短編③
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・・・・・・いい歳して、って言うのもなんだけど。
私は恋愛にまったく興味がない。
変な話し、
興味があるのはお金。
友人から金の亡者、としょっちゅう言われる。
「いやでもお金大事でしょ?」
「大事だな」
最近ちょっと嫌なことが続いたので、
神様にそろそろ勘弁して下さいとのお願いを込めて神社にお参り。
・・・・に付き合ってくれた幼馴染のシャンクスは頷いてはくれるものの、
その顔からは本音は読めない。
昔からそう言う男だよシャンクスは。
食えない、っていうか。
決して私を悪い意味で裏切ったり、
傷つけられたことはないけど。
・・・・それでも何を考えてるのかわからない。
「で、この結果は何」
お参りしたあとにおみくじを引いてみた。
結果は吉。
吉ならいいんじゃない?と喜んで詳細を見てがっくり。
「何で金運だけ利益なし。下手に動くな、なのよ!!」
「そう言う時もあるだろう」
「・・・・金運を何とかして欲しいのに」
「お、待ち人はすぐ来るじゃねェか」
「その人がお金持ってくるのかな!?」
それなら許そう!!
「こだわるなァ」
「そりゃそうでしょう。シャンクスは?」
「大吉」
「・・・・大吉男め」
「金運も良いな」
「・・・・そういえばシャンクスってそういう相手いるとか聞かないけど」
「結婚も問題ないそうだ」
「そりゃ大吉だしね」
大吉なら何でも良し、でしょうよ。
シャンクスは苦笑しながらふて腐れる私の髪を撫でて、
「そろそろ飯行くかアコ?」
お昼ご飯のお誘い。
・・・・・でも私はこのままじゃ。
「・・・・シャンクス」
「このままじゃ美味い飯が食えなさそうだ、と」
「・・・・よくわかったね」
「長い付き合いだからな。確かこの近くに金運の上がる神社があったはずだが」
「行こう!?」
「よし、行こう」
・・・・・優しい幼馴染。
いつまで私に振り回されてくれるんだろう。
「あり得なくない?」
「なくはないな」
「あり得ないよ!!」
「実際なったんだ、諦めろ」
「吉の次は凶だよ!?」
「そうだな」
金運神社でもお参りをして、
いけないと思いつつおみくじを引いた私たち。
私はまさかまさかの、凶を引いてしまった。
「・・・・ないわー」
「どれ。・・・・金が離れていく、か」
「でも見て。金運神社なのに恋愛運はいいの」
「恋愛運、良し。待ち人すぐに来る。さっきと同じだな」
「金運何処行ったの!?私の金運!!」
「だっはっは、諦めろってことさ」
「諦めきれない!!・・・・・・・シャンクスは?」
私の嘆きを見てシャンクスは、
「大吉だ」
どやァ。
・・・・・・大吉男最悪。
「・・・・良かったね」
「このままプロポーズでもしてみるか」
「え」
「なんてな」
シャンクスの意味ありげな笑み。
「・・・・いいんじゃない?」
そうか、とうとうシャンクスも結婚かぁ。
「そう思うか?」
「だって両方大吉だったじゃん」
「まあ今日はいい日ではあるが・・・どうだろうな」
「吉と凶の両方を引き当てた私に言わないで」
「人生なんてそんなもんだろう、いいこと半分、悪いこと半分だ」
「・・・・大人だねェ」
「大人だからな」
「すみませんね子供で。あー何かお守り買って行こうかなぁ」
「せっかくだ、恋愛成就の守りでも買って行ったらどうだ?」
「・・・何を馬鹿なことを」
「両方恋愛運だけは良かっただろう?これを気に恋愛でもしてみるのもいいんじゃないか?」
「・・・・・そっか!相手がお金を運んで来てくれるのね!?」
「まあ、金のない奴とは結婚も出来ねェからな」
「・・・・んーでもな」
「・・・嫌なのか?」
「相手のお金を使うのは何か嫌」
「・・・ほォ」
「自分で稼いで手に入れるお金だからこそ愛おしいっていうかさ」
「その愛を人に向けられねェのか?」
「・・・・・・・・うーん」
「人は裏切るが金は裏切らない、か?」
「そんな極端なこと思ってないよ。そこまで子供じゃない。でも」
「・・・・でも?」
「・・・・・・でも。恋愛とか結婚は、お金の価値観狂わせそうで怖い」
私のも、相手のも。
「そこまで人を想えるのは幸せなことだとは?」
「思わない。絶対将来後悔する」
「・・・・優しすぎるのが欠点、だなアコは」
「・・・シャンクスの方が優しいよ。こうして付き合ってくれるし」
プロポーズしたいと思う人がいるっていうのに。
「あまり買いかぶらないほうがいい」
「・・・・シャン、」
急に低くなった声に驚いた。
しかも、
「俺も欲望に忠実でな」
私の肩に回された手。
そのまま引き寄せられた。
「え」
目の前にあったのは。
「どうだ?」
「・・・・さすがシャンクスだね」
シャンクスの通帳。
貯金額ハンパないわ。
「金ならある。俺と結婚を前提に付き合ってみる気は?」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
「一応言っておくがこの金は全部お前と結婚する為に稼いだモンで、まっとうな金だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・嘘」
「な?大吉ったってこんなもんだ。プロポーズも成功しやしねェ」
「・・・・とりあえずご飯行く?」
「そうするか」
さっきの告白なんかなかったかのように、
シャンクスは頷いた。
・・・それでも私の肩にかかった手は、そのままで。
「奢るよ。お昼」
「・・・いいのか?」
「どうせなくなるんならシャンクスの為に使いたい」
「・・・・愛か?」
「・・・・愛になったらいいね」
・・・・なるほど、恋愛運だけはいい訳だ。
大吉男と。
吉時々凶女の。
恋愛話。