短編③
夢小説設定
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「ちょっと聞いてよアコー!!」
顔見知りのナースさんが私を見て駆け寄って来たから、何かと思った。
「エース隊長にさっき聞いてみたの」
「何をですか?」
「恋人に誕生日プレゼントを贈るなら何にする?って」
「・・・・エース、なんて?」
「ケーキと花。ですって。やぁねぇ」
「・・・・・・・・・・あはは」
・・・・・・・・え?
駄目なの?
誕生日にケーキとお花って・・・・駄目なの!?
「駄目なのか?」
「私が知りたい。何で駄目なんだろ」
エースがおやつを頬張りながら不満そうに聞いて来た。
「エース隊長はまだまだお子様ね、とか言われたんだぜ?」
「えー・・・・意味わかんない」
「全然わかんねェ。・・・アコなら何が嬉しい?」
「私?・・・・うーん、ゴミ以外なら大抵の物は嬉しいけど」
「ゴミぃ?」
「ゴミはさすがにもらっても嬉しくない」
「そりゃそうだ。つーかゴミなんかやらねェよ誕生日に」
ゴミ以外で欲しいもの、ねえ。
もらえるんならそれだけで十分。
というか本当にケーキと花束の何が駄目なのか全然わかんない。
私ならすっごい嬉しい。
「・・・・・あ、新しい調理器具!しかも最新のだったら跳び上がるかも」
「・・・調理器具ってお前」
「あとよく怪我するから絆創膏とか」
「プレゼントに絆創膏ぉ?」
「力仕事で身体も痛むし湿布も嬉しい」
「それナースも同意すると思うか?」
エースが呆れ顔で問いかけて来る。
「・・・・しないだろうね絶対」
「だろ」
「・・・居るんだ?」
「は?」
今の質問で何となくわかってしまった。
「ナースさんの中に、好きな人」
・・・・だから知りたいんだろうか。
『女の子』が喜ぶプレゼントを。
だとしたら真剣に考えて答えてあげないといけない。
私の痛む胸は無視で。
「・・・好きなやつは、いる」
「・・・・そっか。何だろねー喜ぶもの」
ケーキでも花束でもなくて。
「あ、手紙?」
「・・・・違う気がするぜ」
「そう?あ、わかった!」
「お、何だ?」
「最新の医療器具!」
「・・・・・・っておい」
「私が最新の調理器具欲しいんだからナースさん達だってそうだと思わない?」
「最新の調理器具は難しいから無理だ。他にねェの?」
「わかった!ケーキは太るしお花は手入れも大変で枯れるから駄目なんじゃない?」
「動けば問題ねェだろ。・・・・花はともかく」
エースの顔がどんどんと曇って行く。
ああっ何とかしてあげたいのに!!
「あとはアクセサリー?」
「それこそ好みあんだろ」
「あるわね」
「駄目じゃねェか」
「・・・・・・駄目だね」
じゃあ後は?
うーんうーん・・・・!!
「・・・・睡眠?」
「疲れてんのか?」
「・・・・・・ごめん」
「・・・腕枕でもしてやろうか?」
エースのいきなりな言葉にかぁっと顔が熱くなった。
「何言ってんのエース!?そんなことよりプレゼントでしょ!?」
「腕枕のプレゼント」
ってことでどうだ?
とにぃ、とエースが笑った。
「私にプレゼントしてどうすんの。誕生日でもないし」
「誕生日じゃねェけど」
「・・・・そもそもエースの好きな人って誰?何なら直接欲しいの聞いてきてあげるよ」
「誰だと思う?」
知らんがな!!
こっちは自分の気持ち押さえて考えてるのに!!
「つーか俺でいいか」
「何が!?」
「プレゼント」
・・・・・あっさりとしたエースの答えに思いっきり脱力。
「・・・よ、良かったね決まって」
「ケーキは作ってもらうことにする」
「誰に?」
まさか私に?
エースのことを好きな私にエースの好きな子へのケーキを作れってか!
作るけど!!
「本人に」
「得意なの?」
「料理人だからな、うちの船の」
「へー・・・・・・・・・・・って」
私そんな人知らない!誰!!
「ケーキ、頼むな」
「結局私!?」
「アクセサリーとかはデートん時買ってやるから教えてくれよ好みのやつ」
「私好みのになっちゃうじゃん」
「いいだろそれで」
「良くないでしょ!?」
「何で」
「何でって・・・・・エースの好きな子じゃないと」
「好きなのお前だから」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は」
「な、問題ねェだろ」
「そ・・・・・・・・・ソウデスネ?」
あれ何かおかしくないか。
・・・・・誰、エースの好きな子って。
「・・・・・わかってねェな?」
「ナースさんじゃないの!?」
「俺医療器具って言ったか?」
「・・・・言ってないね」
調理器具は買えないって言ってた。
「だろ?」
「・・・・だわ」
「で、いいか?俺で」
「わ・・・・私が欲しいのは、エースの」
愛です。