短編④
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「はァ?見合いィ?」
「・・・・・・ごめん」
「ごめんじゃねェよ説明しろアコ」
「・・・・ん」
エースが怒るのも無理はない。
だって私とエースはまだ大学生で、
・・・・・3年付き合ってる恋人同士。
なのに私がお見合いをするのは。
「父さんの会社の・・・取引先の息子さん・・・とにかく会うだけでもって」
「・・・・そういうことか」
「勿論断るから!!絶対!!」
「断れンのか?」
「断るよ」
「見合い自体は断れねェのに?」
「で、でも会うだけでいいって」
「ホントに会うだけで終わると思うか?」
「・・・・・・・・・それ、は」
・・・・・・思ってない、けど。
でもだからってその取引先の息子とどうこうなるなんて絶対嫌だし。
「相手がアコのこと気に入ってるからそんな話しが出たんだろ?簡単に断れねェだろ」
「・・・・そうだけど」
「・・・まあ、オヤジさんのことを思えば断りづらいのはわかるけどよ」
「・・・・うん」
父さんも私とエースのことは知ってる。
でも会社のことを思えばこそ、仕方ないことなんだと諭された。
だから私も頷くしかなかった。
「・・・俺が何とか出来りゃあな」
「一応エースには伝えておくね、お見合いの場所と日程」
「いいのか?」
「・・・・気にならないっていうなら言わないけど」
「気になるに決まってんだろ?でもよ・・・・アレだぞ、俺に教えたら」
「たら?」
「問答無用でぶち壊す」
どん。
真面目な顔でとんでもないエースの発言だけど、
「あははっ、よろしくお願いする」
むしろ願ってもない。
会うだけってハナシなんだから。
「・・・・しねェよ」
「え、しないの?」
「オヤジさんの面子潰せねェよ」
「・・・・・・ありがと」
「でも様子は見に行くぜ」
・・・・優しいエース。
結婚するならエースとがいい。
「うん、頼りにしてる」
「おう、頼りにしとけ」
「でも絶対断ってみせるからね」
「・・・・ああ」
少しでもエースに心配かけないようにと、
小指を小指を絡ませて。
約束。
「私が好きなのはエースだけ」
「その証は?」
「・・・・・・・今ここで?」
「今ここで」
・・・・・エースはたまに無茶言うよね。
まあ、でも。
お見合いの件で心配させちゃうから。
ちゅ。
軽く一瞬唇に触れるだけのキスをした。
それでもエースは嬉しそうに笑って、
「絶対ェ、守るからなアコ」
強く抱きしめてくれた。
「・・・・・・・・うん、有難う」
・・・・・・・父さんもエースも守りたいと思うのは欲張りかなあ。
「初めまして」
「・・・・・初めましてこんにちは」
お見合いの日。
取引先の相手の息子さんは一見真面目で優しそう。
・・・・・・・だけど。
「へェ、写真で見るより可愛いね」
・・・・・へえ、写真で見るより偉そうね貴方。
とは言わないけど。
父さんたち保護者は若いものだけで、と早々に離脱してしまったしどうしたもんか。
・・・エースは何処にいるんだろ。
「俺さあ、子供3人は欲しいんだよね」
こ・・・・・っ!!!
いきなり気持ち悪い!!
「と言われましても私もお付き合いしてる人、居ますし・・・・」
「あ、そうなの?」
「はい・・・・」
「じゃあ別れればいいじゃん?」
「・・・・・はい?」
余裕の笑みを浮かべたままアッサリと。
「だってそいつが俺よりいい男な訳ないじゃん?」
「え、そんなことないですよ?」
「は?」
不快感を隠そうともしない相手に私もにっこりと笑ってみせた。
「すーっごく素敵な人です」
貴方より。
「・・・・なんだ、もっと大人しそうな女かと思ったのにな」
「それは残念でした、じゃあお見合いは破談ということで」
これにて一件落着。と思いきや。
「却下な。もう親戚に言ってあるし・・・引き下がれないんだ」
「・・・・・んな阿呆な」
「それに君だって困るだろ?俺の機嫌損ねたら父親の立場どうなるかなー」
「あ、それは平気です。断ってもいいって」
昨日父に言った、私は今はエース以外考えられないって。
「・・・・はぁ?」
「私を守る為の仕事が私を傷つけるなら意味ないって」
だから嫌ならいいって言ってくれた。
「それで俺が納得すると思ってんの?」
「え、ちょっ」
腕をぐい、と取られた。
「絶対結婚してもらうよ」
「ふざけ・・・っ」
力いっぱい抵抗しようとしたら、
すぱん、と腕が離れた。
「あーお客サマ、婦女暴行はご遠慮下さい」
「・・・なんだお前店員のくせに」
何てタイミングのいい店員さん、と思ったら。
「タダの店員じゃねェぜ?」
「・・・・・えー・・・・す」
ぐっと肩に腕が回された。
でも私は今度はその手を払おうとは思わない。
「俺、こいつの恋人だからな」
「は、お前かよ。この女は俺と結婚するんだ」
「しねェよ。するのは俺だ」
俺だ、と言いながら店員の姿をしたエースが私に1枚の紙と、小さい小箱を差し出した。
紙には婚姻届け、の文字。
小箱の中は。
・・・・・・小さいけどきらりと光るダイヤの指輪。
「うわ、指輪しょぼ!」
「価値観の不一致。条件も不一致。結婚する意味なし、じゃありません?親族皆々様に暴言吐いてもよろしくて?」
「それでも諦めねェってんなら相手になるぜ?」
「・・・・・・っ何だよ手出す気か!?警察呼ぶぞ!?」
「じゃあ私も一緒に殴る。これでエースと共犯ね」
「だな」
「止めろよ!馬鹿じゃないのかお前ら!!」
「馬鹿で結構」
好かれちゃ困る。
「・・・・・ばーか!!!」
と吐き捨てて彼は出て行った。
「・・・ありがとエース、助かった」
「・・・馬鹿はどっちだーっつー話しだよな」
「ね」
これにてホントに一件落着。
・・・・じゃなかった。
「おい」
「何?」
「・・・・・返事、くれよアコ」
「あ」
まさかまさかのエースのプロポーズ。
「・・・・・・・喜んで」
あなただけを、これからもずっと。