短編③
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「好きって言わないの?エース隊長に」
「・・・・・・何で、ですか」
何でだろう。
ただのナースさんとのお茶会だったはずなのに。
いつのまにか恋の話しになって。
・・・・まあ、女性だからそれはまだわかる。
そしてそれが、
私の恋の話しになった。
「好きなんでしょ?」
「す・・・・・・・っ」
・・・・・好き、って。
言ったら。
認めちゃったら。
「告白しなさいよアコ」
ってことになるよね!?
「え・・・エースのことなら大親友だと思ってますよ!」
「親友なの?」
「・・・・大好きな、親友です」
「それエース隊長の前でも言える?」
・・・・さすが、痛いとこ突くなあ。
「・・・・エースもきっと、喜んでくれると思いますよ」
好き、なんて告白するより。
大好きな親友だよ、って言った方が。
その方がきっとエースの負担にはならない。
そう思う。
「わかったわ」
ナースさんが笑顔で頷いてくれたのでほっとしたのは一瞬。
「恋の試練ね」
「・・・・・はい?」
パチン、とナースさんが可愛らしいウィンクをした。
「これ監禁ですよねー・・・・・」
「そうとも言うわ。貴女が正直になるまで」
・・・・彼女たち曰く、
私がエースのことを好きだと、
親友としてではなく恋なんだと認めれば解放してもらえるらしい。
このナース部屋から。
監禁と言ってもご飯ももらえるし本もあるし、
大好きなナースさん達が居るから話し相手には困らない。
「サッチ隊長には言ってあるから大丈夫よ」
「はあ・・・・・」
親友、なんだけどな。現状。
片思い中の親友。
・・・・・ずーっと、片思いするだけの親友。
いいじゃないかそれで。
同じ船に居て気まずい思いなんてしたくない。
「もしエースが来たら?」
「その時はエース隊長にも試練を受けてもらうわ」
「試練?・・・・どんな?」
「あら、それは内緒よ」
「・・・・さいですか」
「そんなことよりいい機会だわ。アコに着て欲しい服があるのよ」
「いやそれ絶対私には似合わないやつ・・・・っ」
「問答無用」
「ぎやぁぁぁ・・・・!!」
「もっと可愛い悲鳴上げたらエース隊長が来てくれるかもしれないわねー」
無理!!
「つ・・・・・疲れた」
散々弄ばれた。
「満足だわーやっぱり素敵」
「・・・・良かったですね」
「さて、そろそろかしらね」
「そろそろ?」
「こっちの話し。私は部屋を出るけど外には見張りが居るから出ちゃ駄目よアコ」
・・・・・随分と本格的なことで。
ふぅ、と一息。
私もナースさんたちみたいに可愛かったら。
女らしかったら。
もっと積極的に恋、出来たのかもしれないなあとは思うけど。
そんなタイプじゃないのは私が1番知ってる。
そしてそんな私を好きになってくれる人がいい。
・・・・・そう、思うから。
・・・・・っていうかお腹すいた。
何かオヤツ作りたい。
見張りのナースさんに頼んでみようか、と思ったらドアが開いた。
ちょうどいい、と。
声をかけようとして固まった。
「・・・・何してんだよアコ」
「・・・・・・・・・監禁?」
エースが、目の前に立っていた。
「はァ?」
「だっだってナースさん達が・・・・っ」
「そういうこと言ってるんじゃねェ」
「いやでも・・・・・・」
他に何と言えば!
「あ、今お腹空いたからオヤツ作ろうかなって」
「俺も食う」
「あ、うん。食べよ」
「じゃねェよ!」
エースは真面目な顔で叫んだ。
・・・何か怒ってる?
「あれ、そういえば見張りのナースさん、居なかった?」
「居たぜ」
「・・・入って来れたんだ?」
「まァな」
「まさか乱暴なこと」
「してねェ。試練、っつーやつ受けて来た」
あれ、よく見るとエース顔が少し赤い?
・・・・風邪かな?
エースの体調も気になったけど、
「どんな試練!?」
今はそっちが気になるんだ。
「・・・・・今」
「今?」
「試練真っ最中だ」
「そ・・・・そうなの?」
真っ最中?
でも今私と話してるだけだよね?
「あ・・・・あのよ」
「うん」
エースはいきなり私の手を掴んだ。
「アコの手・・・・・小さいのな」
「え、まあそりゃあエースに比べたら」
いきなり何!?
エースの大きくてごつごつした手。
あったかくて、ドキドキする。
「ほっそい手首・・・すぐ折れそうだな」
「って、何言うの」
怖いこと言わないでよ。
「・・・・髪、サラサラだし」
今度はエースの手が私の髪に伸びた。
するりと自分の指に絡めとる。
「え・・・エースは癖っ毛、だもんね」
きょ、距離が近い!
「いい匂い、する」
エースの顔が私の首に近づいて、くんくん。
「えっエース!?」
流石にこれはおかしいよ!?
「・・・・・・すげェ、好き」
「なななな何が!?」
真っ白な頭が、その後覚醒したのは、
ちゅ、という音。
唇の感触。
「・・・・言っとくけど、親友にはこんなことしねェからな」
「・・・・・・・・・・・な、ん」
何で。
「なァ」
「はひ!?」
「好きだって言えよ、俺のこと」
真剣な眼差しで覗きこまれて感情が高ぶった。
「かっ監禁から解放されるために好きって言うみたいなのじゃなくてちゃんと好きって言いたいから嫌!」
「・・・ってことは?」
「・・・・エースのことは好きだけど今は好きじゃないってことに」
「・・・・だってよ」
急にエースがくるりと後ろを向いた。
え、何。
「色気がないわ。やり直し・・・・と言いたいところだけど、仕方ないわね」
「・・・・・・・・・・どゆことですか」
・・・・にっこりナースさん。
「両想い、おめでとうアコ」
「お前のことが好きなら告白して好きって言わせて助け出せ。・・・それが試練だって言われた」
「はいいい!?」
何の試練それ!?
「恋の試練よ。2人共合格おめでと」
・・・・・・それが、恋の試練?