短編①
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何でこんなことになったんだっけ、と
ぼんやり考える。
そして手足を縛られた状態で出来ることを考える。
今頃お頭、心配してるかな。
・・・・だいたい四皇の赤髪のシャンクスが来た、なんて大騒ぎしたこの町がおかしいんだ。
歓迎されて女の子にちやほやされてたお頭も悪い。
・・・・・・・・・でも、
1番悪いのは、私だ。
『君、あの赤髪のところで掃除してる子なんだろう?』
そう、声をかけられて。
『話を聞かせてくれよ』
その言葉にいい気になった。
赤髪のシャンクスの船に乗ってる、
ただの掃除婦。
そう軽んじられるのが普通で。
だから嬉しくて気づかなかった。
気がついた時にはこのザマ。
「あひゃひゃひゃ!!人質さえ居ればこっちのもんだぜ!」
・・・・そうでもないと思う。
「可哀想になあ、まだ若ェのに。なあお嬢さん、あんただけは助けてやってもいいんだぜ?」
「どんな条件つきです?」
どうせただで助けてくれるとは思ってない。
「赤髪海賊団は弱くて情けない連中の集まりだ、と言え。そうすれば命だけは見逃してやるよ」
にやにや、と気持ち悪く笑う男に反吐が出そうだ。
命だけは、なんて。
こっちはそんな言葉を信じるほど甘い世界で生きてないんだっての。
「おら、言えよ」
「・・・・・赤髪海賊団は、」
お酒が大好きで毎日宴して。
いつも笑ってるお頭が居て。
「赤髪海賊団は強くてカッコよくて優しい飲んだくれの集まりです」
私の言葉は予想外だったのか、目の前の男は口を大きく開けて(阿呆みたいだ)、
少しの沈黙の後、
「どうやら死にてえらしいな」
低い声でそれだけ言い放った。
別に死にたい訳じゃない。
ただ、覚えてることがある。
それだけ。
男の持つナイフが光った。
それが振り下ろされる、瞬間。
ぶわっ、と。
気を失いそうなほどの覇気。
「・・・くっ、赤髪!」
周りに居た男達は次々に倒れていく。
真ん中に堂々と立つ、お頭の姿。
「こっちには人質が居ることを忘れるな!」
ぱら、ときつく結ばれていた紐が解かれた。
「あ、もう人質じゃないです」
「何!?」
後ろから縄をほどいてくれたのはルウさんで。
そのまま男に銃を突きつける。
「たっ・・・たかが掃除婦如きにこんな、」
「そいつは掃除婦じゃねぇんだ」
真っ青になった男に向かってお頭は言う。
え、私掃除婦じゃないの!?
「俺の女だ」
バン、と音がした。
「何であの男の言う通りにしなかったんだアコ」
船に戻った私はお頭の部屋で事情聴取。
「・・・・弱いのは私だけだから」
「俺はお前に生きろと言ったはずだ」
いつになく真剣な顔のお頭。
言ったところでたぶん殺されてました、とか思うけど。
そう反論できる訳もなく。
「すみません、でした。でも大丈夫だと思ってたから」
「あと1秒でも遅れてたらどうなってたかわからないんだぞ?」
「・・・・でも、絶対助ける、って言ってくれたから。お頭が」
私を船に置いてくれると言った時。
『これからいつ何時、何があっても俺達が助けに行く』
「だから言いたくなかったんです」
私がそう言うとお頭は大きくため息を吐いた。
そして、
大事な手で私の頭を撫でてくれた。
「覚えてたのか」
「・・・ていうか、私掃除婦じゃなかったんですか?」
「ん、知らなかったのか?」
「知らなかったです」
「アコほど強くて美しい女を俺のものにしない訳がないだろう?」
・・・・・初めて知りました。