短編③
夢小説設定
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左手のピンキーリングは、
願いを叶えたい。
という意味がある。
・・・・私は今、左手小指に。
指輪をはめた。
「私の星座のリング」
「・・・・本気ね」
「本気だもん」
半ば呆れ顔のナミに泣きそうになりながら頷いた。
だってこんなことでもしないと、
私の恋は目下望みナシ。
・・・・こんなことしたって、叶うかどうか怪しいものだけど。
「好きですって言えばいいじゃない」
「あのね」
「何よ」
「ナミならそりゃそれで恋人になれるかもしれないけど!!!」
「私お金のない人に興味ないの」
「そういう問題じゃなくて!!!」
「ついでにブラコンにもね」
「・・・・そこだ!!ナミ!!お願いがあるっ!!」
「・・・・はいはい」
・・・私の好きな人には弟が居る。
その弟君と、大親友のナミが仲が良かったことを今思い出した。
何で今まで気づかなかったんだろう!
「えっナミ来れないの!?」
「そ。悪いわね。家はわかるでしょ?」
「・・・・・・・・・うん」
ナミにお願いして私も誘ってもらったたこ焼きパーティ。
ナミと一緒に行こうと思ってたのに、
急遽行けなくなってしまったらしい。
「そんな顔しないの。ほら」
「・・・ナミが行かないんなら私も」
「馬鹿。何の為に私がセッティングしたと思ってるの?罰金取るわよ」
「・・・・ごめん。行って来る」
「行って来なさい!!」
「はい!!」
ナミの激励を受けていざ。
「・・・・・っ」
心臓ばくばく。
彼の家を前に。
大丈夫。
鏡で何度も化粧の確認はしたし。
震える手でインターホンを押した。
「ナミ!おせー・・・・」
「あ・・・・こ、こんにちは、ルフィ君」
「あー!!ナミの友達の!!」
「今日ナミ来れなくなったって」
「何だナミのやつ。仕方ねェなァ」
「ごめんねー」
「入れよ!俺の家に!」
「お・・・お邪魔します」
迎えてくれたルフィ君にお礼を言って家の中へ。
「エースー!!ナミの友達来たー!!」
はう!!!
「おーよく来たな!」
・・・・中で忙しそうに動いてた、
私の片思い中の人。
エース、先輩
・・・・カッコイイ。
エース先輩はカッコイイし優しいし強いし、
スポーツも万能で。勉強は出来ないけど。
とにかくモテる。
・・・私なんか話しかけるどころか、
近寄ることは出来ない。
それで何処を好きになったのよ、とナミに言われたけど。
・・・・少し遠くからだけどずっと見て来た。
ルフィ君に対する優しい視線とか、
お友達と居る時の楽しそうな顔とか、
転びそうになった後輩助けた優しさとか。
「ナミから話は聞いてるぜ!たくさん食っていけよ!」
「あ・・・有難う御座いますっ」
・・・駄目だ、鏡で何度も表情の練習して(勿論笑顔の)、
何言おうとかも全部考えて来たのにすっ飛んだ。
まさかエース先輩が話すなんて!!
考えてもみなかった!!
馬鹿だ私!!
冷静になって周りを見れば、
笑顔で手を振ってくれるのはサンジ君。
黙々とお茶を飲んでるゾロ君。
まあ座れよ、俺のたこ焼きは絶品だ、とドヤ顔してるのはウソップ君。
・・・・・ゆ、有名人揃い。
ナミすごすぎる・・・・!!
「もう出来てるだろ?」
「あ、は!はい!」
いつの間にか隣にエース先輩が立っていて。
「ほら、座れよ」
エース先輩の隣ぃぃぃ!!!
「あああああのこれお土産ですドーナツです!」
「お、悪いなわざわざ。遠慮なく・・・頂きます」
ぺこりと深いお辞儀。
礼儀正しい、こんなとこもすごく好き。
「滅相も御座いません!!」
スライディング土下座ばりの勢いでエース先輩の隣に座らせてもらった。
「たこ焼き好きか?」
「っはい!!大好きです!!」
貴方も!!
「じゃあ、ん」
「・・・・・・・・・・・・は」
綺麗に出来ているたこ焼きが目の前に。
えええええエース先輩からのはいあーん!?
ここここれは夢!?
呆然としてるうちに口に放り込まれたたこ焼き。
「あ、あふっ」
熱い!!
「ははっ、悪ィ!熱いよな、大丈夫か?」
「は・・・・はひ」
「お茶。俺の飲みかけで悪いけど」
間接キスぅぅぅぅ!!!!
次々起こる幸せなハプニングに私の頭はもう真っ白。
頂いたお茶はとても美味しかった。
「落ち着いたか?」
「はいぃ・・・・!」
全然落ち着いてないけどね!!
「エースー!!」
「おーどうしたルフィ」
とここでルフィ君に呼ばれたエース先輩が一旦離れてほっとした。
ここでナミにヘルプ。
『ナミ!!会話が出来ません!!私やっぱり見てるだけでいいかも!!』
メールを打つ。
『思うだけでお金が手に入れば苦労はしないわよ』
・・・・・返って来たナミの返事に胸を打たれた。
・・・きらりと光った左手小指のリング。
・・・・・思うだけじゃ、願うだけじゃ。
何も、変わらない、よね。
熱々のたこ焼きを頬張った。
美味し過ぎる!!
でもこれで!!勇気!もらった!!
・・・・・もらっ、
「・・・・大丈夫かい?」
「・・・・熱くなったんでちょっとベランダお借りします」
心配してくれたサンジ君にそう声をかけてベランダに出させてもらった。
・・・・熱い。汗が止まらない。
「・・・・はぁ」
頬に当たる風が気持ちいい。
「大丈夫か?」
「あ、は・・・・・・せせ先輩すみませんベランダお借りしておりますっ!!」
まさかの追いかけて声をかけてくれたのはエース先輩!
「具合悪くなったか?」
「いえ、熱くなっちゃっただけですはい・・・!」
「そっか」
そっか、と言いながら私の横に立つ先輩。
「戻らなくてよろしいので?」
「俺も熱ィから涼む」
「お、お疲れ様です・・・っあの、料理してるお姿カッコイイです!」
「ああ、ありがとな」
はあ、微笑み素敵。
「ところで珍しいな」
「は、何がでありましょう・・・?」
「小指に指輪」
ドキッとした。
・・・まるで今言え、と言われてるかのような。
「こ・・・っこれは、おまじないで・・・っ」
「まじない?」
「小指の指輪は・・・願いを叶えるんです」
「へェ、それで叶ったのか?」
「・・・はい、叶いました」
「どんな願いだったんだ?」
私の、願いは。
「・・・好きな人と」
「両想いに、ってやつか?」
「いえ・・・好きな人ともっと話せますように。私を見てくれますように、って」
「両想いじゃねェんだな」
「はい。・・・両想いには自分で努力してします。だからエース先輩」
思うだけでは何も変わらない。
ナミの言う通りだ。
「ん?」
「頑張って先輩に相応しくなるから・・・これから見ててもらえませんか?私のこと」
「・・・・・俺?」
「好きです先輩。大好き、です」
好きの気持ちはちゃんと口に出して言わないと。
「・・・・・いつも遠いとこから俺見てるから、駄目だと思ってた」
「・・・・・へ?」
ぽつりと吐き出されたエース先輩の言葉に思わず首を傾げた。
あれ、思ってた答えと違う。
「俺も好きだアコ。だから・・・今度からもっと近くで見てくれるか?」
「は・・・・・・・・・・・・はい・・・・」
明日からはもっと近くで。
好きですと伝えないとね。