短編①
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「別れたァ?ってお前まだ1カ月だろ?」
心底呆れているような顔のエースに、
「仕方ないじゃん」
と私は返した。
大学に入学して半年、友人であった1人の男性に好きだから付き合ってくれと言われた。
そして実際は1カ月もたっていない昨日、お別れをした。
付き合ってた人は大学で知り合った人だったけど、エースは高校の時からの付き合いだ。
「だって何か気持ち悪かったんだよう」
「気持ち悪いってお前・・・酷いなおい。好きだったんじゃねェのかよ」
「嫌いじゃなかったよ。だから付き合ったんだもん。でも無理。駄目だった」
某ファーストフード店にて、コーラを飲みながらため息をこぼす。
エースは楽しそうにカラカラと笑いながら私の話を聞いている。
「そもそもどのへんが無理だったんだ?」
「えー・・・・全部。何か私に気に入られるように無理してる感じがしたし、すぐ甘い雰囲気に持って行こうとするし」
「付き合ってるなら普通だろそんくらい」
「なんかシラけるんだよね・・・」
名前を呼ばれて、見つめられて。
思い出すだけで寒気がする。
「好きでもねェのに付き合うアコが悪い」
「やー最初は好きかもって思ったんだよ。・・・ねえ、エース」
「んー?」
エースは飲み物を飲みつくしてしまったようで、蓋を開けて氷を覗いている。
「好きってどんな感じ?」
「・・・・何で俺に聞くんだよ」
「や、何となく」
エースのそういう話は聞いたことないんだけど。
エースは少し考えてから、
「もっと一緒に居てェ、とか思ったり」
「ふんふん」
「触れたい、とか」
「うわ、やらしい!」
「・・・・うるせェ」
エースは少しだけ顔を赤くした。
それから残っていた氷を頬張って、ばりぼりと音を出した。
「あ、私も氷食べよ」
見てたら私も食べたくなって、残りのコーラを全部飲み干して、氷を口に入れた。
「ん、ウマー。なんかさ、あの人の前でこういうことすると怒られたんだよね」
「は?氷食っただけだろ?」
「そうなんだよ。でもはしたない、って。いいじゃんねー。別れてよかったホント」
「そういやどうやって別れたんだ?」
「あの人が嫌がること、駄目だって言ったこと全部やって、怒られても無視し続けた」
「はっははは!やるなァアコ」
「笑い事じゃないんですよエース君。大変だったんだから。もう好きじゃない人とは付き合わないよ私」
他人事のように(実際そうなんだけど)笑うエースに私はむ、とする。
そして、
「好きな相手ならどうすんだ?」
けろっとした顔でそんなことを聞いてくる。
「好きな相手なら別だけど。好きってのがわかんないからなー。・・・・あれ?」
「ん、どした?」
「エースは好きな人居るんだ?」
「・・・はぁ?」
だってさっき好きってどんな感じ、って聞いたらすんなり答えてくれたもんね。
「誰、誰?」
「・・・・・誰が言うか」
「いいなあ。好き、って思える人がいて。私なんか見つめられても冷めるだけだし」
ぽつりと呟くと、エースは何かを思いついたように、ニヤリと笑った。
あれ、なんかやな予感しかしない。
思った瞬間、紙コップを掴んでいた腕を捕まれた。
「わ!エース?」
驚いて声をあげて、エースを見る、と。
何処か熱のこもった目で私を見つめるエース。
そして、
「好きだアコ」
「・・・・・・・・・・・・・・は、」
何を言われたのかを理解した瞬間、私はつかまれていないほうの手を、
ぼか。
「・・・・おい」
軽く、エースの顔にあてた。
ぐーで。
「いくら嫌でも殴るこたぁねェだろ」
「・・・・へ?嫌、だったの?」
「・・・俺に聞くなよ」
違う。
たぶん私嫌じゃなかった。
なら何で殴ったのかというと、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ」
気づいてしまった。
殴った、理由。
恥ずかしかったんだ、きっと。
・・・ってことは私、
「私、エースのこと好きなの?」
「・・・・だから俺に聞くなって」
とか言いながら耳まで赤いエースと、
いまだにテンパリ中の私との恋は。
もうすぐ始まる予定。