短編④
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「浮気だ」
「浮気じゃない」
「浮気じゃねェか」
「全然違う!!ただの買い出し!!」
「でも2人きりで出かけただろ」
「だからそれは・・・・・っ」
「・・・・何でだよ」
悔しそうに呟くエースにこれ以上なんて言ったらいいの?
だって私が昨日サッチさんと出かけたのは!
ただの買い出しなのに!!!
ほんっとーにただの買い出し!!
それ以上でも以下でもないのに!!
まさかのサッチさんとの浮気を疑われるだなんて!!!
「エースがつまみ食いしまくって食材が足りなくなったからだよ!?」
「でも俺に何も言わなかった」
「それはエースがマルコさんに捕まってたから!!」
反省文書かされてたから!!
「サッチと何処に行ったんだよ?」
「肉と野菜と魚屋さん」
「あとは?」
「そのままモビーに帰って来ました」
「・・・・ほんとか?」
じぃっと疑り深いエースの目。
「あのね、サッチさんと2人の買い出しって大変なんだよ!?」
「何が」
「すぐ女の人ナンパしようとするから!!」
「・・・・妬いてんのかアコ」
「サッチさん行っちゃったら誰が荷物持つの!?」
私1人で持つの大変なのよ!?
必死に訴える私にエースはようやく納得してくれたのか、
「・・・・・そっか」
ほ、っと息を吐いた。
「信じてくれる?」
「とりあえずサッチは殴っとくな」
「・・・・・うん、そうして」
笑顔で宣言するエースにそれだけ言って。
「悪ィアコ」
「ん」
仲直りのキス。
全然ヤキモチ妬いてくれないのも寂しいけど。
簡単に妬かれるのも問題。
・・・・・かなぁ。
なんて思ってた矢先のことだった。
厨房が一息ついて、
さあ私たちもご飯。
なんて話してた時だった。
船が大きくぐらりと揺れた。
調理器具や調味料なんかは勿論安全に出来てるけど、
人間はそうはいかない。
油断していて足がぐらついた。
「あ」
っぶない!!
転ぶ、と覚悟した身体は、
「惚れるなよ?」
「・・・・惚れません。でも有難う御座います」
サッチさんの身体に抱き留められた。
ほっと安堵したのも束の間。
「え・・・・てか俺殺される・・・・?」
後ろからものすごい殺気。
「え・・・・・・・エース・・・・・」
後ろからすごい目で私たちを睨んでいたエース。
「やっぱり・・・そうだったのかよ・・・・」
「違うよエース!?」
「俺の前で抱き合ってただろ!?」
「転びそうになったところを助けてくれただけです!!」
「エース君俺は無実です!!」
「・・・・俺が助けてやれなかったからか」
「そんな大袈裟な!」
エースは何を思ったのか、
そのまま背中を向けて行ってしまった。
「・・・・追いかけなくていいの?」
「あ」
ついその背中を呆然と見つめてしまい、
サッチさんに言われて慌てて追いかけた。
「・・・・・エースっ」
甲板の隅に海を見つめるエースを見つけた。
「・・・・俺、アコに相応しくねェか?」
「・・・・どういう意味?」
エースらしくない小さな声。
「アコのこととなると他のこと何も考えられなくなるんだよな、俺」
「・・・・・うん」
「でもアコはそれ嫌だろ?」
「・・・・・うーん」
「嫌われたくねェんだよ・・・・」
苦しそうな声に思わず胸が痛んだ。
「嫌じゃないよ」
「・・・嘘だ」
「嘘じゃない。だってエースが妬くのは私のこと好きって気持ちがあるからでしょ?」
「おう」
「嬉しいよ。・・・まあもう少し信じて欲しいとは思うけど」
「・・・だよな」
「でも無関心よりずっといい。こうして悩んでくれるところも、好き」
「・・・・ほんとか?」
「ホント」
不安そうなエースにぎゅ、と抱き着いたら、
ぎゅううう、と強く抱きしめ返された。
「・・・・ガキだな、俺」
「またそんなこと言って」
何だか今日のエースはネガティブエースだなぁ。
可愛いけど。
・・・・って言ったら怒られそうだから言わないけど。
「・・・悪ィ」
「・・・・エースのくせのある髪の毛が好き」
「え?」
「綺麗な黒」
「あ、ああ」
「そばかすも可愛い。好き」
「・・・サンキュ」
「全然ぷにぷにじゃないほっぺも、高さのちょうどいい鼻も」
「・・・・・どした?」
「ニヒルな笑みを浮かべた時の口元も」
「こ・・・・こうか?」
「好き。鍛え上げられた筋肉も、私を守ってくれるその腕も。足もぜーんぶ好き」
「・・・・・・・・ありがとな」
「わかった?」
私がどれだけエースのことが好きか。
「俺は幸せモンだなァ・・・」
ぽつりと呟いたエースの顔が嬉しそうで。
私も嬉しくなった。
「ずっと側に居てくれる?」
「また妬いちまうけど・・・・いいか?」
「火拳のエースだもんね」
顔を見合わせて笑って。
もう1回キスをした。
「つーかアコは妬かねェの?」
「妬いてるに決まってるじゃん」
やきもちはお互いさま。
両想いの熱が二人を妬かせるんだもん。