短編③
夢小説設定
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「・・・・・・どうしよう」
「おーどーした?」
「・・・・・・・・・忘れてました」
「何を?大事な書類か?」
さーっと顔から血の気が引いていく私にヤソップさんが心配してくれてる。
・・・・・大事な書類、どこの話しじゃない。
「ホワイトデーですよ!!」
「ああん?そんなの男の話しだろ?」
「違うんです!!今年もらったの私なんですぅ!!!」
「・・・・あいつから?」
「・・・・はい」
私には付き合って1年の恋人が居る。
同じ会社の先輩で、
ヤソップさんの同期でもある人。
・・・・シャンクス。
カッコ良くて優しくて器が広くて。
更に優秀。
そんな彼をゲット出来たのは奇跡に近い。
貢ぐことこそしないものの、
美しくあるよう、太らないよう。
努力してきた。
・・・・・・でも。
恋人にとっても大事なイベントであるバレンタイン。
1週間前のこと。
「今年はいくつチョコもらえるかな」
と呟いた私に、
「・・・・くれるんじゃないのか?」
とシャンクス。
「友チョコがね、毎年何個かもらえるからそれが楽しみなの」
と説明。
「友チョコか、確かに甘いモンは男より女の方が好きだからな」
「私もそう思う。なのに女が男にあげるんだもん、納得いかない」
「ははっ、その通りだ」
「だから毎年友チョコが楽しみなんだ」
「なるほど・・・・」
という会話をしていたのに。
当日。
私は友人から友チョコをもらうだけもらって(今年は4個もらえた)、
・・・・・私は。
私はシャンクスにチョコを渡すのをすっかり忘れ。
そればかりか。
シャンクスが私に高級チョコをくれた。
そんな失態をやらかしたにも関わらず。
私は1か月後のホワイトデー。
昨日お返しを・・・・しなかった。
すっかり忘れてた・・・・!!!
友達にだけ返して満足してた!!
私最悪!!
どうしようもしフられたりしたら!!
「どうかしたのかアコ?」
ふ、と下から顔を覗かれた。
その顔は、心配そうなシャンクス。
「しゃっ・・・・!!」
「具合が悪いのか?」
「あ、や、えっと」
ああっ優しいシャンクスに胸が痛い!!
「無理するな」
私の頭を優しく撫でながら諭すように話しかけてくれる。
それだけでもう泣きそう。
「・・・大丈夫、ありがと」
無理に笑ってみせたけど、
「少し早いが休憩にしよう」
「え、平気だよ」
「いいんだ、俺もサボりてェ」
にィ、と豪胆な笑みにつられてしまった。
「・・・・・ごめんねシャンクス」
「で、どうなんだ?」
早めのお昼休憩で、ファミレスでランチ。
「・・・具合は悪くないよ?」
「なら悩み事、だな」
・・・・・シャンクスは全然怒ってないみたいだ。
それどころか気にすらしてない。
何て優しくて素敵な人。
デートの時もさりげなく私が気に入ったものを買ってくれたりするし。
でもシャンクス気にしてないなら私も気にすることないかぁ、なんて訳にはいかない。
せめて今日中にお返しを!!
「きょ、今日はここ私が出すからね!」
「いや、大丈夫だ」
「でも、」
「優待券があるからな」
「おお・・・・」
シャンクスの手にお店の優待券。
さすが・・・・!!
じゃないよ。
お返しどうする私。
「仕事でのミスはなかった、体重にも変化は見えない。・・・・顔色も良い」
うわ、冷静に分析し始めた。
こうなったら素直に謝るしかない。
「シャンクス・・・・ごめんなさいっ」
頭を下げたらシャンクスは何を思ったのか、
低い声で、
「・・・別れなら受け入れるつもりはないが」
それがすっごく怖かった。
「じゃなくて!!・・・・昨日何の日だったか忘れてて」
「・・・昨日?」
恐る恐る顔を上げたらシャンクスは一生懸命考えてた。
・・・・・あれ、シャンクスホワイトデー忘れてた?
訳ないよね!?
きっといっぱいもらったはずだし!
「・・・・・・・・・・俺達の記念日、じゃねェな?」
・・・・・・うそん。
「・・・・ホワイトデー、だよ」
「・・・・ああ、そうか。そうだったな。で、それが何だ?」
きょとん。
「私お返し何もしなかった、から」
「何だ、そんなことを気にしてたのか。気にする必要はねェ、バレンタイン関係なく俺がやりたかっただけだからな」
「・・・・・すき」
もうほんっと好き!!
「ははっ、その言葉で十分だ。気にしてくれてんなら今夜デートに誘っても?」
「喜んでお受けします!」
「エレベーターで2人きりになったらキスしても?」
「・・・・・いいです」
この間しようとしたから会社では駄目、って言ったことまだ気にしてたんだ。
「何よりのお返しだアコ」
「・・・・シャンクスホワイトデー何もしてないの?あ、いっぱいもらったから返すの大変?」
おおざっぱに見えて律儀なシャンクスにしては珍しいなと思ったら、
「もらってねェからな」
とあっさり。
「・・・・・・そう、なの?」
「全部断った。本命1人に贈れればそれで良かったんでな」
「あばばば・・・・!!!!」
「来年も期待してくれ、甘いバレンタインにしてみせる」
・・・・・・・・何て素敵なマイダーリン。