短編①
夢小説設定
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「あー・・・怖かった」
ほっと安堵のため息をついて、時計を見た。
まだ夜中の3時。
我ながら変な夢を見たものだ。
皆が襲われて、私は必死に逃げて。
・・・・・なんて、あり得ないのに。
このモビーに置いてそんな状況になる訳がないのに。
・・・・・なのに、怖かった。
目が覚めた後に怖かった、と思わず呟いてしまうほどに。
そう呟いてあれが夢であったと自分に思い知らせるほどに。
「・・・・むう」
おかげで眠れなくなったじゃないか。
仕方ない、食堂でお茶でも飲んで来よ。
さすがにこの時間なら誰も居ないだろうし。
そう思って寝間着のまま食堂へ向かう、と。
「・・・・え」
思わず声が出て、口を押さえた。
「・・・・・何だい」
「まさかこの時間に人がいるとは思いませんでした。マルコさん今日見張りでしたっけ?」
マルコさんが冷蔵庫の前に居たから、驚いた。
マルコさんは疲れた顔をして、
「やることが溜まってんだよい。・・・エースの奴がこないだの報告書出さねえからな」
「うわぁ、お疲れ様です。あ、何か作りましょうか?」
「いや、もうすぐ寝るとこだよい」
「・・・・・・・」
可哀想過ぎて言葉が出ない。
・・・・って!
私今寝間着だったあああ!!
しかも何でこんなとこに居るんだって聞かれたら答えられないし!
怖い夢見て眠れなくなっちゃった★
なんて言えないし!
子供か!
「・・・・・あ、じゃあ私はこれで」
「アコはこんな時間に何してんだい」
ぎくり。
「や、何でもないですホント。こんな寝間着のままじゃ失礼ですし」
そのまま逃げようとする私をマルコさんは何故か引き止める。
「気にすんなよい」
「気にします」
「・・・・・俺も気になってんだい」
「何をでしょうか」
「アコがこんな時間にここに居る理由だよい」
じろりと鋭い目で見つめられて。
うん、もう駄目だ。
誤魔化せないと悟った。
「えーっと、変な夢見て喉渇いたんでお茶でも飲もうかと。
まさかこんな時間に人が居るとは思わずこんな格好で失礼しました」
よし、言った。
ちゃんと理由は言ったし、お茶は飲んでないけどもう帰ろう。
ぺこりとお辞儀して踵を返そうとした瞬間。
「おお!?」
ぐい、っと腕を引かれた。
「まままままマルコさん!?」
「まだ茶ァ飲んでねえだろい」
「あ、や、お茶はもういいです」
「・・・・アコ」
熱のこもった声に心臓が高鳴る。
「・・・・・はい?」
「その格好でそんな顔されたら襲われても文句は言えねえよい」
「言わせて下さい」
どんな顔ですか。
「何なら添い寝でもしやろうか?」
「・・・・遠慮しときます」
マルコさんは非常に楽しそうに笑う。
「俺が居りゃ怖い夢見て大丈夫だろい?」
「どんな理屈ですかそれ・・・って、え?」
「ん?」
「私変な夢って言っただけですよね?」
「・・・・どうだったかねい」
おい。
心の中でこっそりツッコミを入れると、マルコさんは優しく笑った。
「アコのことは俺が守ってやるよい。例え夢の中でもな」
・・・・・・なんか、
いい夢見れそう。
「じゃあ私はマルコさんが仕事から解放されてる夢を見れるよう頑張りますね」
「・・・・そりゃ有り難いよい」