短編③
夢小説設定
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ざわ、と店内が騒ぎ始めた。
・・・・・・・・・・まあ仕方ない。
だって私の隣でにこにこ笑ってるのは、
四皇。赤髪のシャンクスで。
私はその『赤髪の女』として有名になってしまったから。
所々から聞こえてくる声。
「あれが赤髪・・・・」
「隣ってもしかして赤髪の女?にしては地味じゃない?」
「え、嘘?あれ?」
「やだ普通の子じゃん」
・・・・・・・・・・・・・悪かったわね普通で。
お頭はそんな声が聞こえていないかのようで。
・・・・・・・でもたぶん聞こえてると思うけど。
私もさすがにもう慣れた。
「何ぼーっとしてんだアコ。ほらお前の飲め」
「頂きますっ」
注がれたお酒をごくごくと喉に通して、
「んー美味しい!」
飲み干した。
「だっはっは!いい飲みっぷりだな!」
「あ、この料理美味しいですよおか・・・シャンクス」
「まだ慣れねェか、アコ」
つい癖でお頭、と呼ぼうとしてすぐに言い直した。
だってつい最近まではお頭、って呼んでた。
それが最近になって両思いになってから、
名前で呼ぶ約束になったから。
2人きりの時だけじゃ駄目ですか、って聞いたら『それじゃ慣れないだろ?』
ということで、いつでもシャンクス、と呼ぶことになってる。
「・・・・・・・・ごめんなさい」
こんなんだから相応しくないって噂がたつのかなあ。
「ま、ゆっくりでいいけどな。お、これも美味いな」
「あ、それ美味しそう」
「ほれ、あーん」
「・・・・・・・・・・・・・美味しいです」
そして再び恋人モードに戻った私達はやっぱり周りから視線を浴びたまま食事を終えた。
「あんま美味くなかったか?」
「え、美味しかったですよ?」
船に戻ったところでシャンクスにそう切り出されて、首を傾げた。
「ずっと浮かない顔してただろ、アコ。・・・それとも、辛くなったか?」
と、苦笑しながら頭を撫でてくれるシャンクスに私はゆっくりと首を横に振った。
「まさか。こんなことくらいで辛くなったりしないです」
「とか言って、本当は気にしてんだろう?」
「・・・・・・・・・・しつこい」
「だははっまあ、そう怒るな」
言いながら宥めるような優しいキス。
「・・・・・・・・・・ん」
「怒った顔も可愛いが、笑ってる顔が見てえんだ」
その顔が優しくて、嬉しくなる。
単純だなあ私。
「でも私ほんとに気にしてないんです。よく言われるのは地味な女ーですけど」
「まさか派手になろうとか考えてる訳じゃねェだろうな?」
「嫌ですよ絶対。派手にしたらしたで、派手な女ーむかつくーとか言われるんですよきっと」
「はははっ確かにな」
「結局どんな人でも気に食わないんじゃないかなああの人たちは」
最初こそ真に受けて傷ついたりしたけど。
「シャンクスが愛してくれないなら全部意味ないです。もっと可愛くなりたいなあとは思いますけどね」
「俺は今のままのアコで十分だが」
「・・・・・・・・・・欲ないですね海賊なのに」
「これ以上可愛くなってみろ。他の男に狙われちまうじゃねェか」
・・・・・・・・どうしてシャンクスはこんな台詞を恥ずかしげもなく言えるのかな。
「今も狙われてるじゃないですか。赤髪の女ーとか言って」
「意味が違うんだ。女として狙われるのと、人質として狙われるってのと」
「四皇の女狙います?人質以外で」
「アコは気づいてないようだが、今でもたまに混じってるんだ、そういうのが」
真顔で呟くシャンクスが何となくおかしくて、笑った。
「あははっ知らなかったです。私、可愛かったんですね」
「・・・・・・・・笑い事じゃないぞアコ」
「大丈夫ですよ。私そんな弱くないです。誰の女だと思ってるんですか」
赤髪の女、ですよ。
そう言えばぎゅうっと強く抱きしめられた。
「ああ、そうだったな」
「誰が何と言おうと、シャンクスの側に居られるのは、私」
抱きしめてもらえるのも、
キス出来るのも。
それだけで幸せ。
「・・・・・・・って思うのは駄目でしょうか」
私は特別、って少しだけ思いたいんだけど。
・・・・・・・自信なかったりする。
じっと見つめると、軽いキスをされた。
「お前を選んだのは俺だ。不安になることなんかねえさ」
「はいっ」
何度でも私の背中を押してくれる。
いつでも側に居てくれる。
地味でも、普通でも。
いいんだ、それで。