短編④
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「普段はしっかりしてるのに」
「・・・・・そんなことないよ」
「あるわよ。そんなんじゃ先が思いやられるわね」
「ナミー・・・・たすけて」
「あんたの覚悟次第でしょ。ほら来たわよ」
会社の飲み会真っ最中。
ひそひそと同期のナミに相談中。
来てしまった。
彼が。
「せ・・・・・・・・・・・・・・」
「飲んでるか?」
「は・・・・・・・・・・はい・・・・・」
私はこれだけの返事をするので精一杯なのに、
「飲んでまーす!シャンクス先輩お隣どうぞ」
ナミの度胸に感服する。
「いいか?隣」
「・・・・・・・・・・・・・・・・どぞ」
すぐに反応出来なくて、しかも小さい声でぽつりと一言。
駄目だ目見れない!!
先輩になんて失礼な態度を・・・・!!
「あ、シャンクス先輩お酌しますぅ」
ああああナミの度胸が羨ましい!!
と思ってたら。
「この子が」
・・・・と言って私を指さした。
ナミいぃぃぃぃ!!!!!
「あ、は、ど・・・・・・・・・・・・・・ぞ」
震える手でビールをシャンクス先輩のグラスに注いだ。
泣きそう。
「・・・・ありがとなアコ」
ぽん、と頭に軽く乗せられた大きな手に私は何も言えなかった。
「馬鹿ね」
「・・・・・・だってカッコ良すぎる」
「そこまでカッコイイとは思わないけど・・・貯金はしてそうよね、しれっと」
「カッコいいんだよぅ!!顔なんか見れない!!」
「はいはい。照れ屋にも程があるわよアンタ」
「だって好きなんだもん・・・・・っ」
「仕事に差し障りがないのが幸いよね」
「・・・・うん」
他の人には平気で接することが出来るのに。
好きな人・・・・シャンクス先輩にだけは無理。
近づかれるだけで逃げたくなるし、
目見るなんてもってのほかだし、
見つめ合えとか言われたら気が狂いそうになる。
・・・・・・・・でもほんとは。
・・・・見つめ合いたい。
好きって言いたいしアピールしたい。
ただでさえライバル多いのに!!
「好きならちゃんと見ておかないと損じゃない」
「・・・・・・ナミちゃん」
すごいわホント。
・・・・ナミになりたい。
緊張してあんまり飲めなかったおかげで二日酔いにはならずに済んで、
次の日もしっかり仕事。
「これとこれ、お願いします。あとあれはA社にお願いしていいですか?」
あとはこれをまとめて、っと。
仕事中ふと目に入って慌てて逸らして。
・・・・・もう1回見た。
シャンクス、先輩。
辛そうに頭を押さえながら仕事してる。
二日酔い辛そう。
・・・・・・よし。
自販機に行って、トマトジュースを買って。
シャンクス先輩が居ないのを見計らってデスクに置いた。
二日酔いに効くかもしれません、ってメモつきで。
「名前は」
「ひぇっ・・・・・ナミぃ」
置いて自分のデスクに戻ったらナミに睨まれた。
「名前よ。書いでなかったように見えたけど?」
「・・・・別にいいかなって」
「良くない!ただでさえ絡めないんだからアピールしなさいよ!!」
「今回はいいの。二日酔いが辛そうな先輩が楽になれば」
アピールなら別の機会にする。
「・・・・・・ほんっと馬鹿」
「そろそろお昼行こう?今日何する?」
「私今日お弁当なの、ごめんね?」
「残念。行って来ます」
今日は1人ランチかぁ、何食べよう。
ラーメンパスタお蕎麦・・・・和定食。
この辺何でもあるからなぁ。
「何食べるんだ?」
「あ、今迷っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・て、ます」
後ろから声をかけられて思わず返そうとして止まった。
「俺も一緒にいいか?」
「はははは、はいっ」
なななななんでシャンクス先輩がここにっ!!!
「近くに俺のおススメがあるんだが一緒にどうだ?」
「是非・・・・っ」
こくこくと必死に頷くだけで精一杯。
「よし、行こう」
背中に手が回された。
「ひ・・・・・っ」
「嫌か?」
ぶんぶんと今度は必至に首を横に振る。
「・・・そうか」
少しだけ嬉しそうなシャンクス先輩の横顔に目眩すら覚えた。
「お・・・・美味しい・・・・っ」
サクサクのチキンに、かかった自家製のタルタルソース。
「夜は居酒屋だから昼は定食が美味いんだ」
あまりの美味しさに頬が緩む。
「こんな穴場があったなんて・・・・」
「時間が早ければ数量限定の定食もいい。気に入ってくれたんならまた2人で来よう」
「きょ、恐縮です・・・・」
「出来れば夜も」
「え?」
「この間の飲み会で話しが出来なかっただろう?俺はもっと話しがしてェ」
その真剣な表情に思わず見惚れて、
目が合っていたことに気づき思い切り顔を背けた。
「有難う御座います・・・・っ!!」
「付き合ってくれるか?今夜」
無理!!無理無理!!
いや無理じゃない!!!
「・・・・・・・・・はい・・・・!!」
「ここは俺が出そう」
「無理・・・・です・・・!!そんなことさせられませんんん・・・・!!!」
「気にするな、トマトジュースの礼だ」
「・・・・・・・・・・・え」
「助かった、確かに二日酔いには効く。おかげで食欲が湧いた」
何気なく話すシャンクス先輩に心臓が止まった気がした。
「う・・・・嘘だって私名前、」
「後輩の字くらいわかるさ。それに名前を書かないところもアコらしい」
そう言って先輩は私をじっと見つめる。
「・・・・・・っ」
いつものように目を逸らせなかった。
シャンクス先輩の目がそれを許さないと言ってるようで。
強い、視線。
そして、ふ、と笑った。
「だっはっは、すまん。つい意地悪をしてみたくなったんだ、悪かった」
「・・・・・・・・・・わ、私こそいつもすみません・・・・・・」
「俺の気持ち、わかってくれたか?」
「え、えット・・・・二日酔いが治って何より、です」
「そうか・・・・そうだな」
「・・・・先輩?」
「それも間違っちゃいないが。これならどうだ?」
「はう・・・・・っ」
手を握られた。
握手、のような。
それでも私にとっては失神寸前。
そして。
「今夜の誘いはデートのつもりだ、と言ったら?」
・・・・挑戦的な笑みに、
ナミたすけて。
心の中でそう叫んで私は気を失った。
夜、私とシャンクス先輩は。
見つめ合うことすら出来ない恋人同士に、なりました。