短編③
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「・・・・・・ん・・・・も、むり・・・・」
「もう限界かアコ?」
余裕なお頭の顔がムカつく。
でも仕方ない。
だって私はもう無理なんだもの。
「・・・・や、もう・・・・」
「もう少し頑張れるだろ?」
「ん・・・・・・・っむりですって!!」
「・・・・仕方ないな」
ばたん、と腕が倒れた。
「まだまだだな」
向かい合ったお頭のにこやかな笑みに湧き上がる怒り。
「当たり前じゃないですか!!お頭に勝てる訳ないし一朝一夕で強くもなりません!!」
「で、諦めるのか?」
「あ・・・・・っ諦めませんよ」
刀や喧嘩じゃお頭に勝てなくても。
腕相撲でも・・・・そりゃ勝てないよ。
わかってるよ。
わかってるけど!!
『少しでもお頭の腕を動かせたら私の勝ちってことで私のお願い聞いてくれませんか!?』
そう勝負を持ちかけたの私だもん。
『別にそんな面倒なことしなくても聞いてやるぞ?』
と笑ってくれたお頭に、
首を横に振った私。
・・・・・そんな簡単に言えるお願いじゃないから。
一世一代の勝負!だから!
きっと聞いたらお頭は笑ってそんなこと、って言うだろうけど。
・・・・頑張らないと。
色々考えたけど、
料理じゃお頭は相手にならないし。
他の勝負は考えられなかった。
私もお頭も傷つかない方法で勝負して、
私が努力して報われそうなこと。
・・・・腕相撲。
必要なのは腕の筋肉だと思ってダンベルトレーニングをしてるんだけど。
すぐには強くなれないよね・・・・。
「まァ、そんな慌てなくてもいいだろう」
「いえ!!」
でも私には時間がない。
「・・・・駄目なのか?」
「・・・・・私のお願いには期限があるんです」
・・・・・でないと意味がない。
「・・・・期限、ってのは?」
「・・・・2週間」
「厳しいな。鍛えてるのは腕だけか?」
「え、はい」
だって腕相撲だし。
「腕相撲に必要なのは全身の筋肉だ」
「全身の?」
「例えば背筋腹筋。全身を上手く使って腕に力を集中させるんだ」
・・・・・・・全身の筋肉、かぁ。
「俺とやってる時腹にも力入ってるだろ?」
「確かに・・・・!!」
「で、それを2週間って訳だ」
「・・・・はい」
「ま、無理だな」
「無理じゃない!・・・・・・です!!」
思わず叫んでた。
・・・・無理でも何でも、やるのよ。
決めたんだから。
変わるの。・・・・変えるの。
怖いからって逃げてたんじゃこの船の女として廃る。
「・・・気になるなァ、そこまでしてでも叶えたいアコの願い」
「・・・・・駄目ですよ手加減しちゃ」
「ああ、わかってるさ」
2週間でお頭の腕を動かす。
・・・・・・・と決めたものの。
2週間、って言っちゃったんだけど。
お頭気づいてないんだ。
その期限の意味。
・・・・気づいても私の目的までは絶対わかんないだろうけど。
「・・・・・・んー・・・・・・!!!」
「・・・・頑張る姿は可愛いが、筋肉ムキムキになるのはやるせねェなァ」
こっちは必死なのに、お頭は余裕。
悔しいなぁ・・・・!!
「・・・・ふ、ん・・・・ぐぅ・・・・!!
「イイ感じではあるが・・・・」
「・・・・・・・は・・・っ」
「・・・・いいか?」
「・・・・・う」
頷く暇もなく、
こてん。
また私の負け。
・・・・・このままじゃ。
「ヤソップさぁぁん・・・・」
困ったときのヤソップさん。
「あー・・・用はお頭の手抜きナシで勝ちたいと」
「はい!」
「でも今の力じゃ無理だと」
「はい・・・・!!」
「ま、ちっと卑怯だがお頭ならこれが効くってのはある」
「教えてください!!」
ごにょごにょ。
耳打ちされた秘策に迷いながらも私は。
「勝負!」
あと3日。
追い詰められての勝負。
「お・・・・・・?」
・・・・・じっとお頭を見つめた。
「・・・・・・・・おか、しら・・・・ぁ」
「・・・・・参った」
ぐ、っと腕が動いた。
「あ」
「・・・・・こうきたか」
お頭の腕が動いた。
「わ・・・・っ私の勝ち・・・ってことで」
駄目ですか?
ヤソップさんからの助言。
お頭の目を見てやれ。
・・・それを実行したら見事に。
「・・・・それで?願いってのは?」
お頭は何処か嬉しそう。
もうすぐ島に着く。
「次の島で・・・・夜景が綺麗な場所があるんです・・・・そこに私と一緒に行って欲しいんです・・・っ」
「ああ、勿論」
「こ・・・・っ恋人として!!」
ずっと怖くて言えなかった片思い。
でもここで。
この勝負で、変える!!
お頭の答えは。
「喜んで、だ」
「・・・・・え」
いいの?
「その為に頑張ってたのか?・・・可愛いことをしてくれるじゃないか」
「あ・・・・は・・・い」
ぎゅ、と自然と力が入ってた拳に、
ちゅ、とお頭の唇が押し当てられた。
「夜景を見ながら、と思ってたんだが先を越されちまったな」
「おかしら・・・・・っ」
「もう鍛えるのはやめてくれるな?」
「え、でも」
せっかくだし。
「アコは俺が守るから問題ない」
「・・・・恋人として?」
「勿論だ」
ムキムキ、ちょっとなりたかったんだけど。
・・・・でも、
めでたしめでたし。