短編③
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毎朝、ニュースクーが運んでくる新聞。
最近はこれが楽しみで仕方ない。
「マルコさんっ、読み終わったら私に下さいね!」
「ああ、もうすぐ終わるよい」
朝食後の珈琲を飲みながら眼鏡をかけて新聞を読むマルコさん。
眼鏡姿もお似合い。
そんなマルコさんを見ながら新聞を待つ。
「ほらよい」
「有難う御座います!」
待ってました、と新聞を受け取る。
「・・・・そんなに面白い記事があるかい?」
「はいっ」
「まぁ興味深いのはエースの弟くらいだろい?」
「いいえっ私が楽しみにしてるのは・・・!!」
ぺらりぺらりと新聞をめくる。
あった!!
「・・・・・まさか」
「これですっ占い!!」
「・・・・・海賊が占いかよい」
呆れ顔のマルコさんに苦笑して、
「ただの気分転換みたいなもんです。当たる時もあるしはずれる時もあるし・・・・」
「当たったところでただのまぐれだろい」
「夢がないなあ、マルコさん」
「夢なしに海賊にゃなれねェよい」
「あっ今日恋愛運最悪です私」
「・・・・信じるのかい?」
「あえて信じて自分の力で最高潮にしてみせます」
「ははっ、それでこそアコだい」
うん、いい感じ。
占いに批判的なマルコさん見てドキッとしたけど。
最悪になんか、させない。
占いはある意味アドバイスとして受け取ってる。
・・・・特に、恋愛運は。
・・・・・こうして話してるだけでも、ドキドキして。
目を見るだけでも心臓が破裂しそうで。
・・・近くに行くのには、勇気が必要で。
それでも絶対両想いになる為に。
私に必要な占い。
「総合運もあんまり良くないけど・・・・火のあるとこに近づくな、ですって」
「無理な話しだねい」
「まったくです。ちなみにマルコさんは・・・・あ」
ぱ、と新聞を取られた。
「総合運1位」
「え、すごい」
「何事も上手くいく。家族を大切に、だとよい」
「えーいいじゃないですか!!マルコさん元々家族大切にしてくれてる人ですし」
「この後エースあたりが備品ぶっ壊したりしなきゃいいけどねい」
「・・・・・ありそうですね」
「もしくはサッチあたりが食料が足りないと相談に来る」
「いや、在庫はまだあったはず・・・」
「昨日の夜エースが盗み食いしててもかい?」
「げ!?してたんですか!?」
「さてねい・・・・」
「何もありませんように!」
「食後の珈琲くらいゆっくり飲みたいからねい」
「・・・ですよねえ」
と口にした瞬間。
「エースてめーっ!!!!」
の怒号が耳に届いた。
「占いなんてこんなもんだい」
マルコさんは深いため息を吐いて席を立った。
「・・・・お疲れ様でーす」
さて私もそろそろお昼の準備にかかろうか。
「アコちゃんそっち頼むー!!」
「はーい」
「アコちゃんこっち大丈夫!?」
「はー・・・・あ!!あ、っ」
危うく噴きこぼれそうになった鍋の火を消そうとして。
私は指に火傷を負った。
「ナースんとこ行って来な!」
「すみません・・・・!!」
・・・・やっちゃった。
まあ火傷とか切り傷には慣れてはいるけど。
よりによって今日、なんて。
ナースさんの部屋に行って、
「すみませーんいつものですー」
って声をかけて。
あらあら、今日はどっち?火傷?
なんて会話を交わして処置をしてもらった。
お礼を言って部屋を出たら、
「あ」
ばったりと。
マルコさんと出くわした。
「・・・・火傷かい?」
「・・・です」
「火のあるところに近づくな、だったねい?」
「料理人にそれは無茶な話しですよマルコさん」
「だろうねい」
「・・・料理をしてれば火傷なんてよくあることですし。油断しただけです」
でももう、油断しない。
「・・・・そうかい」
ぽん、と。
頭に乗せられた大きな手。
ゆっくりと髪を撫でた。
「・・・・マルコさん?」
マルコさんにしては珍しい(といったら失礼かな)穏やかな笑み。
「占いじゃなくて俺を頼れ。・・・助けてやるよい」
「・・・・・・っは・・・い」
返事をするのも忘れるくらい。
見惚れた。
・・・・・やばいカッコイイ。
というか優しい。
最高過ぎる。
マルコさんはそんな私に満足そうな笑みを残して去って行った。
・・・・ぷしゅうう。
今日恋愛運最高なのでは?
・・・・・・なんてやっぱり油断してた。
手が滑って落ちて、
粉々に割れたのはマルコさん愛用のグラス。
「俺行こうか?マルコに怒られんの慣れてるし」
「いえ・・・・私行きます」
サッチさんにお礼を言って、
私は覚悟を決めてマルコさんの部屋へ。
コンコン、とまずはドアをノック。
いつもは軽いのに今は重く聞こえる。
「・・・マルコさん、アコです」
「ああ、入れよい」
マルコさんの返事を聞いて入室。
「失礼、します」
「・・・・その顔は最悪、って書いてあるみたいだよい」
マルコさんは私の顔を見た途端そう言って苦笑した。
「・・・・すみません、油断、しました」
「怪我したのかい?」
「・・・・私は平気、なんですけど。マルコさんのグラスを割ってしまいました・・・!」
申し訳ありません、と頭を深く下げた。
「頭上げろい、アコ」
「は・・・・・・」
ゆっくりと頭を上げて驚いた。
マルコさんが優しく、笑ってたから。
「今日は良い1日だった」
「・・・それを私がぶち壊しました」
「グラスごときで怒りゃしねェよい。家族が無事ならそれでいい」
「・・・さすが総合1位。や、すみませんありがたきお言葉・・・!!」
感動と驚きで言葉がぽろり。
「1位じゃねェよい」
「え」
「むしろ最下位だい」
「え、だって今朝マルコさん・・・・」
「見るかい?」
ぺらりと見せられた新聞の占いコーナー。
「ほ・・・・・ほんとだ」
「占いに一喜一憂されるなんて御免だよい」
最下位のマルコさん(失礼)は嬉しそうな笑みで私に手を伸ばした。
思わずその手を取ったらぐい、と引き寄せられて。
「エースがやらかしたのはたいしたことねェサッチへの悪戯だったし、今は惚れた女が腕の中」
「・・・・・へ?」
「これが最下位ってんなら悪くないねい」
ちゅ、と頬に違和感。
・・・・・・・あれ、やっぱり最高です。