短編④
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「やですよ。私行きませんよ」
「頼むよアコ、お前しかいねえ!」
「やですって!!」
朝起きてみたらお頭の機嫌が悪くて近づけない、と噂になっていた。
いつもの二日酔い(というか何日酔いですかレベルかもしれないけど)なんじゃないの?って聞いたけど違うらしい。
そこで私がお頭のご機嫌を取りに行け、と今皆に縋られている訳で。
「そもそもの原因がアコかもしれないだろ!?」
「そしたら絶対行けませんて!!」
「お前がこの船を救うんだ!!」
「むしろ今私が助けて欲しいんですけど!!」
「さあ行け!!」
「・・・・・・・・おはよう御座います」
・・・・結局押しに負けて来ちゃった。
お頭しかいない食堂。
「・・・・ああ」
駄目だこれ完全に機嫌悪いよ。
日頃心が広くて何をしても笑ってくれるイメージの強いお頭だけど、
そりゃあ人間だもの。
嫌なことやショックなことがあったらそりゃあ機嫌が悪くなってそれが出る時もある。
仕方ない。
わかっちゃいるけど、普段が普段なものだからとてつもなく怖い。
・・・・美味しい朝ごはんは食べられそうにないかな。
とはいえ。
・・・・普段あまりここまで不機嫌にならないお頭が、何でこの状態になっちゃったのか。
気になるっちゃ気になる。
「・・・・美味しいですねお頭」
「そうだな、美味いな」
もくもくと真顔でお頭はトーストを頬張っている。
「お・・・・お昼ご飯何ですかねー?」
「さあ、何だろうな」
・・・・・・・えー次何話そう。
や、むしろ話さない方がいいのかな。
1人になりたい時もある?
・・・・・・・あるのかもしれない。
でも。
「今日は波が穏やかですね。いい天気だし」
「・・・そう、だな」
「次はどんな島ですかねえ」
「・・・・・・・さあなあ」
「楽しみですね、お頭」
思いっきり笑顔で話しかけたら、お頭は何故か困ったような笑みだけ浮かべた。
「・・・・お頭?」
私は何か変なことを言ってしまっただろうか。
「次の島、な」
「・・・・・・何かあるんですか?」
「・・・・いや」
今のいや、は絶対何かある。
「・・・私じゃ頼りないのはわかりますけど」
「・・・そうじゃねェ」
「お頭には頼れる人がたくさんいるんですから、ね」
・・・・少し、お頭の纏っている雰囲気が和らいだ気がする。
それだけでも少しほっとした。
「アコは可愛いな。それに優しい」
「な・・・・・何ですか急に」
突然褒められて嬉しいやら恥ずかしいやら。
「おおかた俺の機嫌を取って来いと言われたんだろう?」
うわ、当たってる!!
「いやー・・・・・・・・まあそうなんですけど」
「まったくあいつら、いつもアコに押し付けやがる」
「私じゃ役不足ですよねえ」
「そう思ってたら毎度押し付けたりしねェさ、あいつらも」
「そう・・・・ですか?」
「ああ、すまんなァ毎度」
「いいえ、お役に立てるなら嬉しいです」
良かった、もう完全にいつものお頭だ。
「嫌な役目をさせちまってるな」
「頻繁にあったら嫌ですけど。お頭はあんまりないので平気です」
・・・・まあ、いざって時はちょっと勇気必要なんだけど。
「俺は・・・・アコが可愛くて仕方ねェからなァ」
「あははっ有難う御座います」
「アコで正解なんだ」
「・・・・役に立ってます?」
「十分さ」
お頭の嬉しい言葉に幸せな気分。
「あの・・・・もし何か悩んでることとかあったら言って下さいね」
相談乗りますから、と言ってみた。
「・・・・言ってもいいか?」
「どぞ!!」
「次の島のことなんだが・・・・・」
「はいっ」
ドキドキ。
「アコは外出禁止だ」
「・・・・・・・・・・・・・・はい?」
まさかの言葉に衝撃。
「わ、私何かしましたか!?」
やっぱり私に怒ってた!?
「次の島なァ」
「・・・・・何ですか?」
「若い男が多いらしくてな」
「・・・・・それで?」
「アコが他の男を見るのに俺は耐えられねェだろうなぁとさっき決断した」
「・・・・・・・・・・イライラしてたのって」
「想像したらたまらなく嫌だったからだな」
きっぱりと言い切ったお頭に唖然。
・・・・ある意味原因私じゃん。
「で・・・・・でもせっかくなのに!!」
船から出られないなんて!!
「若い女が来れば当然狙われもする。危険でもある」
「そうですけど・・・・・っ!!じゃ、じゃあお頭と一緒なら!?」
「アコが俺と居るのに俺以外の男を見るのはなァ」
「・・・・・っお頭だけ見てます!!」
せっかく島に着くのに、と必死で懇願。
「・・・・約束出来るか?」
「します!!」
「俺の側を離れず俺だけを見てると?」
「はい!!」
「よし、じゃあアコの口から聞かせてくれ」
「お頭の側を離れずお頭だけを見てます、誓います・・・・・っ!」
・・・・ってなんかこれ、
「結婚の誓いみてェでいいな」
・・・・・・やっぱりそう思いますよね!
・・・・何か罠にはめられた感あるけど。
お頭すっごい嬉しそうだし。
島にも降りれるみたいだし、まあいっか。
・・・・・皆私に感謝してよね!!