短編④
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「エースがお兄ちゃんだったら良かったなあ」
「・・・・・・は?」
「あ、起きた」
隣でご飯に顔を突っ込んでいた男は私の独り言に目を覚ました。
「・・・・アコ今、何て言った?」
「お兄ちゃん」
「・・・・誰が」
「エースが」
「誰の」
「私の」
「・・・・・・・訳わかんねェ」
だろうね。
起きていきなりお兄ちゃん、じゃあね。
「エースって弟君の話しするときすっごいいい顔してるんだよ」
「・・・・そっか?」
「そうなの。それでエースが私のお兄ちゃんだったらいいのにって思って」
「俺は絶対嫌だ」
きっかけを正直に白状したのに、エースは速攻で拒否の言葉を口にした。
「・・・・ひどくない?」
「アコが妹ォ?」
「じゃあ私がお姉ちゃん?」
「それも却下」
・・・・・ホントひどいな。
「・・・・・残念」
「兄貴ならいっぱいいんだろ、アコには」
「まあねえ」
マルコさんとかサッチさんとか。
そうね、お兄ちゃんは私にはたくさんいる。
でもエースがいいなって思った。
「ルフィ君にお兄ちゃんて呼ばれたことないんでしょ?」
「ねェな」
「呼ばれたくない?」
「・・・・別に、興味ねェ」
「頑なだね・・・・」
ちょっと寂しい。
「当たり前だろ?」
「何でよ」
むっとした顔でエースに理由を迫れば、
「好きな女に兄貴って呼ばれて嬉しい野郎がいるか、馬鹿」
「・・・・・・・・・・・・・・え」
頬を赤くしたエースがふて腐れたように呟いた。
「え・・・・・いや、え?初耳なんですけど!?」
「あーまァ初めて言ったからな」
「・・・・・・っ、ええええええ!?」
「っつー訳で俺が兄貴ってのは諦めてくれよ。絶対ならねェから」
「え、えと。えと」
「その代り恋人だったら大歓迎。覚えとけよ」
「・・・・・・・・・・・・っは、い」
ニヤリと妖艶な笑みで私を見たエースに、くらりと目眩すらした気がした。
「お兄ちゃん」
「・・・・みたいなもんではあるがよい」
「好きな人にお兄ちゃんて呼ばれるのは悲しいですか?」
「・・・・サッチあたりは喜ぶんじゃねェかい?」
・・・・うん、確かに喜びそう。
「ま、エースは嫌がるだろうけどよい」
「・・・・・・・マルコさん?」
「何だよい」
「私エースなんて名前1回も」
出してないのに!!
「わかるよい」
「何で!?」
「兄だから、ねい」
「・・・・・私どうしたらいいと思います?」
「それはアコ次第だろい?」
「・・・・・・・はい」
「よく考えたら俺幸せモンなんだよな」
「・・・・何急に」
この間の告白もそうだったけど。
「毎日好きな女が作った飯が食えるって幸せだろ?」
「・・・・・良かったね」
あれからエースの攻撃が増えた。
この間まではなんっにもなかったのに、
「こうして一緒に飯食えるのも当たり前じゃないんだよな」
「・・・・有難う」
ああもう!!
恥ずかしいったらありゃしない!!
「なぁアコ」
「・・・なーに?」
「好きだ」
「・・・・・・・っ、ごめん、返事、まだで・・・・」
笑顔のエースにど直球で迫られて言葉に詰まった。
「・・・いいって、急かせしたりしねェから」
言いながら少し寂しそうな笑みを見せたエースに胸が締め付けられた。
「・・・・ね、エース。弟君の話し聞かせて」
「ルフィの?」
「うん。聞きたい」
私はエースがルフィ君の話しをする時の優しい表情が大好きで。
・・・・だからお兄ちゃんに、なんて思ったわけだけど。
「あいつはなァ・・・・」
私は知らなかったのだ。
数日後。
私が見たことのなかった、エースの顔を。
その時エースが何を話していたか、を。
マルコさんと話してるエース。
口から頻繁に出てくる名前は。
「んでそん時アコがすげェ可愛かったんだぜ」
・・・・私。
・・・・・・・お兄ちゃんにこんなドキドキするもんじゃない。
こんなに顔が熱くて、こんなに心臓の鼓動が早くなるはずない。
・・・・だから今日、エースが夜ご飯食べて寝てる間に言ってみようかな。
「エースが私の恋人だったらいいのに」
って。
・・・もうお兄ちゃん、なんて呼べない。