短編④
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「なァいいじゃんいいじゃん飲もうよー」
「飲みませんて」
久しぶりに島に着いたから、と。
1人で降りたのがまずかった。
世の中には何でこんなに暇な人が溢れてるんだろう。
マルコさんとかエース誘えば良かった。
私はただゆーっくり美味しいご飯が食べたたかっただけなのに。
私をナンパするなんて頭どうかしてるこの人。
「この島慣れてないって顔してんよ?俺案内するしー」
「のーさんきゅうです」
「なー俺奢るしー」
「いいですかお兄さん」
「・・・・あん?」
「無料より高い物はないんです」
これ教訓です。
「・・・・いや、別に金後から請求したりしねーよ?俺優しいよ?」
「優しいは怖い。これも教訓です。・・・・・あ」
「あ?」
「一緒に飲みたい人見つけたんで失礼します!!」
「は?どれ・・・・・・・・・火拳かよ」
火拳だよ。
「エースー!!」
見慣れた背中を見つけて声をかけた。
「お、アコ何してんだ?」
「ご飯処探してるとこ。エースはもう食べた?」
「まァな。飲んだり食ったりはした」
「そっかー美味しいとこあった?」
「まあまあだな。まだ足りねェから探してんだ俺も」
「・・・・飲み足りないの?」
「食い足りねェ」
ああ・・・そうだよね、エースだもんね。
「あ、いい匂いする」
「何処だ?」
「あの辺。・・・・あの店かな」
「な、せっかくだから一緒に食おうぜ」
「うん、食べよ」
エースと居れば安全だし安心でもある。
ゆっくり美味しいご飯食べれる。
まあエースは途中で寝ちゃうだろうけど、
何かあれば起きるだろうし。
・・・・・って入ったら。
「・・・・飲むね」
食べたりないとか言ってたのに。
「酒も美味ェ、この店」
「・・・・良かったね」
ま、いっか。
ご飯も美味しいし。
「ん、これ美味しい」
「おかわりするか?」
「したい、けど・・・・・」
むむ、悩む。
とっても美味しいチキン。
ソースの味をもう1度味わいたいんだけど。
「・・・けど、何だよ?太るの気にしてるとか?」
「・・・エースさ、デリカシー何処行った」
「食いたいなら食えばいいだろ?」
「そうなんだけどー・・・・お金が」
あんまり持ち合わせがないんだよね。
「金なら俺持ってるぜ」
「え、嘘」
まさかのエースの言葉に顔を見れば、
ドヤ顔。
「嘘じゃねェよ、ほら」
確かに手元にあるお金。
「か・・・・貸してくれる?船戻ったら絶対返すから!!」
「いいぜ」
「有難う!!すみませーん」
早速チキンのおかわりと、
「俺も酒おかわり」
エースのお酒のおかわりの注文を済ませた。
「やー嬉しい」
「金返さなくていいぜ。ここは俺が出すから」
「え、いいよ」
流石にそれは悪いよ。
・・・・・というか怖いよ。
「別に・・・いつも美味い飯ご馳走になってる礼だから気にすんなよ」
な、とエースが笑った。
その笑顔はとても無邪気に見えて。
・・・・エースに限って裏はないか。
うん、そう思ってくれてるなら嬉しいし。
お言葉に甘えようかな。
「有難う・・・!ご馳走様!!」
「そうと決まればもう1杯飲むかな。肉も足りねェしそれも追加注文で」
「りょーかい」
それから私たちは飲みに飲んで、
食べに食べた。
・・・・・結果。
「・・・・・・大丈夫?」
「あー酔ってねェから、大丈夫だ」
「うんめっちゃ酔ってるね」
だから言ったのにー!!!
確かにめっちゃ食べてたけど、その分お酒も飲んだエースは見事に酔っぱらっている。
足元も若干おぼつかないように見える。
不安だ。
・・・まあ、女酔わせてどうこうしようとかいう輩よりは全然いいんだけど。
「・・・・んー」
「どうしたの?気持ち悪い?」
エースが赤い顔で私を見て手を伸ばして来たので声をかけたら、
「ん」
「え」
そっと肩を抱き寄せられた。
その瞬間すぐ横を人がすごいスピードで走り抜けていったのが見えて。
・・・・酔ってても私のこと助けてくれたんだとわかった。
やっぱすごいなエース。
「・・・ありがとね、エース」
「んん。・・・・お礼は?」
「今言ったよ?」
「じゃなくて。・・・・ちゅーしてくれよちゅー」
・・・・思わず酔ってるの?って聞きそうになってやめた。
酔ってるんだもんね・・・・!!
「はいはい、あとでね」
「駄目だ、今がいい」
「・・・私なんかにされても嬉しくないでしょ?」
冷静に諭そうとするも、
ぐい、っと更に距離を縮められた。
「好きな女にされて嬉しくねェ男はいねぇよ」
・・・・・・・・・・・・・・・ねえ、もうほんとこれ。
「・・・・・・えっと」
どうしたものかと迷っていたら、
エースの方から、
ちゅう。
唇が重なったのは一瞬で、それでも忘れられない感触が。
「・・・・え、す」
「へへっ、もーらい」
嬉しそうなその顔としっかりした足取りは。
・・・・あれれ。
・・・・・・・やっぱり無料より高いものはない。
もとい、怖いものはない。
だわ。