短編④
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「アコ最近マルコと仲いいよな」
「うんそうだね」
仲いいね。
「・・・・・・あのな」
「何?」
「俺達付き合ってんだぞ」
「そうだね」
1年前から付き合ってるね。
エースに告白されて私がOKして。
付き合ってますよ。
「普通そこはそんなことないよ、って言わねェか?」
「そんなことなかったらそんなことないよって言うけど」
「・・・・・・・浮気か?」
じぃぃぃ、っと疑わしい目でエースが顔を突き出して来た。
「浮気するなら逆に仲良くはしないと思うけど」
「わかんねェだろ」
「わかるよ。疑われるようなことにはしないね絶対」
「じゃあ何で仲いいんだよ」
「何でって・・・・何でだと思う?」
にや。
なんて余裕の笑みを見せたらエースの手から炎が出た。
「・・・・・・・・俺妬かせて楽しいか?アコ」
うっわあ本気で怒ってる!!
まじで焼かれる!!
「ごめんごめん、エースのことだよ」
「何が」
「エースの話しで最近マルコさんと盛り上がってるの」
「はァ?」
「だからいいでしょ?」
「いいでしょってお前な。詳しく説明しろよ、どういうことだよ」
「えーと、だから、つまり」
何て言えばエースのこの怒りを治めることが出来るか考えていたら、
「許さねェ」
「え、ちょっ」
「お前は俺んだろ」
ぐい、と身体を引き寄せられて。
そのまま唇を奪われた。
奪われた唇が深くまで。
「・・・・っん、もう!!」
「絶対別れないからな」
「あのね、誰がそんな話ししたの」
「・・・・・・マルコと仲イイってそういうことじゃねェのかよ」
「そういうことじゃないです。よーく聞いてエース」
「おう」
「マルコさんがエースの話しをしてくれるの。私の知らないエースの話し」
「・・・・アコの知らない俺?」
「そ。私にもまだまだ知らないところがあるんだなあって」
「例えば?」
どうやらまだ納得してないらしいエースはいまだ疑り深い目で私を見ながら顔を近づけて来る。
危ない危ないこのまままたキスされたら今度こそこのままベッドへ連れて行かれることになる!!
「エースが秘密で特訓してることとか」
「げ。・・・・マルコの奴」
「エースの特に好きな食べ物とか」
「・・・・あとは?」
「エースの好みの女の子のタイプとか」
「ンなのマルコ知らねェだろ!?」
「どうでしょうねー?」
くすくす、と笑えばむっとした顔のエース。
あ、いけない。
「・・・・・・・そんなの知ってどうすんだよ」
「嬉しいの」
「嬉しい?」
エースの怒りを解くこと、忘れないようにしないと。
・・・・からかうとすぐ怒る、っていうのもマルコさん言ってたっけ。
それには私も激しく同意した。
そんでもって、
「私の中にエースが増えていくこと。エースが好きだから、幸せなの」
「・・・・・そ、そっか」
あ、空気が和らいだ。
・・・・単純。
っていうのもマルコさんと意見が合致したとこだったな。
「好きな人のことは何でも知りたいでしょ?」
「・・・・・・じゃあマルコじゃなくて俺に聞けばいいだろ?」
「聞こうと思って聞けるもんじゃないの、こういうのは」
「聞けよ」
「・・・・だからさ。知りたいことがある訳じゃないの。話してる中でたまたま知らないことが出てくるの」
それに驚いたり、同意したり。
それが楽しいの。
「ずりィ」
「何が」
「俺にだってあるはずだろ、俺の知らないアコが」
「・・・・あるかな」
「ある」
何でエースが自信満々に断言するんだか。
「つー訳で」
エースがニヤリと笑った。
嫌な予感しかしない。
「俺達もっとわかり合おうぜ?」
・・・・・結局こうなるのか。
・・・・・ま、いっか。
ひょい、といとも簡単に私を抱き上げたエースはご機嫌で。
私もされるがままを許した。
そんなことがあって数日後。
事件は起きた。
「マルコさーんこの間のじゃがいもの件なんですけどー」
用があってマルコさんの部屋で話していて、
「ああ、そのことなら」
ガクン、と船が突然大きく揺れた。
「・・・っと、大丈夫かい?」
よくあることとは言えいつもより少し大きかった揺れに傾いた身体はマルコさんによって救われた。
・・・・・のだけど。
「・・・・・やっぱり、そういうことかよ」
「え」
この部屋に居ないはずの声が聞こえて振り向いたら、
ドアからエースが見て声を震わせていた。
あちゃー・・・・・。
「・・・誤解するなよい、エース」
「そっそうだよエース今の揺れで転びかけて私がねっ」
慌てる私たちの目の前にエースは無言で目の前まで歩いて来て。
がしっと私の腕を掴んで。
「行くぞアコ」
「え、あ」
私を引っ張ってマルコさんの部屋を出た。
「・・・・エース」
名前を呼ぶとぴたりと立ち止まった。
「違うんだよな?」
「え?」
「・・・浮気じゃ、ねェんだろ?」
真っ直ぐな目でそう言って私を見る。
・・・・エースは、信じようとしてくれてるんだ。
「直前の揺れで転びそうになったのを助けてもらったの」
「わかった、信じる」
「・・・エース絶対怒るかと思ってた」
この間のこともあったし。
そう言ったらエースが苦笑した。
「この間アコが話してくれただろ?マルコと仲良くなった理由」
「・・・うん」
「最近仲良いよなって俺が言ってそんなことないよって言われてたら信じなかったかもしれねェけど」
話してくれるアコだから信じるって決めたんだ。
と言いながらふわりと優しく抱きしめられた。
「・・・ありがとねエース」
「・・・でもちっと妬くくらいは許してくれよな」
「勿論」
耳まで真っ赤。
こんな可愛くて素直なエース。
私だけが知ってる。