短編③
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「サッチさーんネギ終わりましたー!!」
「あいよっ」
次は豆腐!
と切りかかろうとして、
「ところでさーアコちゃんいつからエースのこと好きなの?」
「は」
豆腐が崩れた。
「あ・・・・・」
「あーいいよいいよー崩して使うから」
「すみません・・・・てかいきなり何言いだすんですかサッチさん」
「え、だって気になるじゃん」
サッチさんはサクサク料理中。
私ときたら動揺しちゃって情けない。
「・・・・でも私エースのこと好きなんて一言も」
「わかるってそんなの。で、いつなの?」
「・・・・ここ入って割とすぐ」
「一目惚れ?」
「じゃなくて。・・・私の失敗作を食べてくれた時」
私が作ったお菓子、ものすごい失敗をして大衝撃を受けた時。
『ああああ・・・・・・・・』
捨てるなんて勿体ないけど食べれるものじゃなくなってしまった。
・・・・食べれるものだったのに。
私が手をかけたせいで。
・・・・・泣きそう。
そんな時、
『それ、どうするんだ?』
『え、あ・・・・・食べられないから』
『食えねェの?』
『だってこれだよ!?せっかくだけど・・・』
『食っていい?』
『・・・・・これだよ?』
『いただきます』
ぺこりとお辞儀をして失敗作を口にしたエース。
『だっ大丈夫!?』
『全然問題ねェ。美味いぜ?』
・・・・・そう言って笑顔で食べてくれた瞬間、
確かに私はエースを好きになった。
「あーまあエースだから」
「でも嬉しかったんです」
食べ物を無駄にせず済んだことにもほっとした。
「で、いつ告白すんの?」
「え、しませんけど」
「・・・・・しないの?」
「しませんよ。する理由ないですもん」
「好きなのに!?」
「いいんですそれで」
「・・・・まあ、アコちゃんがそう言うんなら影から応援してますかね」
「そうして下さい」
なんてやり取りがあった数日後。
「アコ好きな奴居るんだな」
・・・・・・・・なんて言葉がエースの口から飛び出した。
「・・・・・・はい?」
「居るんだろ?」
いつも通り少し遅めの夕飯で、エースとまったり夕飯。
だったのに。
「何で!?」
「サッチが言ってた」
・・・・・・・・影から応援じゃなかったんですか。
「・・・・私に好きな人が居るって?」
「ああ」
・・・・これを聞く限りエースが好きだってことはバレてないらしい。
よし、相手だけはこのまま隠し通そう。
「・・・・うん、まあいるけど」
「へェ・・・・」
するとエースは何を思ったのか、
「それってマルコ?」
・・・・とんでもない名前を出してくれやがりました。
「私にそんな度胸はありません」
「ははっ、そっか。じゃあサッチとか?」
「ない。絶対ない」
「まさか・・・・・」
「何!?」
「オヤジじゃねェよな!?」
エースが深刻な顔で叫んだ。
「違います!!・・・・もういいじゃない私の話しは」
「いや、気になる」
「え・・・・」
気になる、って。
・・・・・もしかしてエースも私のこと?
「変な奴にアコ任せられねェだろ」
「・・・ああ」
お兄ちゃん的な。
ちょっとがっくり。
「大丈夫、好きって言うつもりないし」
「は?何でだよ」
「好きって言わなくても家族として側に居られるんだよ?それで十分じゃん」
「・・・・いいのか?それで」
「いいの、それで」
「じゃあ相手から告白して来た場合はどうするんだ?」
「・・・・・好きな人からってこと?」
「あァ」
「・・・・そりゃあ私も好きって言うよ」
さすがに。
「じゃあ好きじゃない相手からだったら?」
「そりゃごめんなさいでしょ」
「・・・・それでも諦めなかったら?」
じ、っと真剣な目で見つめられて返答に困った。
・・・・そう、だね。
「・・・・付き合う、かも」
私の失敗作を美味しいと言って食べてくれた人もいるんだもん。
食べて見ないとわからない。
付き合ってみないとわからない。
「・・・・俺は諦めねェからな」
「・・・・・・ん?」
「一応言っておく」
「・・・・・いやその前に私何のことか」
「ああ、まず言わないとだな!」
「そうだねよくわかんないけど!」
ああ人生ってのは、
「好きだアコ」
「・・・・・・はい、私も好きでした」
わからないもんだ。