短編④
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夏と言えば、海。
スイカ。
お祭り。
花火大会。
・・・・・・そして、恋!!
なんだけども。
私の恋は目下望みなし。
・・・・・同じ大学の、モテ男エース君。
「別にそこまでモテてないでしょお金ないし」
「ナミがライバルじゃなくて良かった・・・・」
「そ?誰がライバルでも関係ないわよ」
「・・・・ナミの好きな人って誰?」
「お金持ち」
たぶん文字にしたら語尾にハートマークがついてるんだろうな。
「って誰?」
「この大学にそんな学生居る訳ないでしょ」
「だよね。あーあもうすぐ夏も終わっちゃう」
「花火大会は?」
「花火大会?」
「2つ先の駅近くの土手であるでしょもうすぐ」
「あーあるある、一緒に行こうナミ」
「馬鹿」
夏らしいことしたいなあって思ってたのにナミの一言にぐさっときた。
「駄目なの?」
「私誘ってどうすんのよ。相手が違うでしょ?」
びっとナミが強い視線で指差すのは。
「・・・・エース、君」
「隣で見届けてあげるから。行くわよ」
「のおぉぉぉ!!!」
ウソでしょ!?
嫌がる私を引っ張ってナミはエース君の元へ。
「お、ナミとアコじゃねェか。どした?」
はーっ今日もカッコイイ!!
「アコが話しがあるからよーく聞いて」
ほら、とナミが私の背中を押す。
「アコ?」
「・・・あ、あのっ今度の土曜暇!?」
「土曜?予定はねェな」
「はっ花火大会行きませんか!?・・・・皆で!!」
「おー行こうぜ!楽しくなりそうだ」
「じゃあ詳細は連絡するね!」
「ああ、待ってる」
「ではっ!!」
今度は私がナミを引っ張って、離れた。
「・・・・あんたね」
案の定ナミは怒ってる。
「ごめんナミ・・・・引っ張って」
「そこじゃないでしょ!?皆でって何、2人で行きなさいよ」
「・・・・・・いやあれが精一杯だよ」
恋する乙女だもの!!
「仕方ないわねー適当に誘っておくわ」
「ナミ恩に着る・・・っ!!」
「今度バラティエのオレンジタルト奢りね」
「・・・・お安くない」
「当たり前でしょ」
・・・・確かにこれでエース君と花火大会に行けることは決まった。
2人きりでなくても。
・・・・・・・と思ってたのに。
当日何と全員が浴衣を着てきて、
やれ屋台だ何処が穴場と好き勝手に動くもんで。
「・・・・・・・・嘘でしょ」
気が付いた時には知り合いは誰も居なくなってた。
もうすぐ打ち上げ、ということもあって人混みのすごいこと。
こんなんじゃこのまま花火見て帰るしか・・・!!
「アコ!」
さすがに不安で泣きそうになった時、
力強い声が私の名前を呼んだ。
「え・・・・・」
「こっちだ」
「エース君!?」
エース君の手が私の手を掴んで、
人混みをかき分ける。
「・・・人、すげェな」
「・・・・うん、はぐれちゃった」
「俺も。・・・っと、大丈夫か?」
すごい勢いで走ってきた人をエース君が引き寄せて避けてくれた。
その近い距離に、
身体が震える。
「これじゃ見つからねェな」
「弟君だけでも探さないと・・・・」
今日はエース君の弟も居たし。
「いいって」
「いいの?」
「金は渡してあるし。ナミにも」
「ナミにも?」
「俺1人じゃ面倒見切れないのはわかってたからな、監視役」
「・・・・さすがです」
話しながらも繋がれたままの手に心臓はばくばくで。
「アコ、こっちだ」
「・・・・こっちに皆が居るの?」
引っ張られるままついて行ったら、
「いや」
「・・・・わ、っと」
「登れそうか?浴衣だときついか」
「ううん、平気」
目の前に現れた階段につまずきそうになった。
「・・・・っと、言い忘れてたけど」
「うん?」
「浴衣、似合ってる」
・・・・頑張って着て来て良かった。
「・・・・ありがと」
「よし、これで最後な」
階段を上りきった、その途端。
ドン!!
大きな音がして、空に打ちあがった花火。
「わ・・・・」
「ここ穴場なんだ」
「ほんとだ・・・きれーい・・・・」
ひゅるる、どん!!
打ちあがって行く花火は綺麗、なんだけど。
「・・・・お、ワニだ」
「・・・あれはパンダとひよこだね」
・・・・面白いなこの街の花火。
普通ワニとかパンダとかの花火ある?
ああでもおかげで少し緊張が解けたかもしれない。
告白。・・・・今なら。
ドキドキしながらエース君を見たら、
エース君もこっちを見た。
「なァアコ」
「は、はい・・・・っ」
「もし次に赤い花火が上がったら・・・・俺と付き合って」
「・・・・・・・・・・・へ」
「好きだ、アコ。駄目か?」
・・・思ってもない、告白。
花火は今次の花火の為の準備中らしい。
「・・・よ、喜んで」
「っし!約束な」
「はい!」
2人で次の花火を待つ。
ひゅるるる・・・・・・。
次の花火が静かに上がった。
ドン!!
「あ・・・・・・赤・・・・・」
「・・・・・付き合って、くれるか?」
「よ・・・よろしくお願いします!!」
はっきりと返事をしたら、
勢いよく抱きしめられて。
心臓の音と花火の音が、重なった。
夏は花火、
と。
恋。