短編③
夢小説設定
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*ヒロイン村人設定
「・・・・・お宝お宝」
お宝ってそもそも何処にあるのよ。
宝物庫?
宝物庫って何処。
・・・・この船広いからもう嫌。
・・・・・とか言ってられないんだけど。
この船からお宝を奪わないと、私は。
「見ない顔のお嬢さんだな、迷子か?」
「あ」
・・・・・・・・・・あ。
思わず声に出た。
どどどどうしようバレた!!
いやでも待ってこのおっさん私のこと迷子だと思ってるラッキー!!
いやラッキーじゃないよ迷子ですぅって言ったって追い出されて終わりじゃん!!
「こんなデカい船に迷い込む訳はねェか。とすると泥棒か?」
にっこりと笑顔で言い当てられた。
・・・・策士かこの野郎。
万事休す。
しかも目の前のこの人、良く見れば超がつく程の有名人だった。
その顔にピンときたとき、
私は自分がハメられたことを悟り、
同時に自分の命を諦めた。
まさか忍び込んだ船が、
四皇赤髪のシャンクスの船で。
・・・・目の前に居るのがその四皇本人だなんて。
運が悪いにも程があるよ私。
よしこうなったら。
私は地に頭を擦り付けた。
「お願いしますっ!!お宝下さい!!」
直談判しかない!!
「・・・・面白いな。命乞いでもなく宝を所望か」
「必要なの。お宝が」
「何のために?」
「・・・・・私の、命より大切なものの為に」
「ほー・・・・しかしよく入れたな」
「気合で」
「だっはっは!!気合でか!そりゃいい。話しをしよう、宝はそれからだ」
あ・・・これ私拷問されるパターンだ。
覚悟を決めてごくりと唾を飲み込んだ。
ごくりと喉を通ったそれは、
「ぷはー!!」
とても美味しかった。
「いい飲みっぷりだアコ!もっと飲め!」
「あ、ども」
って普通に四皇にお酌されてる私。
最初は毒でも入ってるのかと思ったけど、2杯目を飲み干しても身体に変化はない。
「ところで・・・裏側に小さい海賊船があったと聞いてる・・・どうだ?」
・・・・が、これを聞いて思わずビールを吹き出しそうになった。
「せ・・・・正解」
私の答えを聞いて赤髪のシャンクスは美味しそうにビールを飲む。
「家族が人質に?」
「や、人質っていうか物質」
「物は?」
「本」
「本?・・・貴重な本か?」
「・・・・私には」
「海賊船に潜り込むほどに、か」
「・・・・・や、まあ。ハイ」
「歯切れが悪いな。そもそもどうして本を奪われたんだ?」
えええ・・・・これ言うの?
・・・・じぃっと私を見つめるその瞳には、
興味津々。
が表れている。
「・・・・その、船を拝借しようとしてバレました」
小さい海賊団で、小さい船で。
これくらいなら盗んでも良いかな。って。
そう言ったら彼は弾けたように笑いだした。
「だーっはっはっはっは!!度胸のあるお嬢さんだ。船を手に入れてどうするつもりだったんだ?」
「海に出る以外にあります?」
「何のために?」
「・・・・・・・・それは」
・・・・言いたくない。
それを察してくれたのか、彼は私の頭にぽんと手を乗せた。
「わかった。半分くらいなら持って行っていい」
「え・・・・・ほんと、に?」
「ああ。船長の俺が言うんだ、持っていけ」
や・・・・やった!!
これで本を取り返せる!!
・・・・そう思うのに、喜びと同時に不安が出て来た。
・・・・四皇の船だと知っていて私にここに盗みに行かせたってことは私が生きて帰るとは思ってない。
・・・・なのに私が宝を持っていったところで。
・・・・そもそもこんな良い人からお宝もらうのも。
・・・・・・・・いや、でも。
「宝物庫に案内しよう。必要なら俺も手伝うが」
「・・・・・・ホントに、ただの本なの」
「だが大事なんだろう?」
「貴方には価値はないと思います」
本を取り返して更に私からこの人が本を奪う、とか?
でなきゃ無償でお宝をくれるなんて。
「本に興味はない」
「・・・ほんとに?」
「ああ。俺が興味あるのはアコだからな」
「・・・・私?」
思ってもみなかった言葉に思考が停止した。
ああそっか、本に興味はなくて私に興味あるのかぁ。
・・・・・はああああ!?
「タダで宝を持って行くのが気がひける、というのなら取引をしねェか?」
「取引?」
「俺が本を取り返す。代わりにアコは俺達の仲間になる。・・・どうだ?」
「なか、ま・・・・」
「それが駄目なら俺の女になってくれると嬉しいんだが」
「いやいやいや!!飛躍し過ぎでは!?」
「・・・・答えは?」
「・・・・・・う」
「これでいいな?」
「・・・・はい」
数分後、あっさりと私の本を手に彼は帰って来た。
「これで俺達の仲間だ」
「私には・・・願ってもないことです」
本を受け取って、開いて。
それの無事を確認して肩を撫で下ろした。
「・・・・それは、写真か?」
「1枚だけの、両親の写真です。本当に欲しかったのは本じゃなくてこっち」
「・・・そうか」
「両親は海賊で、会いたかったらこの写真だけを手掛かりに探さないといけないから」
「・・・・何だって?」
「両親を探しに海に出る為に船が欲しかったんです」
だから私の返事は1つしかなかった。
赤髪のシャンクスの船に乗れるなら。
きっといつか会える。
「ちょうどいい会いに行って挨拶をしねェとな」
「挨拶?」
「結婚の許可を」
「・・・・・・よろしくお願いします」
・・・・・・お父さんお母さん。
広い海の何処かで、
会いましょう。
四皇に会っても、逃げないでね。