短編③
夢小説設定
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「信じられねェ」
「何が?」
「普通付き合わせるか?」
エースがものすごーく嫌そうに呟いた。
「え、だって私たち付き合ってるじゃん」
恋人同士じゃないか。
まさかそう思ってたの私だけ!?
焦る私にエースは冷静に、
「違ェよ。その恋人に他の男に渡すプレゼント買うのに付き合わせてるとこだ」
そう言い放った。
「だって今度イベントあるんだもん。お手紙とプレゼント渡すの」
「へーへー」
「・・・・・・その態度よ。エースは彼の素敵さを知らないからそうなのよ」
「知らねェし知りたくもねェ」
「もー」
「で、何買うんだよアコ」
私の大好きな俳優さん。
まだマイナーで有名じゃないから身近に感じることが出来て、
もう夢中。
「お米」
「はぁ!?」
「ホントはね、お米にのしつけて送ろうと思ったんだけど持って帰るの大変じゃない?」
事務所から彼の家まで彼が持って帰るのよ。
「・・・・それくらい出来るだろ」
「出来るだろうけど大変でしょ」
「それくらい大変だって言うような情けねェ男がいいのかよアコは」
「申し訳ないって話し。だからお米券かなー」
「・・・・・米に拘るんだな」
「1人暮らししてるだろうから美味しいお米食べてねって」
「・・・・俺には?」
「何が?」
「俺に美味い飯食わせる気はねーのか」
呆れ顔ながらも、文句を言いながらもエースは付き合ってくれる。
・・・・私が異性の俳優のイベントに行くことも反対しないし。
優しい。
・・・・・・・こういうとこ、すっごい好き。
恥ずかしいから言わないけど。
「じゃあ今日はうちでご飯食べる?」
「食う」
即答。
私が作るものイコール美味しい物。
エースの中でそういう式になってることが嬉しい。
「何食べたい?」
「肉」
「メニューを言いなさいメニューを」
何でもいい、と言わないところはいいとしても。
・・・・肉。て。
「生姜焼き」
「生姜焼きかぁ・・・・ご飯に合うよね」
「・・・・・おい」
エースは今私が考えたことを何故かわかってしまったらしく、渋い顔。
「バレた?」
「アイツよりまず俺だろ」
「はいはい、作りますよっと。その前にお米券ね!」
「・・・・・ったく」
不機嫌そうに呟きながら、ぎゅ、と繋がれた手の力が強くなったのがわかった。
・・・・・・申し訳ない気持ちもあるけど、
そんなエースを可愛いなとも思う。
「あとアイスの券も送ろうかと」
「送り過ぎだろ」
ふと思いついた呟きに真剣なツッコミが入った。
「そう?でもアイス好きなんだって」
「あー・・・・・いいんじゃねェのぶくぶくに太るけどな確実に」
「む。太らないよ」
「いーや太る」
・・・・太るのか。あのコが。
「・・・・そんな姿は見たくないなぁ」
やめておこうかなアイス。
でもアイス好きなんだよねー・・・・!!
私も好きだけど!!
「じゃあ俺達の分だけ買って帰ろーぜ?」
「・・・・・エースはぶくぶくに」
「ならねェよ」
「何で!?」
「食い過ぎたくらいでぶくぶくになるような鍛え方してねェからな!」
何かすっごい勝ち誇った笑みだけど、
実際、
「・・・・・割れてるもんねばっきばきに」
「当たり前だ」
エースの腹筋はヤバい。
「すっごい食べるのに」
でも食べる量もヤバい。
なのに全然太る様子を見せないのがエースのすごいところ。
「動いてるからな」
「えー・・・・・・どうしようお米券だけにしとこうかなぁ」
こうなるとお米券もいいのか迷う。
「自炊しろってあんまいい印象ないよな米」
「・・・・・ホントに?」
「それに1人暮らしじゃねェかもしれねェぜ」
「1人って言ってたよ?」
「言ってるだけで女と同棲してっかもしれねぇだろ」
「あ・・・・・・そしたらいい気はしないよね」
他の女からもらって来たお米券でご飯作ってあげるね、なんて良い気分で作る彼女が果たして居るだろうか。
「物分かりいいな」
「そりゃ私だってエースが他の女性の炊いたご飯食べてたら嫌だもん」
「へェ・・・」
エースが意外そうに呟いた。
ここでふと思ったけど、
「エースはアイドル興味ないの?可愛い子いっぱい居るのに」
「全然ねェな」
・・・・あっさりと即答。
嬉しいけど疑問もある。
「何で?」
「隣に可愛いのが居るから」
「・・・・・・・・へ」
「なんてな」
にしし、と照れたような笑み。
・・・・・・・・・・・・・んもう。
「お肉買って帰ろっか」
「プレゼントはいいのか?」
「今日はエースだけにプレゼントする」
「食後のデザートも?」
「・・・・アイス?」
「だと思うか?」
にこにこ、というか。
にやにや、というか。
・・・・・・本当に私は、
「誰よりもエースが好き」
なんだなぁとしみじみ思いました。