短編④
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学校にはえてして、七不思議というものがある。
不思議・・・・というか、
七恐怖じゃね?とナミにツッコんだら知らないわよそんなの。
と怒られたけど。
「という訳なんですよマルコせんせー」
「・・・・・・何が言いたいんだかわからねェよい」
「先生私なんにでも興味のあるお年頃」
「お年頃ならさっさと帰れ。もう放課後だい」
「放課後だからこそ!!夜だからこその七恐怖!!」
「・・・・恐怖、ねい」
今日はチャンスなの。
何て言ったって、
「マルコ先生今日宿直でしょ!?」
「・・・・何処で知った、それ」
「とある情報通から金出して買いました」
「・・・・・ナミかい」
「黙秘します。ねえ先生、お願いしますっ!!」
七恐怖、もとい七不思議に興味があるのだ。
「言ってみろよい、どんな七不思議だい」
「えーっと・・・・ベートーベンの目が光る」
「そりゃ便利だねい」
「二宮金次郎像が歩く!」
「どうせ歩くなら書類運んでくれると助かるんだけどねい」
「人体標本が踊る」
「どんだけ上手いか見てやるよい、上手けりゃ拍手くらいはしてやる」
「・・・・一段多い階段」
「そりゃ損した気分だねい、膝が痛む」
「・・・先生年寄臭い」
「うるせェ、他は?」
「トイレの花子さん。遊びましょ、と声をかけてくる」
「遊びたきゃ昼にお前が出て来い」
「えー・・・・・体育館でバスケの音がするのに誰もいない」
「近所迷惑だねい、やめさせてやるよい」
「・・・・・・先生ってロマンの欠片もないですね」
「大人として当たり前のことを言ってるだけだい。最後は」
「最後は・・・・それらすべてを体験すると、この世にいられなくなる」
「くだらねェ、時間の無駄だよい」
「そこをなんとか!!」
「さっさと帰って勉強でもしろい」
「勉強ならするから!!今度のテストでいい成績とってみせるからぁぁ!!!」
がしっと腕にしがみついて先生を見上げた。
せっかくここまで残ってた意味がなくなる!!
「・・・・親御さんは」
「今日は帰ってきません!!!」
「・・・・・・・ったく」
嫌そうな顔をしながら、それでも。
「誰にも話すなよい」
と、頷いてくれるマルコ先生が、好きだ。
夜。
まずは音楽室。
「ベートーベンさーん」
たくさん並んでる有名な音楽家の肖像画の1つ。
ベートーベン。
「・・・・・いつまで待ってりゃ光るんだよい」
「さあ光って!今よ!光るのよ!!」
「・・・・阿呆か」
行くよい、とマルコ先生に引っ張られてあっけなくベートーベンさんとお別れ。
「で、二宮ならここにいるけどねい」
・・・・金次郎さんは固まったまま。
「試しにこの書類運んでくれるようにお願いでもしてみます?」
先生が持ってる書類、二宮さんに背負わせようとしたけど。
「大事な書類を任せられるかってんだい」
「・・・カッコイイ、先生」
「次は人体標本だろい、踊ったらお前も一緒に踊ってみろよい、アコ」
「・・・・前言撤回、先生鬼畜」
・・・・でも好き。
続いてどん、と目の前の人体標本。
「昼間は感じないですけど・・・・夜見るとなんか」
「気持ち悪いかい?」
「や、めっちゃ羞恥プレイですよねこれ」
「・・・・ったくよい、恐怖は何処行った」
「怖いですよいろんな意味で」
「これが踊ったら?」
「大爆笑」
「・・・・・・目の前でんなこと言われて踊る馬鹿は居ないだろうよい」
行くぞ、と。
先生はつまらなさそうに歩き出した。
次は1段多い階段。
「今朝数えてみたら12段でしたよ」
「・・・んな暇あるなら勉強しろよい」
「せんせー・・・・・お願いがあります」
おずおずと手を出したら思いっきり呆れ顔をされた。
「・・・・・転ばれて怪我でもしたら問題だからねい」
先生はゆっくりと、でも確かに私の手を取ってくれた。
繋がれた手のぬくもりに安心しながら、
「いち、にぃ、さん・・・・」
1段1段確実に上がっていく。
「11、12.・・・・・正確だったみたいだよい」
「・・・・・先生膝と腰大丈夫?」
「膝は下りが1番辛ェ」
「・・・・次は花子さんですよ」
誰も居ないから、と渋る先生を無理やり連れて来た3階の女子トイレ。
「はーなこさんっ」
声をかけてみる、けど。
しーん。
「遊んでやるからさっさと出てこい」
「・・・・先生めっちゃ上から目線」
「こちとら暇じゃねェんだい、付き合う気がねェならさっさと帰って寝るよい」
「・・・・・先生が怖いから出て来なさそう」
という訳でさっさと切り替えて次。
体育館のバスケの音。
「・・・・・・・・しませんねえ」
「当たり前だろい?ここにいるのは俺達だけだよい」
「・・・ですねえ」
「・・・・嬉しそうじゃねェかよい」
「・・・や、だって学校に先生と2人きりってレアですし」
・・・なんて。
ただ先生と2人きり、その事実が嬉しい。
「でも全部体験出来なかったからこれで最後ですね」
つまらないけど、高校生活のいい思い出にはなったかな。
「まだあるよい」
「え?」
「車の中で延々と聞かされる教師からの説教。・・・・恐怖だろい?」
「・・・うげえ」
先生と手を繋いで。
先生と2人きりで、
車の中で話した夜。
忘れない思い出。