、と言った手前怪我しないように気を付けながら。
「んじゃそろそろ飯行っちゃってー」
「はーい」
ついでにエースの分の大盛りカレーを盛って持って行った。
「はい、エース」
「お、悪ィ」
「どーぞ召し上がれ」
平静を装ってはいるけど内心ドキドキで、
スプーンを持つ手が震えた。
「頂きます」
でもいつもの丁寧なあいさつをしてくれるエースに思わず笑みが溢れた。
「ん、美味ェ」
エースの笑顔と言葉に安心して私もカレーを口に入れた。
うん、安定の美味しさ。
・・・・このままエースとも何も変わらず、かな。
「・・・・・ちょっと辛口過ぎたかなあ」
ま、人生なんて甘くはないしね。
「・・・・あのさ」
「ん?」
食べながらエースが話しかけて来た。
「好きな奴、誰?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
「・・・覚えてねェ?昨日のこと」
飲もうとしていた水の入ったコップを勢いよく置いてしまった、驚いて。
「・・・・・・・・・・・・・・あ、あれは」
「やっぱアレだろ?誰かと間違えたんだろ?」
そうとりましたかー!!!
エースが困ったようにそう言って、
「ちゃんと好きな奴に言ったほうがいいぜ?」
「あ・・・・・・」
・・・・・終わった、私の恋。
「応援はしねェけど」
と続けた。
「え!?」
「俺、アコのこと好きだから」
「へえええええ!?」
思わず間の抜けた声が出た。
「・・・・・で、誰」
あんただよ!!!
と言いたいのにパニックで口から出てこない。
「なァ誰だよ」
「ま・・・・・・ちがって、な、い」
「・・・・え?」
やばい今すっごい顔熱い。
「昨日私・・・・・・ちゃんと好きな人に告白した・・・・っ!!」
「・・・・・っじゃあ、キス・・・・していいか?」
「か・・・辛いのはやだ」
「辛くねェよ」
ちゅ。
確かに甘かった。
・・・・海に飛び込まなくて良かったなあ。
と思いました。