短編④
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「・・・・ぷはーっ!!」
「お、今日はよく飲むなァアコ」
「いやーお酒も料理も美味しくって、月は綺麗だし」
「美味いよなァ、アコが隣にいると格別だ」
「やだァお頭、そんなこと言っても何も出ませんよ」
「何、事実だ」
料理もお酒も美味しくて。
お頭もご機嫌、私も上機嫌。
飲みも飲んだり食べも食べたり。
今日も生きていられることに感謝して。
月が綺麗だからと甲板で飲む時間。
ああ、いい夜。
「ふぁ・・・・・・・」
「眠くなったか?」
「・・・・・なりました」
「このままここで寝ちまえ、と言いたいところだが風邪ひくぞ」
「んー・・・そうなん、ですけど」
お酒を飲み過ぎたせいで身体が重い。
・・・・や、食べ過ぎたせいもある。
「こらこら、俺に担がれたいのか?」
「それはやぁ、ですけど」
「・・・・地味に傷つくぞ」
・・・・担がれるのは嫌、だけど。
瞼も重いし。
もうこのままここで寝てしまいたい。
・・・・いっか。
いいよね、1日くらい。
お頭の声が遠くで聞こえる。
あともう1人、誰かの声。
・・・・人の声が心地良くて。
完全に目を閉じたら意識も消えた。
「は!!」
目が覚めたら部屋の窓から差し込む光が眩しかった。
・・・・・あれここ、私の部屋。
・・・・・・・・・あれ?
機能の記憶を必死に呼び戻す。
私昨日甲板で飲んでて。
そのまま・・・・・・眠くなってそこで寝たような・・・・?
あ、そっか。
お頭が担いで連れて来てくれたんだきっと。
恥ずかしいけど寝てたからまあいっか。
ご飯の時でも会ったらお礼言っておこう。
・・・・・と思って部屋を出たら何だか。
クルーの皆がおかしい。
「・・・・・何かあったんですか」
「アコ!今食堂には近づくな!!」
「・・・・は?」
「命が惜しけりゃな・・・・」
それだけ言って逃げるように去って行ったクルー。
そこにヤソップさんを見かけたので、
「ヤソップさん食堂で」
「お前は行くな」
「・・・・・・何故です?」
さっきのクルーと同じことを言う。
「お前の為だ、これ以上は言えねー・・・・」
・・・・行くなと言われると、
行きたくなるのが人間というもの。
「おっはようございまー・・・・・・・・・す」
食堂に行って驚いた。
いつもはこの時間はまだまだ賑わってるはずの食堂。
がらんとしていた。
居たのは2人。
お頭と、副船長のベンさん。
・・・・なんだけども。
雰囲気が。空気が。
・・・・・・おかしい。
目に見えるような殺気。
「ああ、起きたかアコ。・・・昨日だいぶ飲んでだろう、頭痛くないか?」
・・・それでも私に向けられたお頭の笑みに少しほっとしてたら、
「アンタじゃないんだ、そこまで考えてるさ。・・・お頭に怒っていいんだぞアコ」
ベンさんの強烈な言葉。
どしたの2人とも!!
「・・・・・えーっと、ご飯美味しそうですね」
とりあえず2人の言葉には反応しないでおこう。
今日の朝ごはんはトースト。
あ、サバ味噌マヨトースト!
「俺がコックに頼んで作らせたんだ、好きだろう?」
「あ、はい」
「恩着せがましいこと言ってると嫌われるぞお頭」
「え・・・・・」
・・・・これは、大変だ。
皆が逃げて行く理由がわかった気がする。
「ど・・・・・どうしたんですか2人とも」
覚悟を決めて聞いてみるも、
「何のことだ?」
「何もない」
・・・・2人してこれだよ。
「ところで身体、痛くないか?」
「え、全然・・・痛くないですけど」
「だから言っただろう、俺で問題ねェのさ」
え、何のこと?
「ベンは乱暴だからな、女の扱い方ってもんがなっちゃいねェ」
「アンタに比べりゃマシだと自負してるがね」
「・・・ベン」
「何だ」
バチバチと光線が見えた。
「ちょっ、ちょっと待ってくださいよ何の話しですか!?」
もしかして関わってるの私!?
お頭とベンさんは睨み合ったまま、
「昨日あのまま甲板で寝ちまったのは覚えてるか?」
「あ・・・はい」
お頭の質問に答えたら、
今度はベンさんが、
「昨日お前を運んだのは俺だ」
・・・・衝撃発言。
「あ、そうなんですか?有難う御座いまし・・・・」
平静を装ってお礼を言おうとした途端ぎろりとお頭に睨まれた。
「俺が運ぶって言ったのに、ベンちゃんもやらしーよなァ」
「片腕の人間が運ぶより安全だと思っただけだが?」
うわ。・・・・・これか。
「俺がアコを落とすと思うか?」
「さて・・・男の嫉妬は見苦しいぞお頭」
「むっつりよりマシだろ?」
・・・自分から入っておいて何だけど。
誰か助けてコレ。
「・・・・俺はコレに関わる気はないんで早々に離脱させてもらうぞ」
「え、あ」
朝食を食べ終えたらしいベンさんが振り向きもせずに去って行った。
・・・・・ある意味大人の選択なのかもしれない。
残された私とお頭。
「見苦しいのはわかっちゃいるんだがな・・・」
お頭が難しい顔で呟いた。
「見苦しい、ですか?」
「・・・ベンにゃ悪いことしたなァ。今頃頭が冷えて来た」
「ベンさんならわかってくれると思いますよ」
「そうだな・・・・あいつの助言に従ってみるか」
「助言?」
「俺以外の男に触らせたくなかった、と言えばわかるか?」
「・・・え、何がですか?」
「だっはっは、だよなァそうだよな・・・悪かった、はっきり言おう」
お頭は今日初めて楽しそうに笑った後、
「好きだアコ。・・・・いや違うな、愛してる、か?こんなおっさんだが・・・本気なんだ」
・・・・・・私を唖然とさせた。
「・・・・好きな人の隣でなきゃ・・・寝たりしません・・・」
いくら酔ってても、それくらいの節度は持ってる。
「・・・今夜2人で飲もう」
「はい・・・・っ!!」
今夜も美味しいお酒が飲めそうだ。
・・・とはいえもう飲み過ぎるのはやめようと思いました。