短編③
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜、外で物音がした気がした。
・・・・誰か居るの?
不審者?
親を呼ぼうかとも思ったんだけど、
呼んでる間に逃げられても嫌だから。
「・・・・・・・よし」
覚悟を決めてそっと窓を開けた。
窓から見える小さい公園の小さいベンチに、人が居た。
こんな夜中に、1人で。
・・・・仲間と騒ぐんでもなく、ただ1人静かに。
・・・・・・あいつめ。
私も軽く上着を羽織って家を出た。
「何してんの?」
公園の入り口で声をその人に声をかけようと口を開いた。
でも一瞬・・・・声をかけるのをためらった。
そこに居た男・・・・幼馴染のエースの顔が真剣だったから。
必死、というか。
・・・・・声をかけづらかった。
「待ってんだ」
エースは私を見て驚いたように笑い、
そう宣言した。
待ってるって・・・・もしかして。
「あ・・・・お、女のヒト、とか?」
「・・・・・あのな」
エースは私を見て呆れ顔。
「だっだって・・・・違うの?」
「全然違ェ」
「・・・・じゃあ誰を待ってるの?」
「人じゃない」
「人じゃない?・・・食べ物?」
「流れ星だよ」
「流れ星、かあ・・・・」
私もエースみたいに上を見上げてみる。
確かに今日は星が良く見える。
「さっきからずっと待ってんだけどなァ」
「何か願い事?」
「・・・願い事、な」
エースは遠い目で空を見る。
・・・・流れ星って言ったら願い事だと思ったんだけど。
「違うの?」
「俺今まで1度も見たことねェんだよ。だから見たいだけだ」
「・・・・ふーん。でも願うなら何願う?」
「・・・・俺は」
・・・・・俺は?
「願いは自分で叶える」
「・・・・うん、エースらしい」
「つーか難しいよな」
「何が?」
「流れ星はあっという間に消えるだろ。3回も言うって無理じゃねェ?」
「・・・・うん。難しいね」
私も流れ星を見たことはあっても、
願い事を3回言えたことは1度もない。
あ。
で終わり。
ほんとに一瞬、あっという間。
「星はこんなにあるのにな」
「・・・・ね。星に願いを、だったら簡単なのに」
「ははっ、確かにな。これだけあればどれかは叶えてくれるだろうしな!」
「・・・・・流れないねえ、星」
ぼーっと星空を見上げてる。
こんな時間も嫌いじゃない。
・・・・でも、
「っしゅん!」
くしゃみが出た。
「大丈夫か!?」
「あはは、大丈夫。ていうかエースこそ」
私より長く外に居るんだから、心配。
「俺は平気だけどよ・・・アコはそろそろ帰れよ」
「んー・・・・・でもここまできたらさ」
一緒に流れ星が見たいじゃない。
そう言ったらエースが苦笑した。
「流れ星よりアコの身体が大事だって言っても・・・聞かないな?その顔は」
「聞けませんねえ。エースだってまだ居るんでしょ?」
「ああ、待つ」
・・・・なんだかちょっと流れ星にジェラシー。
なんてね。
「じゃあ私も一緒に待つ」
「・・・・風邪ひくぞ」
「大丈夫」
「仕方ねェな。・・・・こうすりゃ大丈夫だろ」
突然ぎゅうと抱きしめられた。
「えええ!?」
「問題あるか?」
「・・・・星、見れる?」
「見れる」
2人で空を見上げて。
・・・・・・思うのは、
「・・・・・流れ星に3回願い事を言うのは難しいから、言えたらそれだけで嬉しいかも」
「俺は言うぞ」
「何て?」
「アコを恋人にする」
「・・・・それ願いっていうか宣言じゃ」
「どっちでもいいじゃねェか」
良くない!
・・・・・ま、いっか。
流れ星。
見れたらきっとそれだけで幸せになれる気がする。
「・・・・なんだか眠くなって来ちゃった」
「このまま寝たら親に怒られンな」
「2人で怒られよっか」
「お、珍しいな」
「たまにはね」
そうして、
お互いに凭れ掛かったまま。
目を閉じた次の瞬間に、
夜空を流れた光に気づくことなく。
朝。
約束通り2人で親に怒られました。